BMWバイク プロに聞く購入ガイド K1200S(2005-)
- 掲載日/2006年02月19日【トピックス】
- 講師/モトラッド愛知 (柴田モータース) 柴田 恭成氏
K1200Rと同様、新型横置4気筒エンジンを搭載。最高出力、なんと167psを誇るBMWのモンスターマシン。新開発のデュオレバーサスペンション、EVOブレーキ、ABS、電子サーボを装備。速いだけではなく、安全なライディングを両立させる。BMWの十八番であるロングも快適にすごせるマルチなマシン。
サスペンション、ブレーキ、エンジン
三位一体の完成度の高さ
2004年、誰も見たことのないBMWが発表されました。167ps、新型フロントサスペンション「デュオレバー」を装備した高性能マシン「K1200S」です。高い信頼性と販売実績を誇る日本製マルチエンジン搭載車に肩を並べるこのマシンは、2005年春の発売以降、順調な人気を誇る1台。
さて、このマシンに跨るなら、きっと皆さんの価値観を少し変えてしまうことと思います。特に日本のスパースポーツに乗っている方は驚いてしまうのではないでしょうか。これはエンジンのことを言っているのではありません。出力だけ見るとK1200Sの167psという数字はさほど驚くに値しません。むしろK1200Sは全体の完成度の高さにこそ価値があります。BMW唯一無二のサスペンション(デュオレバー、パラレバー)に加えて、ABSやインテグラルブレーキといったブレーキシステム、そしてエンジン。三位一体とはまさにこのことで、安全ながらも激しいスポーツライディングを実現してくれます。
今までスポーツモデルに乗ったことがない人でも、ぜひ試乗していただきたいモデルです。モーターサイクルの醍醐味と言っていい「コーナリング」の楽しさを改めて実感できるでしょう。そして、安心に包まれながら走るという新しい体験を、全身でご理解いただけることと思います。
モンスターマシンながら
ストリート基調
大径のヘッドライトにミラー&ウインカーが印象的なフロントマスク。BMWの十八番とも言えるウインドプロテクトはスクリーン、カウリングで非常に優れていることも写真からお分かりいただけるでしょう。大型のマフラーは、かつてのBMWにはない軽快ながらも迫力のあるサウンドが響きます。リヤタイヤの幅はK1200Rより10mm太い190mmで、リアビューも迫力に満ちています。
強力なパワーを支える機能が
惜しげもなく注ぎ込まれています
K1200Sの性能は167psのパワフルなエンジンだけではありません。先ほど申し上げたとおり、サスペンション、ブレーキシステム、エンジンの三位一体の構造が、高い走行性能を実現しています。もちろん、そのほとんど全てがBMW唯一無二のプロダクトです。初めてオートバイにお乗りの方でさえも、楽しめてしまいそうなマシン、K1200Sはその意味を改めて感じさせてくれます。では、ここではサスペンションとブレーキについてご説明しましょう。
まずはブレーキ、サスペンション(デュオレバー、パラレバー)。この「K1200S」には新登場した『デュオレバー』が搭載されています。これは、従来のBMWに搭載されていた「テレレバー」とは違います。強烈なパワーを持つK1200SやRが発生させる、ブレーキによる強烈な加重移動をほぼ完璧に収束させるのです。もちろん、テレレバーではムリというわけではありません。デュオレバーはより快適なブレーキ、例えば100km/hくらいの速度からのフルブレーキでもライダーを不安にさせないことを目指して作られているのです。コーナーに侵入するときに、安心してフルブレーキングし、速度を適正値に戻す。自分の技量に合った速度で(それでも高速コーナーが可能ですが)コーナーを走ることが可能なのです。
これはオプションですが、ESA(Electronic Suspension Adjustment/電子制御サスペンション)をご紹介いたしましょう。その名前のとおり電子制御、ボタン一つでサスペンションの性能を変化させることができます。1人乗り、1人乗り+荷物、タンデムなどといった加重調整はもちろん、減衰力(振動を押さえ込む力。サスの堅さ)を、乗り心地重視、普通、スポーツ仕様などとコントロールできます。K1200Sを最大限に楽しむことができる有望なオプションです。
最後にブレーキシステム。ABSは当然ながら、前ブレーキの操作で自動的にリアも作動するインテグラルブレーキシステム、電子サーボでほとんど無敵といってもいい機能です。浅いダートで急ブレーキを行ってもスーッと停まることのできる安心感は絶大です。
高い風防効果に
快適な居住性を両立
ここまではK1200Sのパワー面について話を進めてきました。ここでは、快適というキーワードで装備を見て行きましょう。まずは、シート。ロングでの快適性はBMWの十八番。人間工学に基づいたこのシートは、当然ながら快適ですし、コーナーでの重心移動もスムーズに行えます。日本の標準仕様ではシート高は790mmとなっていますが、820mmにも換装することができます。身長が170cmを超えている方なら820mmにするのもいいと思います。シート高が低いと乗りづらいというお客様もいらっしゃいますから。ちなみにこれは、K1200Rでも同様です。
K1200SのK1200Rとの最大の違いはウインドプロテクトでしょう。大型のフェアリングは、高速道路での長距離、高速巡航もラクラクこなせてしまう実力を備えます。また、それだけではありません。膝を伸ばせるよう、ステップ位置はやや下にマウントされています。国産スーパースポーツで窮屈に感じていた方には、小さいがうれしいポイントでしょう。実際、お客様の中でもそういった声をお聞きすることもあります。こういった長距離巡航という志向性は、K1200Rとの大きく差別化されているといえます。
スタイルを崩さない
積載オプションの数々
ロングツアラーとしても機能するK1200S。性能面でのその実力は、お分かりいただけたと思います。ここでは、ロングには欠かせない積載性能についてご紹介しましょう。他のモデル同様、K1200Sにも豊富なオプション・パーツが用意されています。パニアケースは、ヘルメットを収納できるだけの容量をもち、タンデムツーリングなどでも充分な積載性を持ち合わせます。ちなみに下の写真のパニアケースは、容量を最大にしたときのものです。荷物が少ないときには縮めてスリムにすることも可能です。もちろんですが、このパニアケースは取り外しも簡単ですからご心配なく。
次にタンクバッグ。こちらは2タイプあります。写真の都合上01と02と表記していますが、商品名ではないので、お間違いないようお願いします(02は、タンクポシェットが正式名称です)。双方ともに強力な積載力を誇りますので、ロングツーリングでは頼もしいパートナーとなってくれるでしょう(容量は、01が19リットル、02が13リットル)。タンクバッグは、スタイルを左右するアイテムですが、BMWは純正で豊富なバッグがあり、スタイルにあまり影響を与えないのが魅力ですね。
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