メイン会場「Village」の中央には、歴史的な車両を専門に取り扱うBMW Motorrad Classicが持ち込んだ3台のマシンを展示。左から1954年に発表したレーシングマシン「RS54」、1955年にWilhelm Nollが当時の最高速度記録をマークしたサイドカーをベースにしたマシン「BMW NOLL」、そして1961年に発表された、ボクサーエンジンを車体後部に搭載したヒルクライム専用のレーシングカー「700RS」。ボクサーエンジンの進化とスポーツ性をアピールした。
BMWの進化を感じる
Wheels and Wavesとの関係
BMWがメインスポンサーに付き、そこでR nineT発売前に話題となったカスタムコンセプトバイク「Concept Ninety」を走らせるなど、BMWのカスタムプロジェクトと親密な関係にある欧州最大級のカスタムバイクのイベント「Wheels and Waves/ホイールス・アンド・ウェーブス(以下WW)」が今年も6月、南フランスのリゾート地/ビアリッツで開催された。
今年は開催2日前に、異常気象による嵐が準備中の会場を襲い、テントや特設ブースなどが壊れ、急遽メイン会場を屋内イベントスペースへと移動して開催されることとなった。しかしイベントはスケジュール通りに進行。天候も徐々に回復し、さまざまなコンテンツが行われる会場を真夏のような強い日差しで包んでいった。
BMWは昨年から、世界各国のカスタムビルダーと組んだカスタムコンセプトモデルや、そのベースになった新型車に加え、ヒストリックモデルの展示を行っている。展示だけでなく、公道を封鎖して行うドラッグレース「Punks Peak/パンクス・ピーク」では、その歴史的車両を走らせ、エキゾーストノートとその姿を集まったファンの脳裏に焼き付けようとしている。
またBMWは、昨年開催された横浜ホットロッドカスタムショーにおいて欧州車ベースの最優秀カスタムバイク賞を獲得した「R5オマージュ」を発表するなど、カスタムバイクとヒストリックバイクの融合を進めている。ライダーのために究極のパーソナライズを進めるレーシングマシンと、オーナーやビルダーの欲求がつまったカスタムバイクは、イコールであると言わんばかりだ。そして今年も、メイン会場「Village/ビレッジ」のBMWブースには、多くのカスタムバイクとともに、かつて世界を席巻したレーシングシーンにおけるヒストリックバイクが展示されていた。
欧州カスタムブームの牽引者であるBMWのこの動きが、今後の欧州シーンをどこに導くのか、大いに注目したい。
BMW Motorrad Classicが展示した1954年に発表したレーシングマシン「RS54」。
BMWブースに展示されていた、レーシングマシンを中心とした歴史的なフラットツインマシンたち。
「R5オマージュ」と「R5」を並べて展示。
そのヒストリーマシンと並んで、最新のカスタムバイクが展示されていた。
英国のSINROJA Motorcyclesが造り上げたR nineTベースのカスタムマシン。昨年、ヤマハのカスタムプロジェクト/Yard Builtとタッグを組んでいたオランダの時計ブランド/TW STEELは今年、BMWとタッグを組みカスタムを展開。この車両は、その第一弾だ。
ドイツのキングストン・カスタムが製作したエアヘッド・ベースのマシン。キングストンは以前、同様のカバード・スタイルでスーパーチャージャー仕様のマシンを造ったが、今回は自然吸気仕様。フレームはR75、ファイナルケースはR80/7、フロントフォークはR100RS用、リアショックはR80RT用を使用。またフロントホイールはR80G/S用の21インチ、リアはR75/6用の18インチを使用する。ボディワークはアルミのワンオフで、右ゼッケンプレート内には葉巻とスキットル、左ゼッケンプレート内には工具を装備する。
ドイツ/JvB MOTOが手掛けたR nineTレーサー・ベースのマシン。大規模なカスタムが施されていないにもかかわらず、ここまで“変わった”と感じさせるのはビルダーの技術力の高さだ。カウルやタンクは純正を使用。ヘッドライトをLED化し、車体右のエアインテークとシートカウルはワンオフで製作されている。またホイールはカーボン製のホイールカバーで、まるでディッシュホイールのようなスタイルに仕上げている。
これまで数多くのR nineTベースのカスタムバイクを手掛けてきたタイのカスタムファクトリー/K-SPEEDが製作したマシン。シート周りを大胆にコンパクト化したカフェスタイルを採用している。
スペインのカスタムファクトリーであり、カスタムバイクによるサハラ砂漠やアトラス山脈越えを含むアドベンチャー・ツアー/スクラム・アフリカを主催するFuel Bespoke Motorcycleが製作したマシン。R nineTスクランブラーをベースに、よりオフロード色を強めたディテールを採用している。
BMWブースのスツールは、すべてバイクのシートカウルをアレンジしたもの。ブース内ではBMWイメージのオリジナルバッグも製作されていた。
公道ドラッグレース「Punks Peak」でデモランを行うBMWのヒストリック・マシン。
「Punks Peak」の最高峰クラスで優勝したのはR nineTにHP2エンジンを搭載したマシン「Schwarzwerk/シュワーツウェルク」を駆ったノーベルト・レブホルツ。R nineTスクランブラーのプロジェクトリーダーだ。
「Punks Peak」の参加者と、レース後に開催されたアフターパーティ会場に停まっていたフラットツインのカスタムバイクたち。
競馬場のショートトラックを使ったダートトラックレース「El Rollo/エル・ロロ」にはG310ベースのフラットトラッカーが2台エントリーしていた。#14はスタンダードのタンクを使用。#5はワンオフの一体型タンクカバー&シートカバーを装着している。
タイムトライアル形式のエンデューロレース「SWANK RALLY/スワンクラリー」に参加していたマシン。R65ベースで、足周りなどをカスタムしている。