第1回 エンジン
各メディアでの好評もあり、発売以前より数多くのバックオーダーを抱えている BMW Motorrad の旗艦 K1600GTL。その K1600GTL は大きいだけのツアラーではなく、現在の BMW のテクノロジーを惜しみなく投入した文字通りのフラッグシップ。一般読者やオーナーですら見る事ができないメカニズムやメンテナンスの詳細を眺めながら、K1600GTL の本質を紹介していこう。
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並列6気筒エンジン。四輪での歴史は長いが、二輪車用のBMWエンジンとしては初めての採用となる。
エンジン型式は166EA。数字は、1600cc、6シリンダーを意味している。
シリンダーは55度前傾されている。これは4気筒のK1300 と同じ角度。ボア×ストローク= 72.0 × 67.5mm で排気量は 1,649cc。圧縮比は 12.2 である。
後述するドライサンプ方式の採用によって、エンジンは極めて低い位置に搭載される。それによってクランクシャフト軸の位置はステップとほぼ同じ高さとなっている。
旧縦置きKエンジンは、振動対策のためフレームにラバーマウントしていた。結果、エンジンを車体強度部材とできず、フレームが重かった。新横置きK シリーズからはエンジン振動を大幅削減し、ソリッドマウントとしたため大幅に軽量化できた。
エンジン単体の全景。オルターネーター(発電機)やスターターモーターは、クランクケース上の中央に配置される。手前、ライダーの足元の幅は4気筒エンジンと変わらない。
エンジン幅は 562.5mm。重量はクラッチ・ミッションを含めて 102.6kg。K1300の4気筒より 80mm 広く、17kg 重い。
エンジン前方からの眺め。見慣れると極めてスリムであることがわかる。点火順序は1-5-3-6-2-4。
一体式クランクケースではあるが、ミッションケースは別部品で、小型化よりもメンテナンス性を考慮したことがわかる。このあたりは4気筒Kシリーズも同じ。
エンジン右サイドには大型のクラッチが収まる。カバー類のほとんどが軽量なマグネシウム製。強度を要求されないボルトはアルミ製が使われている。
カウルに隠れて見えないが、転倒時に接地する場所にはプラスチック製の衝撃吸収ガードがボルト留めされている。左側も同様にガードが装備される。
排気系をレイアウトするための逃げが必要なので、オイルパンはこんなカタチ。ドライサンプ方式を採用しているので、それほど大きな容量を必要としていない。
これはオイルパンのみのドレインボルトで、本来のオイルタンクのドレインボルトはこの奥にある。締め付けトルクは 28N・m。
オイル量は覗き窓ではなく、ディップスティックで確認する。カタログや取り説の容量は 4.5L だが、実際には約 5.0L 入る。エンジン最後部にオイルタンクが内臓されている。
オイルフィルターは、4気筒Kシリーズと同じものを使っている。
指定オイルはカストロールのパワー1レーシング。100%化学合成である。粘度は5W-40か10W-50。二輪専用開発品。JASOMA 規格。
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