BMWバイク プロに聞く購入ガイド F800S&F800ST(2006-)
- 掲載日/2007年09月06日【トピックス】
- 講師/ヤナセモトラッド芝浦 吉岡 徹恭氏
2006年に登場したオンロードを楽しむための並列二気筒のBMW F800シリーズ。オフロード走行を想定して開発されたF650シリーズとはコンセプトが違い、スポーツ&スポーツツーリングに重点が置かれている。求めやすさとデザイン性の良さから、これまでBMWに乗らなかった新たなユーザー層から人気が高い。
驚きと期待に迎えられた
並列2気筒のF800シリーズ
2006年10月に発売が開始されたまったく新しいBMW、それがF800シリーズです。KやRのモデルチェンジとは違い。このF800シリーズは、まったく新開発のエンジンを使用したモデルであることに注目が集まりました。F650シリーズで実績のあったロータックス社と共同開発を行った並列2気筒は、KやRモデルとは根本から違うものになっています。発表後から発売まで、各媒体で期待の声が高く、お客さんからの前評判も非常に高いモデルでした。発売されてからも我々の期待を裏切ることはなく、もはやBMWのラインナップには欠かせないモデルとなったF800シリーズ。今回はその魅力をご紹介させていただきます。
スリムながら
機能性のあるデザイン
カウルは最低限に、エンジンが剥き出しになったデザインは非常に引き締まった印象。並列二気筒のエンジンは造形も美しく、眺めていても飽きることはありません。大小2灯式のヘッドライトを覆うカウルはエッジの立った作りで精悍なマスクとなっています。カウル形状は当然ながら空力を計算されたモノであり、F800Sの小さなシールドも見かけ倒しではありません。充分な機能性を持ちながら秀逸なデザインを持つのがF800S、ほぼ同じ仕様ながらハンドルや外装の違いでツーリング性を高めたのがF800STだとお考えください。この2モデルはこれまでBMWに乗ったことがないユーザーからも注目を集めています。バイクとしてのバランスの良さが広く認められての結果でしょう。ではそんなF800シリーズをこれから紹介していきましょう。
RやKとは違う装備が
F800シリーズの特徴
まず注目すべきなのは並列2気筒のエンジン。F800Sの場合はエンジンがむき出しになっているため、エンジンの造形美も楽しめるのが嬉しいですね。水平対向のボクサーエンジンも美しいものですが、2気筒のエンジン幅を取らないスリムなエンジンも美しいものです。エンジン前方から伸びるエキパイの流れるようなラインは並列2気筒ならではの光景です。この美しいエンジンは非力ではありません。85馬力の出力を持ち、必要充分な出力を持っています。下道でも高速でも法定速度で走る限り、F800のエンジン性能で何ら不満を感じることはないでしょう。「このくらいのパワーが一番扱いやすい」とあえてF800シリーズに決めて購入相談にやってくる方も多いですね。KシリーズやRシリーズをすでに持っていながらセカンドバイクとしてF800シリーズを購入し、気がつけばF800シリーズがメインバイクに、などという方も珍しくありません(笑)。
F800シリーズの車両構成はRシリーズやKシリーズとは装備が大きく違います。RやKよりもむしろ一般のバイクに近い、オーソドックスな装備の車両と言えるでしょう。テレレバーやデュオレバーが装備されているRやKと違い、Fフォークはテレスコピックフォークを、駆動システムはシャフトドライブとパラレバーではなく、ベルトドライブとモノサスが採用されています。F650シリーズはオフロードでの使用も想定されているため、チェーン駆動となっていますが、F800シリーズはオンロードモデルのため、メンテナンスの手間がなく耐久性の高いベルトドライブが採用されました。世界の市販バイクの中でベルトドライブを採用するモデルは少ないのですが、それはチェーン駆動の方がコストが安く済むことやスプロケットの歯数調整が簡単だからであり、信頼性で劣るわけではありません。BMWのメリットの1つに「シャフトドライブでメンテナンスが楽」という意見がよく挙がりますが、F800シリーズのベルトドライブもシャフトドライブと同様のメリットがあるとお考えください。
SとSTの違いって?
パーツに互換性はアリ
次にF800SとF800STをご紹介しましょう。Sは“スポーツ”、STは“スポーツツーリング”を表すことからもわかりますが、それぞれの違いはカウル形状を見てもわかります。F800STのカウルは足元まで覆われた形状になっており、シールドもやや大型なモノが採用されています。また、ハンドルはSは左右セパレートタイプが、STはパイプハンドルが採用され、ポジションはF800STの方が高い位置にあります。フットポジションはそれぞれ共通なのですが、カウル・シールド・ハンドルこの3点の違いからそれぞれに違った個性を楽しめるようになっています。
その他の装備の違いは3点あります。1点目はSTには標準装備でラゲッジラックが装備されていること。2点目はSTは深くタイヤを覆うリアフェンダーが採用され、Sはスポーティなショートタイプのモノが採用されていること。3点目はホイールデザインがSとSTで違うということです。それぞれのパーツは互換性がありますので、お好みでSとSTのパーツを組み合わせオリジナルなマシンにすることも可能です。
また両モデルともアクティブラインとハイラインという2つの価格帯が用意されており、これはオプション装備有無で違いがあります。Sのハイラインには「ABS、グリップヒーター」がSTのハイラインには「ABS、グリップヒーター、メインスタンド、パニアケースホルダー」が装備されています。使用用途に合わせ、アクティブラインとハイラインのどちらを購入するのか、もお選びください。
好みに合わせて選ぶ
オプションパーツ群
オプション装備はS、STそれぞれに共通のモノですがSの場合、左右のシステムケースを取り付けるのにはラゲッジラックが必要になります。ツーリング時にあると便利なモノとしてはシステムケースだけでは荷物の積載が足りない場合、トップケースやタンクポシェットもラインナップされています。その他にも、S、STそれぞれのシールドや盗難警報装置、センタースタンド、グリップヒーターなどは個別に購入することが可能です。センタースタンドは整備や洗車時にあると非常に便利ですから、余裕のある方は初めから取り付けておくことをオススメします
またF800シリーズは日本標準ではLOWシートが採用されています。本国標準のHIGHシートもオプションで販売されていますので、足つきに不安がない方はHIGHシートを試すのも面白いでしょう。F800シリーズが本来どのようなスポーツ性能を持っているのか、LOWシートとはまた違うスポーツライディングが楽しめます。
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