戸田さんのS1000RRレーサーはゼッケン13番。この大会からカラーリングを一新。艶やかなブラックをベースに、ブルーとレッドを配色。BMWのワークスマシンのアザーサイドといったカラーで、実に精悍な印象のマシンとなっています。
MFJ 全日本ロードレース選手権も後半戦に突入
S1000RR でレギュラー参戦中の戸田選手も力走を見せた
バージンBMW のコラム 『S1000RRで勝ちに行く』 に登場しているレーシングライダー 戸田 隆 選手が、8月26日に開催された 『MFJ スーパーバイク 全日本ロードレース選手権』の第6戦 スポーツランド菅生 大会に参戦しました。参戦マシンは、もちろん S1000RR です。戸田さんと S1000RR がエントリーしているカテゴリーは JSB1000 クラス。JSB1000 はリッタークラスのスーパースポーツバイクを改造したレーシングマシンで争われるレースで、国内のバイクレースの中では最速を誇るカテゴリーです。その JSB1000 に、戸田さんは S1000RR を駆って3年連続エントリー中なのです。
MFJ 全日本ロードレース選手権は年間で全9戦、内 JSB1000 クラスが開催されるのは7大会になります。第4戦、5戦では JSB1000 クラスは行われていないので、同クラスのレースの開催は、5月の第3戦つくば大会以来。今回の菅生大会は、鈴鹿8時間耐久ロードレースを挿んでのシーズン折り返し地点。シリーズ後半戦を占う重要なレースと言えるでしょう。
戸田さんは、事前の練習で昨シーズンを上回るラップタイムを連発。好成績を狙って、意気揚々とレースウイークを迎えました。予選ではエンジンと足周りのセッティングが今ひとつ決まりませんでしたが、15番グリッドを確保。迎えた決勝では中盤グループで抜きつ抜かれつのバトルを展開、予選からひとつポジションを上げ、14位でゴールしました。戸田さんと S1000RR の次のレースは、9月9日開催のオートポリス大会。オートポリスは九州きってのツーリングスポットである阿蘇にありますから、ツーリングがてら観戦に訪れてはいかがでしょう? サーキットで見る生のレースは、大興奮すること違い無しです。
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01JSB1000クラスは21台が出走。予選2番手のゼッケン71 加賀山選手がホールショットを獲得。スタート直後のコーナーは、マシンも密集状態で事故も多いのですが、さすがに最高峰クラス。皆、スムーズに走り抜けていきます。15番グリッドからスタートの戸田さんは、スタートで先行者をパスすることに成功。14番手でスタートラップを終えました。
02戸田さんは中盤で集団を形成、その中で流れをリードしてペースを作ります。圧倒的な速度差がない限り、レース中に前走者を抜くのは容易ではありません。ラップタイムの近いライバル達との争いは、どこの集団でも熾烈なものなのです。
03レース中盤までレースをリードしていたのはゼッケン1 ホンダCBR1000RRを駆る秋吉選手、ゼッケン7 ヤマハYZF-R1の中須賀選手、ゼッケン71 スズキGSX-R1000の加賀山選手の3人。秋吉選手はレース中盤でコースアウト、すぐコースに復帰しますが順位を落とし、その後は中須賀選手と加賀山選手のマッチレースとなりました。
04レースの序盤は14位をキープしていた戸田さんですが、タイヤが消耗してパフォーマンスが落ち、1台のマシンに先行を許してしまいます。その後は上位陣のリタイアなどもあり、堅実に走りきった戸田さんは14位でゴール。ランキングポイント7ポイントを獲得しました。
05JSB1000で優勝を果たしたのはゼッケン71 加賀山選手。WSBKやBSBなど海外のレースを長く戦ってきた加賀山選手は、昨年から全日本に復帰。速さは一級品ですし、常にトップグループを走ってきましたが、なかなか優勝することができませんでした。それだけに、全日本復帰後の初優勝となったこのレースは喜びもひとしおでしょう。
06これは戸田さんの予選の様子、カウル類は未塗装の練習用を装着しています。予選は3セクションに分けられ、セクションごとの上位ライダーだけが上位に進出できるノックアウト式を採用。この菅生大会は22台のエントリーがありましたが、予選トップタイムから110%以内のタイムをクリアできなかった1台が予選落ちとなりました。
07予選終了後、戸田さんの「ストレートが遅い」というコメントを受け、メカニックがインジェクションのセッティングを変更。戸田さんのS1000RRは、ECUのプログラムをBMW純正のレース用HPパーツのキャリブレーションキットに変更済み。セッティング変更も専用のアプリケーションで行っています。
