雑誌BMW BIKES連動企画『冒険の旅V 山波の鼓動を聞きに南紀の道へ』
- 掲載日/2014年12月19日【トピックス】
- 取材・写真・文/山下 剛
『冒険の旅V』の表紙は、紀伊半島の山並みを一望するダートを走る2台の GS です。大谷耕一カメラマンは林道の法面に上がり、それらを捉えてます。このカットは2台の GS の車間距離が広かったため NG。再度走ります。
『冒険の旅』のウラ側、ぜ~んぶ!!
…とはいわないけどいっぱい見せちゃいます
雑誌『BMW BIKES』で好評連載中(とウエキ編集長は言っている!)の GS 漫喫企画『冒険の旅』、最新号(2014年12月15日発売)もお楽しみいただけましたでしょうか。
こちらのウェブサイト、VIRGIN BMW.com では、冒険の旅のコバンザメ同行ライター・ヤマシタによる『冒険の旅のウラ』をお見せします。いってみれば、記事の編集後記的なこちらの企画は、おもに大谷耕一カメラマンの素晴らしく美しい、そしてカッコいい写真がどう生まれるのかに焦点を当てつつ、GS がもたらしてくれる楽しい世界観の一端をお伝えするものです。
というわけですので、ぜひお手元に BMW BIKES 69号を置いて、ページを繰りながらこちらをご覧ください。GS というバイクが描く世界観を、より深く、ぐいっと感じていただけることと思います。
準備はできましたか? さあ、冒険の旅に出かけましょう!
フォトTOPICS(写真点数/38枚)
01ちなみに別アングルから見た2台の GS はこんな感じ。先頭の F 800 GS を走らせているのはトラス代表の新田正直さん。この企画の首謀者であり、ここ数年で GS にドハマリしてる不良中年! しかし松井勉さんをはじめとする猛者たちのアドバイスで、メキメキとライディングスキルをアップ中。侮れないオジサンなのです。
02こちらはさらに別アングル。シャッターを切った大谷カメラマンが写真を確認しているのがわかるでしょうか。構図や2台の GS の位置関係、ブレやピントなどをその場ですかさずチェックするわけです。しかしヤマシタとしては「大谷さんが撮影中!」てな感じの写真にならないのがちょっぴり不満だったりするのはナイショ。
03次のカットは、素掘りのトンネルに入らんとする2台の GS です。このあたりには素掘りのトンネルがいくつかあり、まずはこのトンネルが撮影ポイント。被写体は新田さん(左)とバイク大好きなプロスキーヤー・秋庭将之さん。今回も愛車の R 1200 GS で参加です。
04さっきのトンネルを反対側から見るとこんな感じ。鬱蒼と茂った木々や蔦、葉がおりなす雰囲気が紀伊半島の自然の濃さをいい具合に醸し出してますねえ。しかし、ここで撮ったカットは本誌ではボツになったようです。新田さん、秋庭さん、残念!
05さて、お次は別の素掘りトンネル。トンネルを抜けた後のストレートが長いので、望遠レンズを使った構図を狙えるというわけです。これは撮影前、大谷カメラマンが走行ライン、2台の位置関係を松井さんに説明している場面。
06大谷カメラマンはこんな具合にカメラを構えてシャッターを切ってるワケですが、すぐそばには水たまり。もちろん松井さんたちはきっちりと水たまりを避けるし、大谷さんも2台が通過する直前にサッと立ち上がるのです。こうしたところは、さすがに慣れたモノ。
07大谷さんの邪魔にならない位置に陣取ってヤマシタが撮ったのがコチラ。見比べてみると、腕の差ってのがよ~くわかるでしょ? 構図はともかく、露出オーバーでヘッドライトが広がりすぎてしまい、肝心の GS のディテールがまったく不明。修行が足りんですね、修行が。
08ツーリングで写真を撮るとき、こうした石碑や看板などとバイクを一緒に撮りたいことってけっこうありますよね? でもバイクをすぐそばまで移動できないことも多々あったりするものですが、そんなときは本誌 117 ページの写真のように、バイクの一部を入れて石碑などを写すといいのです。石碑とバイク、大谷さんの位置関係はこんな感じ。
09こういう道こそバイクで走りたくなる…のは本音ではあるけども、熊野古道は歩行者専用道。でもせっかく来たのだからちょっぴり歩いて、修験者や昔の人々の暮らしぶりに思いを馳せてみるのもいいものです。とはいえ、オフロードブーツは歩きにくいから、ほんとにちょびっと、ね!
