最終回 テスターチェック
BMW 初のパラレルツインエンジン。一見して従来のFシリーズとは異なるキャラクター、サプライズともいえるプライスタグなど、各方面から注目の F800 シリーズが到着。そのメカニズムについて、メンテナンス方法も交えて世界一詳しく紹介しよう。
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BMW 専用テスター GT1 でテストしてみる。新車の PDI (プレ・デリバリー・インスペクション) はもちろん、初回を含む点検・車検などで随時チェックする。バイク側の専用コネクターとつなぐと自動認識され、この F800 の仕様が表示された。
これはダイアグノーシス (診断) 画面。すべて異常なし。異常もしくは過去に異常があれば表示される。この F800 はベーシックラインなので ABS の項目が無い。装備品の多い R1200RT 等ならその分だけ項目が多い。
プログラムの書き換えやアップデートが必要なら、この CIP 画面から作業する。純正電気系アクセサリー (盗難防止アラーム等) を取り付けた場合、ドライバーをインストールしないと取り付けられた機器を認識できず、電源も供給されない。
バルブクリアランスの点検・調整時期の確認画面。このテスターが測定しているのではなく、バイク側がいままでの走行時間や使用回転・負荷などをすべて記憶しており、テスターがいつ頃点検するのが妥当か判断するのだ。
現在の走行距離と点検すべき残り距離の表示。初期設定は 20,000 キロであることがわかる。これから距離を重ねるにつれ、点検すべき走行距離も変動する。つまり激しい走りが多いと、普通より減算されていく。実際に点検または調整したら、この画面でリセットする。このシステムは K1200 系から採用している。
これもテスト画面。エンジンはアイドリング中。回転数はもとより、センサーが測定した水温・吸入空気温・大気圧などリアルタイムで表示される。
配線図。コネクターの位置なども表示できる。必要な場所をズームしてプリントアウトする事が多い。
サービスマニュアルは CD-ROM。パーツリストは 60 年代から現在までの全バイクと四輪あわせて DVD (非売品) 化されている。パーツリストの価格データは更新が早いのでネット経由でダウンロードする。BMW では部品の発注や各種申請整備情報。各種資料など、すべてインターネットを使っている。マイスター同士が情報交換する BBS まであるほどだ。紙の資料はカタログぐらいか。
F800 の発売と同時に全ディーラーに発送された専用スペシャルツール。エンジンヘッド廻りはKのツールと共用できるのでニューモデルの割りには少ない方だ。これらは最低限必要と判断されたもので、専用ツールはもっと多い。必要なものがあれば追加購入する仕組みで、これが結構お値段なのだ。いつも思うのだが、専用ツールがなくても整備できる工夫をして欲しい。
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第16回 点火系