【海外試乗速報】S1000XR(2015)メディア向け発表会
- 掲載日/2015年05月28日【トピックス】
- 取材協力/BMW Motorrad Japan 写真/BMW Motorrad、松井 勉 文/松井 勉
ガソリン満タンで 228kg という車重とパワフルなエンジン。この2点がスポーツと旅を見事にクロスオーバーさせる S1000XR。軽快なだけではなく、充実感ある手応えもあり、ロングディスタンスをスポーティーに味わい尽くす存在。新種のスポーツツアラーだ。
スーパースポーツとアドベンチャーの
クロスオーバー『S1000XR』が登場
BMW モトラッドが 2014年秋に発表した S1000XR のメディアローンチがスペインのバルセロナ郊外を舞台に行われました。同社のスーパースポーツ、S1000RR に端を発し、HP4 やネイキッドスポーツの S1000R へと続いたパフォーマンス系マシンの系譜。その第4作目となるのがこの S1000XR なのです。
名の由来はクロスオーバーロードスター。エンジンは S1000R で生み出された低中速重視(といっても、最高出力は 118kW(160hp)/11,000rpm、最大トルク 112Nm/9,250rpm と強力)のものを搭載。S1000XR ではポート形状やバルブタイミングをさらに煮詰め、2,000rpm あたりから力強さを作り込んでいます。
フレームはアルミツインスパーを基本としてスイングアームの延長、サスペンションストロークの延長など、アドベンチャースポーツとしてのキャラクターを与え、アップライトなライディングポジション、扱いやすくスポーティーなハンドリング、旋回時の緊急制動にも威力を発揮する ABS Pro を BMW モトラッドとして初採用した魅力たっぷりな S1000XR。丸一日ワインディングルートを楽しみ尽くしても疲れない新種のスポーツバイクの登場です。
フォトTOPICS(写真点数/17枚)
01旋回時の制動の安全性を高める ABS Pro を初搭載。より低中速でのトルク特性を磨き、タンデム、積載時にも乗りやすいエンジン特性を作り込む。スイングアームの延長、ヘッドアングルを最適化したシャシー。ホイールベースは 1,548mm へ。前 150mm、後 140mm のサスペンションストロークを持つ。
02S1000XR のプロダクトマネージャーであるヨゼフ “セップ” メヒラー氏。インタビューで「BMW が X5(四輪)を出したとき、最初は誰も成功するとは思っていなかった。でも今はクロスオーバービークルが一つの主流。軽いエンジン、スポーティーなキャラクターのクロスオーバーを作りたいとは以前から考えていました」と語る。
03スペインのバルセロナ郊外のホテルを起点に 230km の試乗ルートが設定された。BMW モトラッドのローンチでは定番となったナビによるツーリングスタイルを取っていた。ルートの特徴は、高速道路率が少なく、舗装のワインディングルートをたっぷり入れ込んだもの。途中のランチスポットなど、演出もプレミアムだった。
04アップライトなライディングポジションが印象的な S1000XR。前後に 17 インチのスポーツ系ラジアルタイヤを履くだけに、ハンドリングは正確かつコーナリングを楽しめる。直進時の安定性も高く、ロングランもラクラクこなす実力を持っている。
05S1000XR の真骨頂は、やはりコーナリング。ロール方向に今までのアドベンチャーバイクでは味わえない一体感を持つ。あえて腰を落とすようなライディングをせずともしっかりと旋回力を味わえる(もちろん速い)。セミアクティブサスペンションも最新世代で乗り心地をバランスさせている。
06身長 183cm のライダーが跨がった図。840mm とけっして低くはないが、足つき性は悪くない。体格によってはシートフレームの幅広さを感じるかもしれない。GS 系より車体が軽い分、支えている感は少ないのがうれしい。満タンで 228kg もうれしいニュースだ。
07ヘッドライトのリフレクター形状を左右で変更することで BMW デザインの特徴でもあるアシンメトリーを表現した顔つき。スクリーンはノーマル位置のほかに上げた状態に手動で動かすことができる。ライト中央の LED ラインニングライトは、ドイツ仕様ではオプション設定。日本仕様がどのような装備になるかまだ未定だ。
08燃料タンク、フレーム、サイドパネルと、線&面が交錯するサイドまわり。エンジン熱で熱くなるフレームと膝の干渉面積が少ないのも特徴。タンクまわりは、タンクバッグ装着を意識したもの。ハンドガードの整流効果も高い。ツアラーとして優秀なディテールの集合体でもある。
09ホールド性の高いシート。前方が細く絞り込まれているので、足つき性は悪くない。840mm というシート高の印象は、体格や身長によってさまざまだろう。今回日本から参加した身長 170cm のジャーナリストは「これなら大丈夫」とコメントしていた。
10シート後部からテールランプ、ナンバーステーと印象的に後方に伸ばした S1000XR。長いホイールベース内にライダー、パニアケースなどの積載物を収めつつ、軽快さを打ち出すデザインとして採用されている。LED のテールランプは輝度、被視認性ともに高い。
11S1000XR のフロントサスペンションストロークは 150mm。電子制御により走行中に適宜、減衰圧を変更するセミアクティブサスペンションである。リアサスペンションは、イニシャルプリロードまで調整可能としたダイナミック ESA。ドイツ仕様ではオプション設定だ。
12S1000RR のネイキッド版の S1000R がスイングアームを共用したのに対し、S1000XR では S1000R 比で 65mm 長い 670mm のスイングアームを採用。エキゾースト系はステンレス。マフラーエンドはペンタゴン形状を採用。コレクターなど容量を大きくしつつ、バンク角も配慮したデザインだ。
13『ツーリング』と『ダイナミック』という二つのパッケージオプションが用意された。写真はツーリングパッケージを主体にトップボックス、パニアケースなどを装着したもの。メインスタンド、ダイナミック ESA、グリップヒーター、パニアステー、ナビゲーションマウント類がその内容。
14パニアステーはスチールチューブ。パニアケースも S1000XR に合ったサイズとなっている。純正トップケースは 35 リットルの小ぶりなものが用意されている。そのマウントステーは、トップケースを取り外したときも外観に響かないスマートなものとなっている。
15メンテナンスや荷物の積載時に威力を発揮するメインスタンドも、ツーリングパッケージもしくは単品でオプションとなる。ちなみにダイナミックパッケージにはライディングモードプロ、ギアシフトアシストプロ、クルーズコントロール、LED ウインカーが含まれる。
16純正オプションとして機能&人気の高いナビゲーションシステム。ナビゲーションマウントキットとともに、左グリップ部にはマルチコントローラーを取り付け、そのダイヤルでナビゲーション画面をコントロールすることが可能になる。GS 系と同じシステムだ。
17アドベチャールックのツーリングバイクがほしい、でもダートには行く予定はまずない、パワフルでプレミアムなオールマイティーな一台がほしい。そんなユーザーにすすめたいのがこの S1000XR 。速い、巧い、疲れないという BMW らしさをたっぷり味わえた一台だった。
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