第1回 エンジン1
ついに登場したCシリーズは、意欲作だった C1 以来となるスクーターだ。これまでの BMW モデルとは一線を画し、アーバン・モビリティという新カテゴリーに投入されたCシリーズを、例によって世界一細かく解説していこう。
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Cシリーズのラインナップはご存知の通り、スポーツルックの C600Sport とツアラースタイルの C650GT との二本立て。外装部品には一切の共通部品はないが、エンジンやサスペンション、ブレーキまわりなどの主要コンポーネントはまったく同一である。
70度前傾したシリンダーを持つ水冷並列二気筒エンジンを、ライダーの真下に搭載する。レイアウトとしては大型スクーターの定石である。
最高出力 60馬力(44kw)を 7,500rpm、最大トルク 66N・m を 6,500rpm で発生する高圧縮(11.5:1)の 647cc エンジン。ボア×ストロークは 79.0mm×66.0mm、いわゆるビッグボア・ショートストロークである。BMW としては初の 90度位相 270度クランク採用。直接のライバルとなる大型スクーターの中では最もハイパワーだ。
エンジンからパワートレイン系までが一体化されていることがわかる。
左がCシリーズのエンジン。右隣の K1600GTL の6気筒エンジンと比べてみると、当たり前だがスリムさがよくわかる。
排気量が近い同じ並列二気筒 DOHC エンジンのFシリーズとは、一切共通点がない完全専用設計である。最近のエンジンにしてはおおぶりで、ギリギリまで小さく設計したようには見えない。
後述する CVT やクラッチ系は右サイド、発電系など電装部品は左サイドに配置される。
ヘッドカバーを開けてエンジン内部を見る。DOHC・4バルブのエンジンは、ロッカーアームを持たないカム直押し式である。
カムシャフトは直接バルブリフターを押す。おそらく騒音対策だろう。K1600系のバルブまわりと似ているが、K1600系はリフターがシムを兼ねる。
バルブクリアランスはリフター内のシムを交換して調整する。クリアランス指定値(冷間)は吸気 0.16~0.24mm、排気 0.24~0.32mm。調整は 40,000km毎。
ピストンヘッドはバルブリセス(バルブ逃げの切り欠き)すらない完全なフラットで、これも最近では珍しいスタイル。
燃焼室は極端に小さい。ここまでの特徴をまとめると、270度のクランク角以外には特筆すべきところがなく、並列二気筒エンジンのお手本のような作りである。
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