10紀伊半島の山並みを望む、GS と冒険者たち。こういう広い場所では広角レンズで広く撮りたくなりますが、中~望遠レンズを使って被写体と風景を入れると、本誌の写真のように狙いがはっきりとした構図になるのですね。ちなみに本誌のカットは、ヤマシタが写っている唯一の写真! F 800 GS Adventure にまたがってるのがヤマシタです。
11このとき撮ったカットは本誌ではボツになったようですね。伐採後の木くずが荒廃的な絵面を作っていて、これはこれでいい雰囲気だったのですが、残念。これはきっとページが足りないせいですね。ウエキ編集長、次回の『冒険の旅』はページを倍増しましょう、倍増!
12さあ出発、というその前、新田さんが松井さんにダートでの荷重のしかたについて質問して、松井さんがジェスチャーしながら理屈を説明しているの図。秋庭さんもそのヨコでしっかりと再現しながらイメージトレーニング中。
13今度は実際にバイクにまたがりながら、ハンドルやステップの荷重、そして前後左右の荷重配分やそのかけ方をアドバイスする松井さん(右)。今度はちゃっかりと田中善介(バイクブロスウェブサイト)も聞き耳たててますね。もちろん、ヤマシタもシャッターを切りながら「役得役得♪」とばかりにしっかりと聞いてますよ!(実践できるかどうかは別問題)
14さっそく実践する新田さん。本誌でも書かれてましたが、電子制御が ABS のみでテレスコピックサスペンションの F 800 GS は、R 1200 GS とはまったく違う走りを楽しめるバイク。しかし、ずいぶんときれいに荷重してバランスとってますねえ、新田さん。表紙カットのカッコよさはこの甲斐あってのこと!
15こちらは 118 ページ右下の写真とほぼ同じタイミングでヤマシタが撮ったものです。大谷カメラマンの写真と比べると、色味が違うのがわかるでしょうか。これはホワイトバランスの設定が違うせいなのですが、大谷さんの写真のようにちょっと青みがかっていると、森の鬱蒼とした感じが強調され、いっそうムードが出ます。
16このときの写真も本誌ではボツですね。ところで、マスツーリングなどでみんなが走っているところを撮影する機会もあると思います。とくに一列になって走ってるときは、大谷カメラマンのように望遠レンズを使うとバイク同士の距離感が縮まり、隊列を組んでる様子がよくわかるようになります。これを「望遠で圧縮をかける」といいます。覚えておいてソンはないですよ!
17走行シーンの撮影ってものは一発で決まることはそうそうなくて、何度か走ることになるものです。こういう林道だとUターンもけっこう大変。たいていは待避所を使ってUターンしますが、そうもいかない場合もあったりするので、足の長さがモノを言ったりするのです。あ、ヤマシタのように体重を増やして足つきをよくするって方法もありますよ!
18コンビでドリフトを決めてるのは、原豪志さん(M.S.C HARA 代表)と篠原祐二さん(ウィザムカーズ代表)。この二人、とても仲がよくて息もぴったりと合っていて、こうしたコンビ走行の撮影のときはだいたい大谷カメラマンと松井さんから指名され、2~3回の走行でバッチリ決めてくれるからカッコいいんだよなー!
19本誌 119 ページは、紅葉が広がる稜線付近の山道と、鬱蒼とした杉林との対比が美しい2枚の写真で構成されてます。紅葉の山頂へ至る道にはこんな場所もあって、舗装路とはいえやっぱり林道ならではの緊張感があります。そこをウエキ編集長をタンデムして通過してるのはもちろん松井さん!
20走りながら撮り合いする二人のカメラマン。原さんが運転する GS のタンデムシートから撮影しているのは、この撮影の案内人を務めてくださった地元役場の方。写真の腕前は大谷カメラマンが認めるほど!
21ちなみにヤマシタはこんな感じ。デジタル一眼は重いので、左腕を鍛えるいいトレーニングになってます!?
22杉林の渓流沿いを往く2台の GS を撮る大谷カメラマン。バイクが通過するときにはすでに写真をチェック中。太陽が出ていれば、渓流越しに撮ると光の具合がきれいだったと思うのですが、こればっかりはしかたないですね。
23大谷カメラマンも立ち位置を変えて渓流越しに撮影。一枚のカットを撮るにも、こうしてあれこれと試し、そのなかでベストを選ぶわけで、こうして撮影しながら冒険していくと時間があっという間に過ぎ去っていきます…。
24さてさて、これは奇跡の一枚ですよ! 何が奇跡かっていうと、大谷カメラマンが飛ばしたストロボとヤマシタがシャッターを切ったタイミングがドンピシャ!! お互いに連写せずシャッターを切るのは一回のみですからね。勝手に押しかけ弟子となって早数年、ようやく何かが認められた気がした、そんな一枚を奇跡といわずになんという!
