第15回 排気系
BMW 初のパラレルツインエンジン。一見して従来のFシリーズとは異なるキャラクター、サプライズともいえるプライスタグなど、各方面から注目の F800 シリーズが到着。そのメカニズムについて、メンテナンス方法も交えて世界一詳しく紹介しよう。
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サイドカウルの下部分を外す。ビスは5本。STは8本。不思議なことにウインカーから伸びた配線と車体のワイヤーハーネスが一体。クイックコネクターが無い。ぶら下げておいても不自由しないが……。●
カウルを完全に外すためには、レンズを外してウインカー内の配線を抜き、ステー内から引き出す。大した手間ではない。
このカウルを外してもラジエターがよく見えるぐらいで、メインテナンス上のメリットはほとんど無いことがわかった。
カウルの厚さは実測で3ミリほど。軽量化のためもあるだろうが、プラスチック成形の技術が進んだせいもあるだろう。他メーカーのスーパースポーツモデルにはもっと薄くて軽いカウルがある。
ミラーはステーごと前方に畳むことができるので、車体カバーを掛けるときやガレージ収納に便利。
上部のサイドカウルはミラーステーと共締め。ミラーはカウルと同じ T25 トルクスビス2本で固定されている。
あとはビス2本と前側のゴムブッシュのはめこみで長いサイドカウルを外すことができる。滅多にないことだが、フロント廻りのカウルを外すのに、車載工具のドライバーで 26 本 (STは 32 本) のビス (ミラー用含む) を外すわけだ。数は多いが隠しビスや手が入りにくいところは一切無い。
カウルビスは全部同じ T25 トルクスで長さも同じ。トルクス規格ネジはトルクの伝達効率が最も高く、穴が浅くても滑りにくくネジを小型化できる長所がある。近年の BMW はほとんどすべてこの規格だ。ステンレス製なので錆びないのはいいが、狭いところに落とした時にマグネットピックで拾えないので、メカニックの立場ではちょっと不便。
左側面からの図。バッテリー横には唯一のリレーであるスターターリレー。その後ろはエアボックス。エアインテークダクトはかなり長め。
ダクトは工具不要で外れるピン2本で固定されている。
ダクトを上に抜き出す。
ダクト側にエアフィルターが挿入されている。市街地走行が多いとディーゼルスモーク等、清掃でも落ちない汚れが付着する。20000 キロ までに交換とあるが、清掃は随時、交換はせいぜい 10000 キロだろう。
乾式なので高圧エアで掃除できる。交換時の部品代は 2,580円。エアフィルターの点検や掃除・交換だけなら、左のカウルを外すだけで良い。
右後方からの眺め。エアボックスの大きさが目立つ。
クーラントのサブタンク。ラジエターを含めた総容量は 1.65L。クーラントは不凍液と同時に、冷却経路やラジエター内の腐食防止液でもある。その効果は時間の経過とともに弱くなるので、4年毎に交換が望ましい。
ライトやメーターは大きなプラスチックのブラケットに固定する、最近の BMW に共通したマウント方法をとる。軽いうえに金属ステーのようにビビらないし、転倒しても曲がらない。
エアボックス最後部には ECU 類が設置される。
エアボックスを外してみよう。T30 のトルクスボルトが4本。あとはホース3本と電気コネクター2本。
見えるボルトを外していくだけで簡単に外れるエアボックス。内部に長めのエアファンネルが装備される。
インジェクションのスロットルボディとエアボックスの接続には、バンドによる締め付けは一切無く押しつけられているだけ。これは F650 や K1200 も同様。下に見えるのはアイドルコントロールバルブ。
フレームとエンジンの位置関係がよくわかる。いわゆるツインチューブフレームの典型的レイアウト。
フレーム内側には遮熱材が張り付けられている。
BING 社製のスロットルボディ。口径は 46 ミリ。ほぼ真上を向いており、重力による慣性加給効果を得ている。これは F650GS 系やKと一緒。
エンジンのヘッドカバーには、ブリーザーホースの他に排気ポートに空気を供給する二次エアシステムのホースがある。
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