スタートで順位をひとつ上げた戸田選手。前を行くマシンとは少々距離があったため、後ろに着けるマシンとのマッチレースといった展開がレース終盤まで続きます。
大詰めを迎えたMFJ全日本ロードレース選手権
第8戦 岡山国際サーキットRd. も熱い戦いが繰り広げられた
2012年10月7日、国内2輪レースの最高峰 MFJ 全日本ロードレース選手権の第8戦『岡山国際サーキット大会』が開催されました。秋の行楽シーズン真っ盛り、その中での3連休というお出かけ日和ということもあり、岡山国際サーキットには多くのレースファンが詰めかけました。
この大会では、BMW S1000RR を駆りトップカテゴリー JSB1000 クラスにレギュラー参戦中の 戸田 隆 選手に加え、鈴鹿8耐などのビッグレースで同じく S1000RR をライドしている 高田 速人 選手も参戦。2台の S1000RR がグリッドに並ぶことになりました。国産車が優勢な全日本で、輸入車が複数台エントリーすることは多いことではありません。輸入車としては BMW が最大勢力というレースとなったのです。
10月6日に行われた予選で、戸田選手は14番手、高田選手は18番手のグリッドを確保。迎えた決勝レースでは、戸田選手は終盤まで13位を走行していましたが、最終ラップでマシントラブルを起こして後退。惜しくも14位でゴール。慣れない岡山のコース攻略に手こずっていた高田選手は、予選順位と同じく18位でレースを終えました。
全日本ロードレース選手権は、最終戦 MFJグランプリ を残すのみとなりました。決勝レース開催日は10月28日、決戦の地は 鈴鹿サーキット です。戸田選手、高田選手の2人も参戦予定。もちろんマシンは S1000RR です。国内2輪レース、今年最後のビッグイベントで、サーキットを疾走する BMW に声援を贈りましょう!
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01岡山国際サーキットでの全日本戦は、昨年に引き続き2回目のエントリーとなる高田選手。「苦手なコースレイアウト」と語っていましたが、着実にタイムアップを果たしていました。
02くらいついてくる後続車を序々に引き離していく戸田選手。シーズンを通してセットアップを続けてきたS1000RRはかなりまとまってきており、持ち前の速さを見せつけていました。
03高田選手のS1000RRは、今年の鈴鹿8耐で【Team Tras】のマシンとして使用されたもの。耐久用のヘッドライトなどを外しただけの状態です。このマシンは『BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2012 in HAKUBA』でデモランも行っているので、実車を目にした人も多いことでしょう。
04岡山国際サーキットの名物コーナー、ダブルヘアピンを立ち上がる戸田選手。激しい加速にフロントタイヤが浮き上がっています。戸田選手は最終ラップにマシントラブルで後退。後続車を完全に突き放した状態だったので非常に残念でした。
05戸田選手、高田選手の2人が参戦したJSB1000クラスは、ヤマハの中須賀選手が優勝。ポールポジションからスタートし、ホールショットをゲット。その後は、一度もトップを譲らずゴールするという、完璧なレースを見せました。中須賀選手はポイントランキングでも1位です。
06J-GP2クラスでは、カワサキに乗る渡辺一樹選手が独走。2位以下をどんどん引き離し、メインストレート1本分の差をつけての圧勝となりました。
07J-GP2クラスで熱かったのが2位争いです。序盤は目まぐるしく順位が入れ替わり、ヤマハの野左根選手がリードしてからも、激しいバトルが繰り広げられていました。
08オリジナルフレームの使用が許されているJ-GP2クラスは、個性的なマシンが見られるのもポイントです。このマシンはカワサキのエンジンを、完全オリジナルのパイプフレームに搭載しています。
09改造範囲が狭くマシンの戦闘力が拮抗しているため、ギリギリのバトルが展開され見応えあるST600クラス。そのST600で、今シーズン圧倒的な強さを発揮しているタイ人ライダーの1人、ヤマハのポラマーニ選手が岡山でも優勝を果たしました。
104ストローク250cc単気筒エンジン搭載車で争われるJ-GP3クラス。小排気量クラスならではの抜きつ抜かれつが見所ですが、今回はポールポジションを獲得した長島哲太選手が絶好のスタートを決め、後続を置き去りにしました。そのまま独走で優勝を決めるという、見事なポール・トゥ・ウィンでした。
11トップが独走を続ける中、2位争いは熾烈を極めます。3台のマシンが絡み合うようなバトルをみせ、周回ごとに順位が入れ替わる目まぐるしい展開でした。
12身振り手振りを加えながら、マシンの状態をメカニックに伝えている戸田選手。ベテランの戸田選手は、セッティング能力の高さに定評があり、メカニックへの指示も的確です。
13電子制御の進んだ現代のレーシングマシンのセッティングを行うには、PCは必須ツールです。中でもS1000RRは、DCTという複雑な制御を行う電子デバイスを搭載しているので、その存在は欠かせません。レース期間中、マシンとPCを接続して作業を行う光景が何度も見られました。
14決勝レースは雨も想定されていたので、レインタイヤも準備されていました。これは、タイヤの外径を計測しているところ。DCTは前後輪の回転差を検知し、スリップ率を計算しているので、有効に作用させるためには正しいタイヤのデータが必要なのです。
15レーシングタイヤの性能を発揮させるためには温度管理が重要です。予選中のピットインで、わずかな時間マシンを止めるときでも、タイヤウォーマーを巻き付けてタイヤの温度を維持します。
16練習走行後、レザースーツを脱ぐ時間も惜しんで、メカニックと話し合う高田選手。マシンのセッティングには相当こだわるタイプのライダーです。
17予選中、何度もピットインを繰り返し、細かなセッティング変更を繰り返す高田選手。セッティングのわずかな差が、タイムに大きく響いてくるのです。
18自ら愛機のメンテナンスを行う高田選手は、メカニックとしての仕事を依頼されるほど、メカニズムに精通したライダーです。
19今大会では2つのサポートレースが併催。その1つであるキング・オブ・ユーロファイターは海外メーカーのマシンだけで行われるレース。そのレースに2台のBMWがエントリー。S1000RRで参戦した岩脇 正さんは、クラス2位の好成績を収めました。
20R1100Sを駆る松本 栄直さんは、バージンBMW読者にはお馴染みの【Team Tras】のメンバーの1人で、高田選手のサポーターでもあります。レースは見事完走、クラス3位の結果を得て表彰台に上りました。
21鈴鹿サーキットでは4輪のF1レースが開催され、ほかにも日本各地のサーキットで多くのレースが行われていたこの日。モータースポーツファンにとっては、どのレースを観戦すればよいのか悩ましい日程でした。岡山国際サーキットも大盛況でした。
22予選日と決勝日には、全てのレーススケジュールが終了した後、サーキットを体験走行できるサーキットクルージングが開催。多くのライダーが、本物のレーシングコースを楽しんでいました。
23決勝日のピットウォークが行われている時間、コース上ではちびっ子ライダーと女性ライダーによるパレードラン、キッズ&レディースパレードが開催。多くの人にサーキットを楽しんでもらいたいという、オーガナイザーからの心遣いです。