25こちらも隊列のショット。大谷カメラマンのほかに、案内人もカメラを向け、そしてこの写真を撮ったヤマシタもカメラを向け、さらに松井さんが見守る。並行している渓流も写すため広角レンズを使ってるのでバイクの車間距離をつめる必要があるからなおのこと緊張しますね。
26そうして撮った写真に、大谷カメラマンと松井さんは思わずニッコリ。でもウエキ編集長だけなぜかちょっと不満気な表情。
27本誌 120 ページ右下の写真は、さきほど紹介した伐採場の別カット。上から見下ろして撮ったカットはボツとなり、伐採場の下段に並んだ GS の群れを後ろから撮ったカットが採用されたようですね。それにしてもここ、荒廃した感じがなかなかオツです。テント張ってひと晩眠りたくなります。
28121 ページ上段の写真、カッコいいですねえ! 林道によく行く人なら察しがつくかと思いますが、ここは道ではなく河原。このあたりはまだ地面がしまっていて走りやすいのですが、奥のほうは草やら岩やら枯れ枝やらで、Uターンするのも大変らしいです。もちろん、ヘタレのヤマシタはそんなとこ行ってません!
29そんな河原だから、撮影のために GS を動かしたり、撮影後に林道へ戻るのはひと苦労。ちなみにヤマシタは担当していた F 800 GS Adventure を上り坂でスタックさせました! 修行が足りーん!
30和歌山のロケのために岩手から R 1200 GS Adventure を走らせてきた菅野さん、同じく四国は徳島からやってきた藤田さん。ふたりが GS を走らせているシーンも撮影したのですが、本誌で採用になったのは立ちポーズのカット。本誌にも書かれてますが、数百キロを自走した後に林道へ踏み込む気力を残してくれるのは、やっぱり GS だからこそ。
31本誌ではヘルメットを装着しての談笑シーンが掲載されてますが、こちらでは脱帽バージョンを紹介しますよ(写ってるメンバーは微妙に違いますが)。松井さん、篠原さん、原さん、みんな海外ラリーを経験しているアスリートだから、いい体つきしてます。でもビールもわんさか飲むんだけどね、この人たち!
32というわけで、そろそろ『冒険の旅のウラ話』もおしまいに近づき、冒険者たちの記念スナップをご紹介。この日は撮影2日目で、拠点にしていた田辺市のホテルに宿泊する人もいれば、その日のうちに帰宅する人も。ヤマシタはこの後、マクドナルドに行って原稿を書きあげ、深夜の国道と東名をひた走って帰宅。こういうことできるのも GS のおかげなのですねえ。
33『冒険の旅』をしめくくるのは、海に沈む夕日をバックにした GS と冒険者たちのシルエットでした。同じ場所で撮った別カットは BMW BIKES 69号の表紙も飾ってます。F 800 GS を動かしてるのは松井さん。夕日がきれいなマジックアワーは短いので、急ぎつつも的確に車両を動かさねばならないため、やっぱり松井さんの力が必要!
34さて、ここからはオマケです。ロケ出発の朝、深夜に降った雨の粒がメーターに残ってました。BMW のメーターって日光の映り込みを軽減するためカバーが凸面になってますよね。だからメーターを撮るとどうしても撮影者が写ってしまいます。でも走ってるときに自分が写り込んでるのって意外と悪くない。
35そして日がのぼるにつれて雲間が広がり、陽光がまぶしい天気になりました。雨上がりの路面がギラギラと光ってるときって、安全運転にはよくないけれども、ドラマチックな脈動が感じられるから場面としては大好きです。
36ヤマシタはカメラを左手に持って走行中も撮影するのですが、林道に入ると振動が増えることと、片手をハンドルから離して走るむずかしさを克服できてなくて、どうしても撮影枚数が減ってしまう。後ろを走る GS を振り返りながら撮るのも、林道だとかなりむずかしい…。このカットも車間あきすぎ!
37『冒険の旅』を撮影してる大谷カメラマンは、愛車の G 650 X Country で自走しつつ撮影。背負ってるカメラバッグの重さは 10kg 以上もあって、いくらシートに載せつつ背負ってるとはいってもかなり大変。それでも笑顔なのはやっぱりバイクが大好きだからで、そういう愛情あってこそ、すてきな写真が生まれるのですね。
38本誌では文章のみで写真は未掲載でしたが、川湯温泉の『山水館 川湯まつや』の露天風呂は河原に面していて、開放感満点。冒険の疲れも一気に吹き飛ぶ、サイコーの気持ちよさでした。ちなみにこのときは雨が降っていて体が冷えていたから、気持ちよさは格別。ついでに雨に濡れてカメラも壊れました。というわけで冒険の旅、これにておしまい。シーユーアゲイン!
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