R850Rロードスター(1995-)
- 掲載日/2010年04月05日【BMWバイク中古車ガイド】
R850Rロードスターの歴史など
R1100モデルの影に存在していた
日本では稀少な R850 モデル
R1100 シリーズが販売されていた頃の 850cc OHC エンジンのモデルには、今回ご紹介するロードスターのほかにも GS、RT、クルーザー系のモデルが生産されていました。しかしながら日本へ輸入されたモデルはロードスターだけとなります。R1200系のRシリーズが販売されている現在では、日本に輸入されていない 900cc モデルの RT が存在しています。
日本で販売された R850R ロードスターには、年式により R1100R と R1150R の2つのスタイルがあります。R1100R スタイルの R850R は1995年に116万円で、R1150R スタイルの R850R は2002年の10月頃に120万円で発売されています。いずれのモデルも日本へ正規輸入された仕様にABSの装備はされていません。ABSを装備してしまうと 1100 や 1150 の ABS 付きモデルとの価格差が無くなってしまい、発売前から「選ばれにくいモデル」になってしまうことが想像出来たからのようです。
2つの R850R ともに販売台数はごく僅かで、R1150R スタイルの R850R にあっては首都圏(全国?)での新車販売台数は30台程度と言われています。BMWと言えばABS付のイメージが定着しつつある時ですし、同じ車体構成ならば大きな排気量のモデルに目が行ってしまうのは当然なことなので、販売台数の少なさは致し方ないところです。ですから R850R の中古車が店頭に列ぶのは極めて稀です。
R850Rロードスターの特徴
車体構成は上位モデルと同じ
違いはABS装備の有無にある
R850R の車体構成は上位のロードスター R1100R と R1150R に準じています。掲載の画像は2003年モデルの R850R ですが、誰の目にも明らかなように R1150R と全く同じスタイルです。エンジンは R1100R スタイルの R850R から受け継がれた 848cc の 70hp を搭載しています。動力性能こそ R1100R スタイルの R850R と変わりありませんが、唯一シリンダーヘッドカバーだけがマグネシウム合金製の部品に変えられており、R1150R と同じものとなります。
R1150系のエンジンは2003年からシングルスパーク仕様からツインスパーク仕様に替わりましたが、850系のエンジンはツインクスパーク仕様にはなりませんでした。OHV時代もそうでしたが、排気量が異なると使用されるファイナルギアのギア比も変更されています。これにより大型エンジン搭載のモデルと比較しても遜色のない走行感覚が確保されています。そして日本での R850R 最大の特徴は、ABSが装備されていない点にあります。R1100系が販売されていた時には、ABS無しモデルの販売は R/RS/GS にありましたが、R1150系に移ってからは日本導入モデルは全てABS付が輸入されていました。唯一ABSが無かったのが、この R850R となります。メーカーではABS装備のモデルも生産されていましたが、ABS装備モデルの価格は R1150R の価格に近付いてしまうため、あえて日本導入モデルにはABSを装備させなかったようです。
エンジンとギア比以外のパラレバー/テレレバー・サスペンション、ガソリンタンク容量、各部車体寸法、スイッチ類の操作方法、取り付け可能なアクセサリー類など、上位モデルのロードスターと全く同じです。
シートは3パターン
サイレンサー
特徴はABS無し
当時のカタログを見てみよう!
飾りの無いシンプルなイメージ
ミドルクラス・ネイキッド
中古車選びの注意点
弱ったバッテリーには要注意
傷む箇所はほぼお決まり
R850R のバッテリーはR1100系やR1150系と同じくガソリンタンク下に設置されています。シートを外せばすぐに見えるR1200系とは大きく異なる部分です。もし充電をすることになったら、電源ソケットからかバッテリーを車体から取り出して行なうのですが、ガソリンタンクを取り外すのはけっこう面倒な作業です。それ故バッテリーは活きの良いものが求められます。バッテリーが少し弱るとABSはすぐにエラーを起こしますが、R850RにはそのABSが無い分心配はありません。ただし、弱ったバッテリーだとエンジンのアイドリングもその影響を受けて不安定になりますので注意が必要です。もしセルモーターを回せないほど弱ってしまった場合には、ジャンプスタート端子を使って外部から電力を供給するなど、一時的にエンジンを始動させる方法もあります。
- ● ホイールは瞬時に割れないように比較的柔らかく作られているので歪みに注意する。
- ● エンジン始動時の作動音に注意して、異常音があれば早めに修理を行なうようにする。
- ● リア・ブレーキディスクは制動力向上のため磨耗し易いので、異常に薄くなったものは早めに交換する。
- ● リア・ステップステーが転倒時押されてリア・フレームを曲げることがあるので、車体後ろからよく観察する。
- ● シートの表皮が強く引っ張られているので、角や折り返し部分は切れ易くなっています。よく確認する。
- ● 全てのインジェクションモデルはガソリンホースを定期的に交換する必要があるので、整備記録に注意する。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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