VIRGIN BMW | BMW Motorrad インターナショナル GSトロフィー2010 トピックス

BMW Motorrad インターナショナル GSトロフィー2010

  • 掲載日/2010年12月01日【トピックス】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  写真・取材・文/田宮 徹
GSトロフィ 2010の画像

開幕前日に行われたフォトセッション。各国の国旗が選手たちに渡された。この大会は GS 乗りのオリンピック。参加することに意義があるとか言いながら、オリンピックと同じように、だれもがやっぱり、ちょっとでもいい結果を残したいと思っていたはずだ。

開催第2回目は規模を拡大して10カ国が参加!
日本チームも参加した GS 乗りのオリンピック!

2008年に初開催され、今回が2回目となる GS トロフィは、各国から選ばれた代表選手が、F800GS でツーリング&キャンプを楽しみながら、各地に設けられたさまざまなテストセクションに挑戦し、その獲得ポイント数で順位を決めるという大会です。

今回は、南アフリカからスワジランド、モザンビーク、そして再び南アフリカへと戻る、7日間で約 1,700km を走るルートが設定されました。参加チームは10カ国(一部は複数国の混成チーム)で、各チームは3名のライダーと1名の帯同メディアで構成されました。

テストセッションは、泥どろの川渡りやトライアル競技などのライディングスキルを競う内容のモノはもちろんのこと、バイクの押し歩き、GPS ナビを使った宝探し、さらにはトンネルの長さ予想やフォトコンテストなど、多岐にわたりました。

日本からは、予選会を勝ちあがった山内幸治さん、中井善男さん、相川成周さん、そしてメディアとして田宮徹が参加。中井さんが骨折により3日目でリタイアするなど、多くのトラブルに見舞われた日本チームは、残念ながら競技では10位という結果となりました。

しかしその一方で、ツーリングやキャンプでは、アフリカの大自然を大いに満喫。おそらく2度と味わえない、貴重な体験をしてきました。

BMW Motorrad GS TROPHY 2010

  • 主催/BMW Motorrad
  • 協賛/TOURATECH、METZELER
  • 開催日時/2010年11月14日(日)~20日(土)
  • 開催場所/南アフリカ共和国、スワジランド王国、モザンビーク共和国

フォトTOPICS(写真点数/35枚)

