G650Xチャレンジ(2007-)
- 掲載日/2010年11月02日【BMWバイク中古車ガイド】
G650Xチャレンジの歴史など
G650X シリーズ3兄弟のエンデューロ・モデル
ビッグ・オフ・シングルはマニア向け?
G650X チャレンジは、他の G650X シリーズ同様 2007年4月に日本で販売となりました。当時の状況は、F650GS がシングルからツインエンジンへモデルチェンジを迎えた8年目にあたり、R1200GS が日本でも諸外国でも順調に販売台数を伸ばし、オフロード性能を高度に追求した HP2 エンデューロの企画が成功したのを受けての登場です。BMW がオフロード・モデルへ相当に力を傾けていたことがうかがい知れます。
チャレンジの販売価格はアクティブラインという ABS 無しの仕様で 113万5,000円でした。導入当初には ABS 仕様の入荷が無くアクティブラインだけでしたが、2年目の後半には ABS を装備したハイラインも、プラス 10万5,000円の価格設定で販売されました。ただし、輸入・販売されたハイラインは極めて少量のようで、「BMW = ABS有り」という図式が当てはまらない、台数の少ない仕様です。
チャレンジの日本における販売台数は、他のモデルと比べてもわずかだと思われます。それでも30年前に発売された R80G/S よりは多いだろうと想像します。それ故に店頭で中古車として並ぶことは少なく、年数が経てば経つほど見かけることは少なくなるでしょう。ただし、本格的オフロード車であるために万人受けするモデルではないため、入荷すると長い期間店頭に並んだままになるかもしれません。
G650Xチャレンジの特徴
本格的なオフロード走行を想定した
エンデューロ・ファンも納得の仕様
G650X challenge は「G650 クロスチャレンジ」と呼びます。何よりもオフロード走行を特に重視して造られた車輌で、そういった意味では HP2 エンデューロと同じ性格が与えられた特別なモデルです。
BMW は高価な HP2 エンデューロよりも G650X チャレンジで多くのオフロードファンに楽しんでもらいたかったのかもしれません。そのためエンジン、フレーム、電装品、メーター、ガソリンタンクは G650X シリーズや他のモデルと同じものを使ってコストを下げる代わりに、このモデルに合わせて豪華にすべき所は十分にコストを奢っています。たとえば、フロントフォークはストロークの長い倒立タイプを装備して高剛性と共にバネ下重量を軽くし、リアサスペンションには HP2 エンデューロと同じコンチネンタル社製のエアサスペンションを装備しています。エアサスはコイル式とは比較にならないほどの軽量化と、容易な調整方法を可能としています。また、シート位置が高くなってしまうので一般受けしないフロント21インチ、リア18インチのタイヤも、路面追従性を向上させて可能な限り走破性を高めるために欠かせない、思い切った装備です。
軽量化はアルミ製テーパー型ハンドルバー、液晶メーター、薄型フロントブレーキディスク、樹脂性燃料タンク等多岐におよび、リアステップは省略されてオプション設定となっています。装備重量でもわずか 156kg という軽量モデルです。ただし、シート高は体重に合わせて調整すると 930mm にもなり、2センチ低いローシートに替えたとしても、恐怖心なく信号待ちできるというモデルではないので注意が必要です。
ハイテク・サスペンション装備
エンジン下の衝撃も想定
ライダーの動きを優先
当時のカタログを見てみよう!
高いオフロード性能を満喫するための
本格的エンデューロ・マシン
中古車選びの注意点
使用用途が明確なモデル
特に足回りは要チェック
G650X チャレンジでバッテリーが頻繁に上がってしまうという不具合が以前ありました。これはバッテリーの問題で、車体側の問題ではないので不安に思う必要はありません。対策品の純正バッテリーや名の知れたメーカーのものに交換すれば、不具合は起こりません。その他では特に問題が多く発生するという箇所もありません。
ただし、フロントブレーキディスクは軽量化のため薄いものが使用されているので、他の BMW よりは交換サイクルは短めだと思われます。簡単に目視できる部分なので、ブレーキパッドだけではなくディスクも触って磨耗を確認することが必要です。リアのディスクは使用頻度と熱対策のため、通常の厚みのものが使用されています。
- ● 走行距離を確認して、ドライブチェーンの伸びやスプロケットの磨耗状況を確認する。
- ● 10Ahという小型バッテリーを使用しているので、少しでも弱っていると感じたら要交換です。
- ● 丈夫さが売りのテーパー型ハンドルも、比較的容易に曲がってしまうので慎重に確認する。
- ● 水冷エンジンのため装着されているラジエターの変形やフィンの状態をよく確認する。
- ● 液晶メーターの表示に欠けている部分や、液晶が流れていないかを確認する。
- ● フロントフォークのインナーチューブにキズやサビがあってフォークシールを痛めていないか。
- ● フロントホイールの歪みを目し点検し、スポークの局所的緩みが無いかを叩いた音で判断する。
- ● リコールやサービスキャンペーンの対策が施されているかをメーカーページで確認する。
- ● 全部販売店にお任せで G650X チャレンジを楽しむなら、BMW 認定中古車で販売されている車輌を検討する。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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