08決勝レースのスターティンググリッドでは、お子さん向けのイベント “グリッドキッズ” が開催されました。応募者の中から抽選で選ばれた子供達が、レースクィーンならぬレースキッズとして、ライダー紹介に華を添えました。将来、バイク好きな大人に育って欲しいですね。
09決勝レースを走り終えた直後の戸田さん。暦の上では秋ですが、まだまだ東北地方も暑い日が続いています。決勝レースはスタートからゴールまで40分弱の時間がかかります、その間ずっと全開走行を続けるわけですから、肉体的、精神的な疲労は計り知れません。しかし戸田さんの表情には余裕があります。全日本レベルのライダーは、フィジカル面もメンタル面もタフなのです。
10チームのスタッフとサポーターが勢揃い。戸田さん率いる 【First Star & G TRIBE】 は、戸田さんが代表を務めるショップ 【G TRIBE】 が母体となっており、クルーもショップのスタッフが中心。小所帯でアットホームな雰囲気のチームです。
11外装のペイントが完成したことで質感を大きく上げた戸田さんのS1000RRレーサー。
12菅生大会ではJSB1000以外にも多くのレースが開催。J-GP2クラスはオリジナルフレームの使用が許可されているなど改造範囲が広く、ライダーのテクニックはもちろん、コンストラクターの技術の競い合いも見所です。
13J-GP2クラスで優勝を果たしたのは、ゼッケン31 野左根 航汰選手。若干16歳の現役高校生ライダーです。ラップタイムも素晴らしく、600ccマシンながらJSB1000でも上位に食い込めそうな速さを披露しました。今回の優勝でポイントランキングでもトップに立った、次世代のエースライダーです。
14現在、全日本ロードレース選手権で最も激戦だと言われているのがST600クラスです。600ccクラスのスーパースポーツバイクを使用したレースで、改造範囲が極めて狭く、レース用ではありますがタイヤもスリックではなく溝付きタイヤを使用。イコールコンディションが徹底されたレースなので、常に熾烈な競り合いが展開されています。
15激戦のST600クラスを制したのは、ゼッケン30 タイ人ライダーのデチャ・クライサー選手。前戦オートポリスでは2ヒートとも優勝し、この菅生大会を合わせて3戦連続優勝という圧倒的な強さを誇っています。ポイントランキングもトップを独走中です。
16全日本ロードレースの最小排気量クラスであるJ-GP3。昨年までは4ストローク250cc単気筒エンジン搭載車と、2ストローク125cc単気筒エンジン搭載車の混走レースでしたが、今シーズンから2ストロークエンジンが廃止。4ストロークだけのレースとなりました。エンジンパワーが小さいためスリップストリームが多用される、集団戦が見物のレースです。
17J-GP3クラスの優勝者はゼッケン45 長島哲太選手。予選でコースレコードを1秒近く短縮する好タイムでポールポジションを獲得。決勝レースでは、一時トップを奪われる展開もあったものの、ほぼ全ての時間をトップのまま走りきり、見事な “ポールtoウィン” を決めました。長島選手は現在20歳、若いライダーが活躍するのは嬉しいことです。
18アジア各国の2輪レースのレベル向上と、国際交流を目的としたレース 『アジア国別対抗ロードレース』 も開催。アジアの9ヵ国から集まった代表選手が、ヤマハの150ccバイクYZF-R15を使用したワンメイクレースを行いました。2日間に分けて2レースが行われましたが、どちらも日本人ライダーが勝利を収めています。
19エキジビジョンレースとして 『アイアンモンスターR』 も開催。これは、鉄フレーム車を中心としたストリートカスタム的なマシンで争われるレースで、菅生の名物レースとして人気のイベントレースです。身近なマシンがサーキットでバトルする姿は、多くの観客を楽しませていました。
20ピットウォークでは、多くのレースファンがピットロードを埋め尽くしました。観客の熱気で、パドックの気温が上昇したような賑わいです。決勝レース日は、折しも夏休み最後の日曜日。今年の夏、最後のレジャーとしてレース観戦を選んだ人も多かったようです。
21ピットウォークの時間帯には、サーキットを自分のバイクで体験走行できる 『パレードラン』 も開催されました。国際格式の本格的なレーストラックを気軽に体験できるということで、非常に人気が高いイベントです。参加者は菅生名物 『10%勾配ホームストレート』 の急坂ぶりに驚かされたようです。
22真夏のレースということで、スポーツランド菅生のレースクィーンが浴衣でお目見え。涼しげな浴衣姿は、熱いサーキットに吹く涼風です。また、浴衣で来場した観客には、様々な特典が設けられた “SUGO浴衣まつり” というイベントも行われていました。