GSトロフィ 2010の画像
01日本チームは、オフィシャルフォト撮影にハチマキ姿で臨んだ。日の丸が入ったハチマキは、僕らにとってはちょっぴりはずかしいアイテムだったけど、他国の参加者やオーガナイザーとの距離を縮めるには、最高の小道具となった。
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02晴れた日の南アの空は、絵の具で描いたかのように鮮やか。その下を高速クルージングしているだけで、どんどん気持ちがたかぶっていった。日中の気温は、モザンビークでは30度超え、山岳部では15度くらい、それ以外はほとんどが20度チョイといったところ。
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03最初のテストは、GPS ナビを使ったトレジャーハンティングだった。日本チームは、5ヵ所のうちどこから回るかを入念に検討。作戦そのものは悪くなかったけど、座標の入力ミスや途中でのスタックもあり、残念ながら1時間以内に宝を見つけだすことができなかった。
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04その日の競技結果、つまり獲得ポイント数は、夕食後のブリーフィングで発表される。10位でも1位でも、同じように歓声が起こった。ちなみに夕食はビュッフェスタイルで、十分な量が用意され、アルコール類も振舞われた。もちろん、ドイツ人が好きなビールも豊富。
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05ウェイクアップコールは、早い日には5時半だったことも。とはいえ就寝時間も早めだから、十分な睡眠時間を確保できた。出発前に、とにかく大量に朝食を摂る。昼食は、ちょっとのパンとお菓子類ということがほとんどだから、朝はしっかり食べておかないと体力が持たない。
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06エンジンのかからないトラクターを3名のライダーが引っ張り、50m ほどのコースを1周してタイムを競うというテストが行われたのは、2日目の午前だった。外国チーム勢のパワフルなけん引には、のんびりと昼寝をしていた犬もびっくりしてとび起きた。
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07大きなトラクターのタイヤをパイロンスラロームさせるテストも。ここではパワーだけではなく、メディアを含めた4名のチームワークも試された。簡単そうに見えるかもしれないが、タイヤはかなり重く、ハンドリングはとても難しかった。
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08日本チームの山内さんは大の機械好き。50年以上も前の実動機械がずらりと並んだガレージでは、子どものようにはしゃいでいた。じつはこの写真を撮ったとき、まだこの場所で体力勝負的な2つのテストが行われることは、だれにも知らされていない。
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09バイクに乗ったまま、南アフリカからスワジランド、スワジランドからモザンビーク、モザンビークから南アフリカと、3回も国境を越えた。日本に住んでいる僕らにとっては、こういったことも普段ではなかなかできない貴重な体験のひとつだ。
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10危険なイメージばかりが先行しているが、とくに郊外に住む南アフリカのひとたちはとてもフレンドリーで、国境警備をする黒人のお姉さんだって、ほらこのとおりセクシーポーズで記念撮影。デビッド(スペイン人)の右手の位置がとっても気になるワンカット。
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11幅5m ほどの湿地帯を3台すべてが通過するというテスト。簡単にスタックしてしまうような路面だった。日本チームも果敢に挑んだが、結局はバイクを倒して引きずりだすことに。これを3回やならければならないのだから、相当な体力を消耗したはずだ。
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12スワジランドでは、地元のひとたちが民族舞踊を披露してくれた。スワジの食事はとくにおいしく、種類も豊富で、楽しいディナータイムとなった。ただしすぐ翌日には、今年の GS トロフィでもっとも過酷な時間が待ち構えていたのだが…。
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13路面にコブを見つけたら、どんなに疲れていてもまずはアクセルを開け、とりあえず跳んでみる。どうやらこれは世界中のオフロードライダーに共通する行動みたい。南アフリカには、至るところに僕らが遊べる場所がある。ここではまだ、バイクは自由な乗り物だ。
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14初日そして2日目と、想像よりも涼しい日が続いていたけど、モザンビークに入った3日目は、一転して猛暑との戦いとなった。30度オーバーでのラリースーツ着用はかなりツラい。背中に積んだハイドラパックの水はどんどんなくなっていった。
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15モザンビークへと入国し、ディープサンドエリアまであともう少し、というサンド路面で、日本チームに大きなアクシデントが発生してしまった。中井さんが転倒。足を痛めてしまったのだ。それでも中井さんはその後もゴールをめざし、必死でライディングを続けた。
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16いわゆる砂漠ほどのフカフカではないけど、粒子が細かい砂の道が 30km ほど続くディープサンドセクション。途中からはクルマ1台分ほどの道幅となり、僕は何度となく転倒を繰り返し、その度に南アフリカチームのライダーに助けてもらうことになった。
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17モザンビークではマラリアへの対策にも気を遣った。蚊は思ったよりも多くなかったが、予防薬を飲み、虫よけスプレーをして防御。アフリカの蚊に効くかどうかは知らないけど、とりあえず蚊取り線香も持っていった。「アフリカの夏、金鳥の夏」である。
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184日目、狭い道で向かいから象が来たという想定で、すばやくUターンをするテストが行われた。中井さんがリタイアしてしまったので、リレー方式のこのテストでは山内さんが2回走った。この後、僕らは本当に野生の象を見ることになる。
