第6回 R1200RT 駆動系
今回取り上げるのは、R1200RT と ST である。ここでは装備品が多い R1200RT をメインに、通称 PDI (Pre-Delivery-Inspection:納車前点検) 作業に加えて、新規採用されたメカやディテール、メインテナンス情報をできるだけ分かりやすく解説していく。オーナーおよびオーナー候補の方々も参考にされたい、ディーラーメカニックだけが知り得るニューモデルの細部を紹介していこう。
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ダイナモは小型化され、GS の 600W から 720W に強化された。さらにプーリーの径を小さくして贈速し、RT の消費電源の多さに対処している。アイドリングで GS の倍以上の 27A を発生。駆動ベルトは調整不要となり、6万キロごとに交換。
両車ともトランスミッションはカウルに隠れて見えなくなってしまった。ミッションオイルのチェックにはサイドカウルを外す。ST はビス一本だが、RT は 22本も外さなければならない。
パワーに合わせて大型化された乾式単板クラッチと、ヘリカルギアの6速ミッションは 1200GS と共通部品。ギアレシオも同じ。オイル容量は 0.8 リットル。SAE90APIGL5 以上のグレードが指定。交換インターバルは二年もしくは4万キロのどちらか早い方だが、年に一度は換えたいところ。締め付けトルクは新品ガスケット使用で 30NM。
ドレンプラグはミッション右側面から底面の右側に変わった。締め付けトルクは新品ガスケット使用で 30NM。
シフトレバーから長いリンクによって動作される。旧 RT の、高さを二段階に調整できる機構は廃止。ロッドの長さを変えることで無段階調整する。
GS と同じく中空で小型軽量化されたファイナルドライブユニット。減速比は GS の 2.818 から 2.615 に変更。旧 RT は 2.920 だから 1200 系はかなりハイギアード化されている。低速トルクの増強と軽量設計のためだ。燃費や走行騒音・排ガスの点で有利なのはいうまでもないだろう。
上のトルクロッドを外し、90 度後ろに回転させてドレンプラグからオイルを抜く。前回これをフィラープラグと記述したがドレンプラグ、が正しい。オイルはスピードセンサーを外して注入する。総量は 0.25 リットル。交換時 0.23 リットル。指定オイルはカストロールの SAF-XO。交換インターバルは 10 万キロで事実上メンテフリーとなった。
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