R1100S(1998-)
- 掲載日/2009年02月25日【BMWバイク中古車ガイド】
R1100Sの歴史など
多彩な仕様は
メーカーのこだわり
R1100Sの登場は、R1100シリーズが1150に替わろうとする1998年のことになります。1999年にはR1150GSが発売されました。R1100Sの発売価格はABSとキャタライザー装備車で181万円(税別)、ABS無しが165万円(税別)で、R1100RSのフルカウル・ABS・キャタライザー仕様の182万円(税別)とほぼ同じ価格でした。R1100Sには他のモデル同様、いくつかの異なる仕様があります。
エンジンは1100系ながら、シングルスパークとツインスパークがあり、ABSは“ABS2”とサーボ付“I-ABS”(ABSの違いによってキャリパーも異なります)、それにリアホイールが5インチと5.5インチ、そして欧州発祥のワンメイクレース「ボクサーカップ」のレプリカ仕様など、いろいろありました。メーカーでは34,000台近くのSを生産していますが、日本では26,000台生産のRSタイプの方が間違いなく多く販売されています。中古車を探すと2000年以前の初期カラーモデルで60~80万円台、販売後期のもので130万円台前後が主流です。ボクサーカップレプリカは新車時の価格の違いにより10万円ほど高値の感じです。蛇足ながらR1150Sは存在していません。
R1100Sの特徴
当時としては唯一のスポーツモデル
それだけに高い人気を誇る
エンジンの仕様は外見だけでは判断できません。R1100RSやRTと外観は全く同じですが、98hp(72kW)を7,500回転で発生させています。RSやRTは90hp(66kW)を7,250回転ですから、それから比較するとわずかですが高性能化されています。エンジンは途中でツインプラグ化されていますが、これは動力性能を向上させるというより、環境性能を重視した結果の変更です。
トランスミッションは、K1200RS系のものが使用されていて、操作時のフィーリングが軽く、6速仕様になっています。前後サスペンションはBMW独自のテレレバーサスペンションとパラレバーサスペンション方式を用いています。テレレバーにはS専用の軽量アウターチューブが使用されており、後に発売されるR1150GSにも使用されています。ボクサーカップレプリカ仕様には、少し長めの専用サスペンションストラットが装備され、サーキット使用でのバンク角不足に対処しています。ですから当然シート高も上がっています。アルミ製ガソリンタンクは外装パネルに覆われ、容量は18Lです。バッテリーは、ABS装備車には19Aが、ABS無し車には14Aのものが採用されており、発電機の容量も変えられています。それゆえ、ABS無し車にグリップヒーターを装備することは、原則としてご法度です。リアホイールは5インチと5.5インチのものがありますが、デザインは全く同じなので、見分けるにはホイールの刻印で確認します。通常5インチでは170/60-17、5.5インチでは180/55-17のタイヤサイズになります。また、フロントホイールはABSの有無によってブレーキローターの取り付け方法が違い、ホイール自体が異なりますのでご注意ください。
ボクサーカップレプリカその1
ボクサーカップレプリカその2
BMWらしさは残している
当時のカタログを見てみよう!
ツーリングからサーキットまで
ある意味BMWの王道をゆくモデル
中古車選びの注意点
装備や異常は要確認
外観から判別が可能
R1100シリーズ以降のモデルはABSが装備されているのが一般的ですが、R1100Sの場合はスポーツ志向が高いため、ABS無しの車両が比較的多く存在します。そのためABS付と思って購入した車両が、じつはABS非装備車だった、ということにならないよう、よく確認することが必要です。ABSの有無は前輪を確認すれば、誰でも簡単に判別できます。左側ブレーキディスクの内側にギザギザ、又は無数の穴が開いたリングがあれば、間違いなくABS装備車です。ただし、前輪をABS車のものと丸ごと交換しているとか、装置は付いていても故障している、というのは問題外なのでご注意ください。ABSのユニットが故障している場合、交換に20万円以上の費用が必要となります。もし故障してしまったら、交換もしくはABS無し仕様にするかのどちらかです。
- ● 前後ディスクローターは意外と早く摩耗します。特にリア側は要注意です。
- ● BMWのホイールは、衝撃による割れを防ぐために柔らかく作られているので、歪みや振れに要注意です。
- ● リアステップホルダーステーの曲がりに注意。最悪の場合リアフレーム交換になります。
- ● 過去の履歴がわからないときは、安全のために燃料ホースとフィルターの交換は最低限必要です。
- ● 激しい転倒時はフレームヘッドのハンドルストッパー周辺が折れます。よく見て下さい。
- ● インジェクションとABSの調整・確認には専用テスターが必要になります。
- ● バッテリーはABSエラーを防ぐため、できるだけ活きの良いものを付けてもらうこと!
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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