K75Sスポーツ(1987-)
- 掲載日/2010年07月02日【BMWバイク中古車ガイド】
K75Sスポーツの歴史など
K75S の仕様変更モデルとして
高い耐久性にスポーツ性が加わる
K75 シリーズには仕様別に K75 / K75C / K75S / K75RT のモデルが存在します。最初に販売されたモデルは1985年の K75C です。そして1986年に K75S、1987年に K75S のスポーツバージョンとして、今回ご紹介する K75S スポーツが発売となりました。
発売当時の販売価格は K75S が 129 万円に対し、K75S スポーツが5万円高の 134 万円でした。この頃の K75 シリーズにはまだ ABS の設定はありません。その後3%消費税の導入と共に1989年には 118 万円にまで下がり、最終的には 134 万円の販売価格で終わりとなります。
2000年からは ABS 装備の K75S として1995年頃まで販売されていました。発売当時は K100 シリーズと比較して比較的安価な価格設定と車重の軽さから、BMW 入門用モデルとして高い支持を受けていました。機構や構造、アクセサリー等が上位モデルの K100 シリーズと同じだったことも良かったのかもしれません。ただし、K100 シリーズが4バルブ化されてからは K75 シリーズも4バルブ化?という思惑から、徐々に販売数が減少していきました。
一時は乗り潰しが当然となるバイク配送便にも数多く使用されており、機動性と耐久性、メンテナンスの良さ、そして古いモデルにもかかわらず部品供給の良さで支持されていたモデルでもあります。
K75Sスポーツの特徴
仕様変更は外観から内部まで
K75S をベースによりスポーティに
K75S スポーツは K75S をベースに、一部の部品が変更または追加された仕様です。車体形状、動力性能、車輌構造は全て K75S と同じです。ですから、メーカーの中では1つのモデルとしての認識は無く、K75S の1つの仕様という位置づけとなっています(簡単に言うと ABS 有無の差程度です)。
さすがに10年間生産されていたモデルだけあって、車体色は年式により追加と変更が施されて13色にも及びます。その中で、日本で販売されたカラーはオニックスブラックとブリリアントシルバーの2色だけとなります。
K75S と比較して最も異なる部分は、前後サスペンションの設定と、アンダーカウルの有無となります。この時代のサスペンションは一般的なテレスコピックタイプが用いられています。K75S スポーツのフロントフォークは、太さこそ K75S と同じですが、スプリングのレートが強められています。K100RS-2valve にスポーツ仕様というタイプがあり、それと同じ部品が使われています。リアサスペンションも同様で、外見上では K75S と同じですが、スプリングのレートが異なります。ちなみに K75 と K75C が同一品、Sと RT は別物となり、Sにはスポーツサスペンションがあるという設定です。実際に走行してみると、プロライダーならばその違いが解るのかもしれませんが、ツーリングを楽しむレベルだとほとんど気付かないぐらいです。
アンダーカウルはエンジン下回りの見栄えを改善する程度のもので、特に機能がどうのというものではありません。この部品を K75S に付けると K75S スポーツと見誤る可能性があります。
その他の部分では、ホイール、エンジン、ミッション、スイングアーム、ファイナルケースが車輌の色によって黒色塗装か未塗装かの違いがあります。
見慣れたコックピット
超便利なコンパートメント
見栄えする追加装備
当時のカタログを見てみよう!
エントリーモデルにとどまらない
3気筒スポーツ・マシンの存在感
中古車選びの注意点
耐久性は縦K直系のタフネスさ
消耗パーツは今でも入手可能
K75~K1100 のガソリンタンクはアルミニウム製です。タンク単体で持ち上げるとその軽さがよくわかります。アルミニウム製はスチール製のものより錆びにくいと言われておりますが、それでも腐食がおこって穴が開くことが稀に発生します。穴が開く部分のほとんどは溶接箇所です。外見ではタンクの縁などが溶接加工されていますので、内側で水分が溜まりやすい部分、外側は汚れと共に水分が長時間残ってしまう端の部分等に気を付けることが必要です。外見上わからない部分としては、タンク内部の仕切り板や内部部品を止める箇所が腐食し易い部分となります。穴が開いてしまったときは、補修可能な場合もありますが、程度のよい中古部品を入手してタンク交換が最善です。外見は同じでも装着不能(似て非なる物)があるで注意が必要です。
多くの BMW は、構造上進行方向からエンジン、クラッチ、ミッション、ドライブシャフト、ファイナルギアの順となります。そしてオイルはエンジン、ミッション、ファイナルギアの部分に使われ、クラッチは多くの日本車と違い、常時乾いた状態でなければ使い物になりません。オイルがクラッチ側に紛れ込んでプレートに付着してしまうと、滑って走行不能になってしまいます。クラッチがある部屋の下には8ミリ程の穴が開いており、エンジンまたはミッション側のオイルがシールの劣化で浸入してくると、この状態(写真)になります。この程度でもまだ当分は大丈夫ですが、そう遠くない将来にはプレートにオイルが付着し、走行不能となりますので注意が必要です。少しだけにじんでいる程度なら気にしなくても良いレベルです。
- ● 外装の塗装部品はほとんど廃番となって入手できませんが、それ以外の部品は今でも入手可能です。
- ● 液晶が壊れやすいデジタル時計とシフトインジケーターは単品購入が可能です。
- ● 通常アッセンブリー販売されるメーターも各部品毎に設定があり個別販売されています。
- ● インジェクションに使われるインシュレーターが奥まって見えにくいので、経年変化のヒビ割れに注意する。
- ● インジェクションモデルなので4年に一度はガソリンホースの定期交換が必要です。
- ● センタースタンドの足かけ部分の付け根の腐食が激しいと使用時に折れてたいへんなことになります。
- ● エンジン前側下部のポンプに使用されているシャフトとシールは漏れがひどくなってきたら交換です。
- ● 各配線のコネクター、特にコンピューターやインジェクション関係の物は腐食しないようにメンテナンスが必要。
- ● ハンドルの動きが重い場合は、ベアリングだけでなくフレームヘッド内のダンパーにも注意する。
- ● サイドスタンドの車体側「コの字」部分が開いてくると車体の傾斜が大きくなってきます。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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