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19南アフリカの郊外を走るときに気をつけなければいけないのは、人ではなく牛の飛び出しかも。どこまでが飼い牛でどこからが野良牛かもわからないほど、あちこちに牛がいる。そしてときにはこうやって道路を封鎖。マーシャルのレオンも、笑うことしかできない状況だ。
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204日目の夕方、いわゆるサファリツアーに参加することができた。その出発地点は、僕らがテントを建てたキャンプ地のすぐ横。つまりそれって…。案の定、地元の警備員は「ここまでライオンが来ることもある」と言っていた。GS トロフィって、すごい…。
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21サファリツアーで遭遇したライオンはそれほど凶暴そうには見えなかったけど、動物園に飼われているそれとは明らかに違って見えた。「僕のテントには来ないでね」と、そっとお願いしてみた。英語がちゃんと通じたか不安だったけど、ライオンは来なかった。
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22GS トロフィの参加者には、シュラフとエアマット、そして MSR の黄色いテントが支給(プレゼント)された。同じテントが並ぶので、ときどき自分の家がどこだかわからなくなることも。しかしこのテント、組み立ては簡単で居住性も悪くなかった。
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23南アフリカには、ポスター撮影だって簡単にできそうな絶景がそこらじゅうにある。アフリカという言葉から、どちらかといえば土色の大地を想像しがちだけど、緑がとても豊かだ。よく見ると日本に繁殖しているのと同じような植物も多くあった。
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24富の象徴、ということも確かにあるのだろうけど、この国ではいまだにライダーはヒーローだ。沿道では子どもからオトナまで、たくさんの人たちが僕らに手を振り、サムアップし、ときには投げキッスをくれた。ハイタッチも手が痛くなるほどたくさんやった。
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255日目は2台のリアホイールを入れ替えるというテスト。人数がひとり足りない状況ながら日本チームは4位となり、中心となって作業をしていた山内さんは、文字通りみんなから「マイスター」と呼ばれていた。でも僕は、山内さんを勝たせてあげられなかったことがいまでも悔しい。
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26この旅ではずいぶんたくさんの小川をバイクで渡った。あまりに恥ずかしくてみんなに言っていなかったけど、僕は南アフリカで初めて、バイクで川を越える経験をした。回を重ねるごとに波の量をコントロールできるようになって、川渡りはどんどん楽しくなった。
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27テントや着替えといった僕らの荷物は、おそろいの防水バッグに入れ、トラックで運搬してもらった。ちなみにこの荷物運搬用トラック以外にも、救急車やドクターカー、TV クルー専用車など10台近いクルマが帯同していた。
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285日目のカヌーレースは、各チーム2艘ずつでの競争。イタリアチームは1艘が2度も転覆し、最後はリタイア。陽気なイタリアンたちは、そんな失敗をケラケラと笑っていたけど、次の日の朝、この湖でクロコダイルを見たときにはさすがに固まっていた。
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29肉、肉、肉。南アフリカとその周辺国は、とにかく肉を食う文化のようだ。加えて一日中バイクに乗ったりタフなテストをしたりと、カラダを使ってきた僕らが相手とあって、ディナーはとにかく肉料理が中心だった。やせて帰国するはずだったが、太ったかもしれない。
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306日目の朝、キリンが僕らを見送ってくれた。じつはどう猛な性格、なんて言われることもあるけど、野生のキリンはかわいくも気品があり、その美しさについ、バイクを止めて見とれてしまった。襲ってきたら、足の間をくぐって逃げられる、かも?
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31バイクの遅乗りを競った、6日目夕方のテスト風景。3名のライダーによる合計タイムで勝敗が決定した。もちろん、足を着いたり転倒したりすれば、その地点で計測終了。なるべくまっすぐ走ることが条件で、なのに路面は傾斜ありと、難しいテストとなった。
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32最終テストは、マーシャルたちが乗っていた R1200GS を使ったトライアル。これまで乗ってきた F800GS との違いにとまどいながらも、一番最初にアタックした山内さんはすばらしい走りを見せ、会場を沸かせた。
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33ベースキャンプに帰還後、すべてのチームがシャンパンファイトを行った。GS トロフィでは、テストでの好成績を目指すということ以外に、完走するということも重要なのだ。最後まで走りきってこの場所にいることを、みんなで喜びあった。
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34ゴール後のディナーでは、あちこちで寄せ書きやプレゼントの交換が行われていた。同じ時間を過ごし、ともに競い合ったかけがいのない仲間たちへ、僕は「感謝」と漢字で書いた。
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35参加者には GS トロフィ 2010 のファイナリストを示す、ドライブスプロケットが贈られた。きっとこの先、GS トロフィを完走できたというちょっとの自信と、うまくできなかったというたくさんの悔しい想いを、僕に思い出させてくれるだろう。
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