BMWバイク プロに聞く購入ガイド K1200LT(1999-)
- 掲載日/2006年03月27日【トピックス】
- 講師/プラッツ愛媛 仙波 博氏
BMW Motorradのフラッグシップ的な位置づけのマシン。2000年にインテグラルABS、2004年には出力が116psにアップ。電動式ウインドスクリーン、120Lの大容量ケース、オーディオシステムなどなど考えうる限りの快適装備でロングツーリングを存分に楽しめるモデル。意外にもワインディングも充分楽しめる。
主張し過ぎず、上品な風格を漂わす
BMWのフラッグシップ
1998年の登場以来、BMWのフラッグシップであり続けるK1200LT。派手すぎず、上品なラグジュアリーモデルであることはBMWオーナーならどなたも納得していただけるでしょう。どこから眺めても見る者の目を捕らえて離さないオーラはさすがの一言です。もし、何十日もかけて旅をするときであっても標準装備のサイドケースだけで旅ができてしまう懐の深さ。旅する乗り手に負担をかけないよう、思いつく限りの豪華装備、それがオーラとなって見る者の目を惹き付けるのでしょうか。
K1200LTの持つ荘厳さは、例えばハーレーのような男性的で無骨な荒々しさではなく、むしろ母性を感じさせる優しさにも例えられます。ある人が「乗り手を過酷な旅から守ってくれる、母性を持ったツーリングモデルですね」と表現しましたが、まさにその通りのモデルと言えましょう。その見た目の大きさのあまり、乗りこなすのをつい躊躇してしまう方もいらっしゃいます。しかし、K1200LTは皆さんが想像する以上のポテンシャルを秘めています。走行可能状態では390kgの車体重量がありますが、走り出してしまえば重さを忘れさせ、スムーズな加速で乗り手を旅に誘います。ツーリングに快適なラグジュアリーさだけがK1200LTではないことを、これからご紹介いたしましょう。
一日でたとえ1000km走ったとしても
乗り手に疲れを感じさせない充実装備
見た目の大きさを印象付けている大柄なフロントカウルは、乗り手の体全体を走行風から護ってくれます。上半身はもちろん、足元に至るまで徹底されたカウリングの恩恵は大きく、たとえ何百キロ走行したとしても、風による体の疲れを感じるのが難しいほどです。高速走行時でもオーディオの音がかき消されることはなく、乗り手の周りだけ空気の流れが止まったかのように音はハッキリと響いてきます。リズムに乗って高速で遠くまで行くその楽しさはまさにK1200LTの大きな楽しみの一つでしょう。また、24リットルを誇るタンク容量のおかげで、どれだけ長いツーリングであっても、恐らくは日に1度以上の給油は経験できない…驚異的な無給油走行が楽しめるのはBMWならではの特徴でしょう。
乗り手に危険を
感じさせない豪華装備
2000年にインテグラルABSが、04年にエンジンの改良による出力の向上が見られましたが、K1200LTは登場以来、大きな変化はなく安定した人気を保っています。搭載されている水冷直列4気筒エンジンからは116psもの出力が発揮されます。これだけの出力があるからこそ、重い車体をアイドリングからスムーズに発進させ、重い荷物を積載した状態からでももたつきなく加速させることができるのです。
さて、次にブレーキ、サスペンション(テレレバー、パラレバー)についてご説明しましょう。BMWのお家芸とも言えるこのサスペンションは、急ブレーキでも不安が募ることがありません。BMWのテレレバーは、激しい制動時でも、前のめりにならず安定しているからです。一般によく採用されるフロント・サスペンション(テレスコピック)だと、急激な加重移動で前のめりになってしまいますよね。それがないのです。
