BMW BIKES連動企画『冒険の旅2016』の舞台ウラをいまさらながら解き明かす!
- 掲載日/2017年02月28日【トピックス】
- 取材・写真・文/山下 剛
まずは、トビラとなった紅葉の中を走る2台のGS。絵筆で描いたように背景を流す撮り方をスバリ「流し撮り」といいまして、シャッター速度を遅くするので手ブレしやすく、被写体をブレさせず撮るには相当の技術を要します。
BMW BIKES 74号掲載の「冒険の旅」も
やっぱりプロフェッショナルの技に感嘆した
BMW BIKESの人気企画である『冒険の旅』は、好奇心と冒険心、そして旅心を存分にくすぐってくれる、今や本誌の象徴的連載といっても過言ではない記事です。次回は3月2日発売号にて掲載予定なので、ファンの方々はもうちょっとだけ待っていてくださいね!
……というのもコクな話ですので、昨年のBMW BIKES 74号(2016年3月発売)に掲載された『冒険の旅2016』のウラ側の模様を、帯同メンバーのヤマシタがお届けします。書棚からBMW BIKES 74号を引っ張ってきて、交互に眺めながらお楽しみください。カッコいいツーリング写真を撮るコツをあちこちに散りばめているので、ぜひ参考にしてくださいね。
フォトTOPICS(写真点数/22枚)
01大谷耕一カメラマンの腕のたしかさは誌面でしっかりと確認してもらうとして、直線でおよそ200mほど離れた場所から木々の隙間を狙ってGSを流し撮りするには、ゴルゴ13並みのスナイプ能力が必要なんですよ!
02さて、ページをめくった右側、P26の写真は、GSが巻き上げた土埃が午後の日差しで白く光っている様がカッコいいですねえ。この写真はこんなふうにして林道に座り込んでカメラを構え、一瞬を切り取るわけです。
03大谷カメラマンに迫りゆく2台のGSは、その後大谷さんの両脇を抜けていくわけですが、大きな信頼があるからこそ撮れる写真なのです。もしもヤマシタが撮影者だったら轢かれるか、もしくは土埃をぶわっと浴びせられるかも……!
04P27の1枚目は渓流沿いの林道を走るGSを、沢越しに捉えたカット。秋の渓流の水はすご~く冷たいので、濡れずに渡れる場所を探して対岸へ。そういう仕事は私、ヤマシタの役割なのです。
05思ったとおりの絵が撮れたかどうかチェックする大谷カメラマンの横で、田中ゼンスケ(バイクブロス/BMW BIKES編集スタッフ)は仕事を忘れてちゃぷちゃぷと日本の自然を楽しんでいるわけです、ハイ。
06これとP27の下の写真とを見比べてみると、流し撮りが生み出す効果のほどがよくわかりますね。スピード感を演出するのに最適で、シャッター速度次第でいかようにも印象を変えられます。ヤマシタに1/30秒以下は無理ですが……。
07雑誌ロケとなるとほぼすべての写真はプランと構図を練って撮ったものですが、P29の写真は山頂での撮影を終えて下りるとき、たまたま美しい夕焼けとバイクが大谷さんの視界に入ってすかさず撮ったもの。さすが!
08P30の上段は、林道らしい風景のひとつですね。伐採した木材の保管場所でのひとコマです。整然と並んだ木材のディテールを生かすため、レンズの歪みの少ない画角で撮るべく望遠レンズで狙ってるわけです。
09冒険の旅は「文筆家」松井さんと「写真家」大谷さんのインスピレーションとイマジネーションを、目の前の現実を使いながらどうのように表現していくかという誕生の瞬間でもあります。で、P30下段はトビラの流し撮りと同じ場所なのですが、撮り方ひとつでこんなにも違う写真になっちゃうんです。びっくりしますよね!
