R nineTシリーズに2種類の新機種、
<Racer>と<Pure>を追加
BMW Motorradは、INTERMOT(インターモト)2016で、R nineTの派生モデルとなるR nineT RacerとR nineT Pureを発表しました。これにより、昨今のヘリテイジシーンを席巻するR nineTシリーズにはScramblerと合わせて、テイストの異なる4モデルが揃うことになります。
Racerは70年代風のロケットカウルを装着したカフェレーサーで、そのスタイルはRoland Sandsがデザインを手がけたConcept 90を起源とするものです。往年のファンの中には、R90Sの面影を重ねる方もいるかもしれません。また、Racerではロケットカウルに合わせてセパレートハンドルを採用。さらにシングルシートとバックステップを備え、カフェスタイルにおける三種の神器をしっかり押さえてあります。また、R nineTシリーズ中で唯一、チューブラーフレームがシルバー仕上げとなるのもポイントです。
一方、Pureはトラディショナルなロードスタースタイルを実現した1台です。専用設計の目を引くパーツこそないものの、シンプルなロードスターとして、また自分だけのスタイルを作るためのベースモデルとしては非常に魅力的な車両と言えるでしょう。
エンジンは両車ともにR nineTと同じ空油冷ボクサーで、もちろんユーロ4にも対応しています。足周りに関しては、先に発表されたScrambler同様にフロントサスペンションにはコンベンショナルな正立式テレスコピックフォークを採用し、ホイール径は両車ともに前後17インチ(F:3.5×17/R:5.5×17)となります。ただ、RacerとPureではステアリングヘッドの角度とトレール量が異なっており、それぞれのコンセプトに基づくハンドリングを実現していると思われます。
こちらの2モデルについても、日本仕様が発表され次第レポートします。
フォトTOPICS(写真点数/24枚)
01セパレートハンドルとバックステップ、シングルシートの組み合わせで乗車ポジションは完全なクラウチング・スタイルとなるRacer。これまでR nineTベースのカフェレーサーカスタムも数多く登場しましたが、RacerのスタイルはBMWらしい端正なものと言えます。
02何よりも目を引く、ハーフタイプのロケットカウルはフレームマウントされています。スクリーンもかなり低めの設計です。左右のミラーはカウル裏にあるカウルステーに装着されており、アーム自体もプレス加工が施された非常に凝ったデザインです。
03ロケットカウルと抜群の相性を見せるセパレートハンドル。鍛造アルミ製のトップブリッジは大きく肉抜きされており、ハンドルバーを差し込むマウントも一体式となっています。
04カウル内にはスピードとタコが独立したメーターをセット。R nineTのそれとは異なる文字盤です。また、写真ではメーターのマウントステーはトップブリッジから伸びているように見えます。
05ストッパー付きのシングルシートカバー。取り外して2名乗車も可能な構造としています。リアエンドにはBMWのエンブレムが入っているのもポイント。
06ステンレス製の2in1メガホンサイレンサーは左サイドにセット。Racerではサイレンサー本体がポリッシュ仕上げとなります。
07カフェレーサースタイルに欠かせないバックステップはRacerだけの専用設計。アルミ鍛造品にクリアのアルマイト加工が施してあります。また、フレームチューブがシルバーに塗装されているのもRacerだけ。
08こちらはチェンジペダル側。ヒールプレートや、マフラーステーも大きく肉抜きされています。遊び心を感じるデザインです。
0917インチのフロントホイールは5本スポークのキャスト。もちろんABSは標準で装備されます。フロントフォークは正立のテレスコピック式(φ43)で70年代風デザインの車体ともよくマッチしています。
10ブラックアウトされたエンジン&足周り、シルバーのフレーム、ホワイトの外装とのコントラストが美しい車体です。完成度の高いカフェレーサーと言えるでしょう。
11真正面と真後ろから。この写真を見ると、セパレートハンドルの垂れ角はそれほどきつくなく、手首への負担もある程度考慮されていると言えます。
12真上からの写真では、ハンドルの絞り具合がよくわかります。タンクとのクリアランスは十分のようにも見えますが、現在のところハンドルの切れ角をセーブするハンドルストッパーの有無や、切れ角については明らかになっていません。
13車体カラーは[Lightwhite non metallic:ライトホワイト]で、往年のBMW Motorsportをオマージュしたストライプがアクセント。エンジンはR nineTと同じ排気量1,170ccの空油冷ボクサーで出力にも変更なし。もちろん新しい排ガス規制であるユーロ4にも対応しています。
14タイヤサイズはフロントが120/70 ZR17、リアが180/55 ZR17で、オプションでスポークホイールも用意。R nineT同様に純正ドレスアップパーツも多数用意されているので、自分だけの1台を純正パーツだけで組み上げることも可能です。
15Racerと同時発表となったPure。ピュア、という言葉が示す通り、派手な装備品はなく、R nineTシリーズの基本骨格を重視した純粋なロードスポーツモデルとして位置づけられています。
16ScramblerやRacerのように特定のカテゴリーに属するスタイルではなく、誰にでも受け入れられるシンプルで美しいロードスターといった出で立ちです。
17トップブリッジにはシンプルなメーターが鎮座します。メーターユニット自体はScramblerと同一で、速度表示や液晶部にも変更はありません。
18タンクと同色のフロントフェンダーは、アルミ製のフェンダーブレースがアクセント。フロントフォークはRacer同様にφ43の正立フォークを採用しています。また、フォークアウターにはサイドリフレクターがセットされます。これもRacerやScramblerと同様です。
19車体色は[Catalano Grey non metallic:カタラノ・グレイ]。メタリックなしのソリッドカラーですが、美しい艶が楽しめる色味です。タンクはR nineTと同形状ですが、材質はスチール。これはScrambler、Racerも同様ですが、いずれの車両もオプションでR nineT同様のアルミ製タンクに変更可能です。
20シートはR nineTと同じダブルシートで、形状の変更はないようです。もちろん、各種純正オプションを駆使すれば、様々なスタイルを楽しむことができます。
21サイレンサー形状はRacerと同一ですが、本体の仕上げはRacerのポリッシュ仕上げとは異なり、ブラシ仕上げとなります。また、Pureでもオプションとしてスポークホイールが用意されています。
22大きくアップされたハンドルは、誰にでも無理なく乗れるポジションと言えるでしょう。
23Pureではステアリングヘッド角は63.4°、キャスターは105mm。同じフロント周りのRacerでは63.6°、103.9mmと微妙にセッティングが異なっており、ハンドリングはキャラクターに合わせたセットアップとなっているようです。
24R nineTが現状のヘリテイジシリーズの最高峰ならば、Pureは一番スタンダードな1台と言えます。発売されれば、幅広い層に支持されるのではないでしょうか。今回紹介したRacerとPureも、日本仕様の詳細が分かり次第、改めてレポートします。