サスペンションとともに、ライダーに安心を提供してくれるのがブレーキシステム。ABSとインテグラルブレーキ、電子サーボです。ABSはご存知「アンチロック・ブレーキ・システム」で、急ブレーキ時でもタイヤをロックさせないシステムです。インテグラルブレーキは、フロントブレーキをかけるだけで自動的にリアブレーキも適正に効いてくれるありがたい機能です。ただし、リアブレーキだけを踏むとリアのみがブレーキングされます。これは、リアブレーキでマシンをコントロールできるようにというBMWの配慮といえます。最後に電子サーボ。力の弱い方や、ふとした拍子にブレーキの入力が弱くなってしまった時、入力をサポートしてくれます。このブレーキとサスペンションで、116psのパワーを制御できるのです。ライダーは余計な心配をせずにライディングに集中してください、そんなBMWの声が聞こえてきそうですね。ただ、電子サーボのため、イグニッションがOFFになっているときにブレーキを握ると、ブレーキが効くまでにタイムラグが出てきますので、お気をつけください。
足りないものは何一つない
乗り手に危険を感じさせない装備
これまで機能面について話を進めてきました。こちらでは、乗り手に優しい装備を見て行きましょう。まずは、人間工学に基づいて設計されたシート。一見大柄に感じますが、足つきを考え設計されているため、想像以上に足つき性がいいと感じられるでしょう。「LT」の名を冠するモデルに装備されているだけあって、シートの座り心地は当然ながら快適。コーナーでの踏ん張りも効き、さまざまな条件下でも乗り手に不満を抱かせない作りになっています。
まず、ウインド・スクリーンは電動で無段階での高さ調整が可能で、ライダーの体格・気分に合わせて自由に高さを調節でき、もちろん走行中に高さを調整することもできます。もっとも低い位置にシールドを持ってくれば風を楽しむことができ、やや疲れているときにはシールドを高くすれば風が体に触れることはありません。シールドをあげ、オーディオから音楽を流す走行は、まるで快適な屋内でくつろいでいるかのような錯覚をさええます。
次に積載性についてお話しましょう。言うまでもなくK1200LTは、BMW随一。なんと120Lもの大容量です。ロングツーリングでは、トップケースと左右サイドケースに旅の荷物をしまい込み、それでもまだ余裕が出てしまうことにきっと驚かれることでしょう。たとえ、どれほどの長旅であっても積載に気を悩ませることはないと言えます。
さて、その豪華装備ゆえに車重のあるK1200LT。この問題についてもBMWは、対処するシステムを装備しています。例えば、駐車。なんと、ボタンを押すだけで簡単に駐車できる「電子油圧式メイン(センター)スタンド」が搭載されています。他のモデルにはない、非常に使い勝手のいい装備です。もう一点、うれしい装備があります。「リバース機構(バックギア)」です。車体の左側にあるレバーを捻れば、例え最大積載時であってもスルスルと簡単にバック走行が行えます。このようにその重さを感じさせない装備が充実しているため、不安を感じずにツーリングを楽しむことができます。
極上の乗り心地に
自分へのフィット感をプラスする
オプション装備なしでも充分豪華なK1200LTですが、さらにK1200LTを楽しく、快適にしてくれる装備が用意されています。大柄なライダーであっても走行時の風や雨からしっかりと守ってくれるハイウインドシールド(72,975円)。空力にこだわるBMWならではの嬉しいアイテムです。また、トップケース用ラゲッジレール(48,615円)も意外に人気が高いオプション品です。頻繁に持ち歩きたい荷物、ケースの幅に収まりきらない荷物を積載するときには実に役立つのがラゲッジレールです。なおラゲッジレールには補助ブレーキライトが内蔵されているため、後方からの視認性も上がり安全性もアップします。
特別装備として、高さが調整できるパッセンジャー用フットレストプレートもラインナップされています。パッセンジャーの体格に合わせて自由に高さを変えられるため、快適なライディングが約束されます。K1200LTのトップケースおよびサイドケース用のインナーバッグも、持っていると役立つアイテムでしょう。ケースから荷物を持ち出すことが多い方にはオススメのアイテムで、インナーバッグは撥水加工が施されているため普段から使用できる実用性が高いバッグですね。