10P31の集合写真はめずらしくヤマシタも写ってるので、ここでは違う意味での集合写真を紹介。撮影が終わると大谷さんのところへ集まって「おお~! アレがこんな写真になるのか!」と現実と幻想を巧みに混ぜ合わせて料理する大谷さんの手腕に全員感嘆中。
11これはヤマシタの持論ですが「ススキは逆光に限る」のです。これはもうサンマは目黒に限りますってくらい限るのです。そういうわけで、大谷さんもススキを逆光で捉えるべく、崖に上がって待機するのです。
12というわけで、P30下段の大谷さんの写真と、ヤマシタが撮ったこちらの写真、もちろん同じ場所で同じ被写体を撮ってるわけで、撮る人によってこうも違うわけですから、みなさんも写真を撮ってもらうときはプロカメラマンに頼みましょう!(ちなみに、スローシャッターの流し撮り&色温度高め設定にすると大谷さんの写真みたいに撮れます)
13『冒険の旅2016』の写真解説もそろそろおしまいが近づいてきました。最後のページは一枚の写真を見開きで展開。ツーリング写真は、撮り方の工夫次第でこのように美しくなりますので、みなさんもこれをヒントにいろいろ試してみてください。
14しかしまあ、きれいな夕焼けに遭遇したら写真として媒体に記録するよりも、この冒険の旅メンバーのようにそれぞれの脳みそと眼球、そして心に焼きつけるのもオツです。いやはや、どちらも捨てがたく、ヤマシタもこうして写真を撮りながらいつも逡巡しているわけです。
15ここからはおまけ。『冒険の旅・番外編』です。冒険の旅ロケでは本当に多くの写真を撮るので誌面には載せきれず、廃道となった橋で撮った写真のようにたくさんのボツカットが存在します。そんなお蔵入りの写真もたっぷり使った『別冊・冒険の旅』なんてのも見てみたいと思うのですが、読者のみなさん、いかがですか? 反響が大きければ実現するかも!?
16「バイクがどの位置を走ってるあたりでシャッターを切るか」「走行ラインはどのあたりか」といったことを打ち合わせしつつ、大谷さんが演出している場面。走行写真の撮影はたいてい数回走ってようやくO.K.が出ます。
17なので、林道でのUターンも相当の回数をこなしますが、松井さんをはじめ国際ラリーに何度も出場しているライダーばかりなので、ひょいひょいと軽くこなして走り去っていきます。やり方はわかってもマネできませんけどね!
18松井さんが走らせるGSに乗り込み、隊列を後ろから撮影する大谷さん。スタンディングしながら片手で一眼レフカメラを支持して撮影するのはなかなかむずかしく、手ブレと被写体ブレ、ふたつのブレをどう生かして絵にするかが鍵ですね。このとき撮った写真もボツになってますが、いったいどんな写真が撮れてたのか見てみたい!
19林道での撮影を終えて、いわばリエゾンの県道の途中。大谷さんがまたがっているG650Xカントリーは大谷さんの愛車。スクランブラーブームとなった今を考えると、ちょっと世間に出てくるのが早すぎたモデルなのかも!?
20地元自治体の撮影協力を得ていたこともあって、このときはスキー場の斜面、ゲレンデを走ることができました。普段入れないこういう場所に踏み込むときのドキドキワクワクはたまらないものがあります。
21クローラー道路も未舗装となっていよいよGSの本領発揮! おそらく斜度は20度ちょいの初心者向けゲレンデですが、バイクで登るとなるとかなりの斜度。上りはいいんですけどね、下りがむずかしかったし怖かったッス!
22大谷さんの撮影術を盗むべく、ヤマシタも流し撮りに挑戦してみたのがこちらの写真。全体がブレてますが、ブレてない範囲がもうちょっと広いとよかったけれど、シリンダーヘッドを捉えられてるからギリギリセーフ……かな? というわけで、冒険と撮影を終えてホテルに帰還。今度こそこれにておしまい。次回の冒険の旅をお楽しみに!
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