第3回 クラッチ/ステップ
ついに BMW 初の体育会系ダートバイク、HP2 Enduro の登場です。R1200GS ベースというより、GS のエンジン等を使ったまったく別のバイクと表現すべきで、他のいかなる BMW バイクの系列にも属さない。オーナー以外では滅多に見られない細部をお見せしよう。
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クラッチはなぜかディスクとスプリングだけが GS と別品番。ただの品番変更か、公式資料には載っていないが強化部品かもしれない。トランスミッションのギアは GS と全く同じだがベアリングが強化されている。オイルは SAE90APIGL5 以上のグレードで容量は 0.9L。初回交換以降は4万キロか2年の早い方での交換を推奨する。日本の使用条件なら、一年毎が理想。弊社では通常 80W90 のハイポイドギアオイルを使用。フィラー・ドレンプラグとも締め付けトルク 30NM。
シフトペダルは見ての通り、可倒式が採用された。先端はアルミだが、本体は曲がっても折れにくいスチール製である。ピボット部分 (ペダルの根本) は GS と違って車体奥にあり、転倒しても大事なところは壊れにくい設計である。
シフトペダルシャフトが離れた位置にあるため、リンクを介して駆動される。ボールジョイントにはウレタン製のブッシュが入り、グリスの流出と異物が噛み込むのを防ぐ。古くなるとブッシュが割れて脱落、グリスが流出してしまう。点検ポイントのひとつ。
大きく広い剣山のようなステップは、HP2 Enduro の用途を無言で語っている。もちろん、オフロードブーツの着用が前提である。公式資料によれば素材はステンレスだが、鉄の含有量が多いらしく磁石がくっついた。やけに溶接がキレイだなと思ったら、なぜか鋳造製で驚いた。普通は鉄板だろう。ピボットピンはムクのステンレス製である。このステップ、1200GS にポン付けできるかと思ったが、ピンの直径が HP2 の方が太かった。取り付けの幅が GS と同じなので、加工すれば付きそうだが、これぐらい流用可能にすれば良いのになぁ…。
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