VIRGIN BMW | F650ファンデューロ(1994-) BMWバイク中古車ガイド

F650ファンデューロ(1994-)

  • 掲載日/2008年07月20日【BMWバイク中古車ガイド】

F650ファンデューロの歴史など

F650ファンデューロの画像

34年ぶりの単気筒モデル
F650ファンデューロ

単気筒モデルとしてはR27以来37年ぶり、650cc単気筒モデルとしてはBMW初の市販車がF650ファンデューロでした。ファンデューロという名称は「ファンライド」と「エンデューロ」をもとにした造語で、F650のシリーズ名「F」とは関係ありません。このモデルが発売されたのは1994年6月。価格は、発売当初が79万円、1998年のマイナーチェンジ後は84万円でした。日本市場にデビューしたての頃は、そのやや特殊な成り立ちゆえ、既存BMWオーナーからは少々冷めた目で見られていたようです。また、当時はまだ大型免許を取るのも一苦労という時代でしたので、売れ行きも「飛ぶように・・・」というほどではありませんでした。

しかし、「まわすとパワフルでスポーティー」というヨーロッパ的な味わいを持つ単気筒エンジンは着実にファンを獲得。最終的にはオフロードユーザーだけではなく、純粋なオンロード指向のユーザーからも高い評価を受けました。ビモータやその他のアッセンブルメーカーも好んでこのエンジンを使用したという実績からも、その実力の高さが窺い知れます。国内で販売された台数から言っても、ファンデューロは初期モデル・98年以降モデル共に入手しやすいとは言えません。しかし、程度を気にしなければ個人売買やオークションなどで、車検費用+α程度の金額で入手可能な場合もあるようです。販売店に並ぶ中古車価格もおおむね25万~45万円程度です。

F650ファンデューロの特徴

F650ファンデューロの画像

3カ国3メーカーの合作バイク
優れた耐久性も魅力

排気量650ccの水冷4ストローク4バルブDOHC単気筒エンジン搭載車は、このF650ファンデューロがBMW史上初。また、ドイツ、オーストリア、イタリアの3カ国3メーカーの合作ということでも話題になりました。エンジンはアプリリア社の「ペガソ」というモデルにも搭載されていたもので、オーストリアのエンジン専門メーカーのロータックス社が生産。ただし、F650用はヘッド部分をBMWが再設計したもので、当時の4輪車「M3」用エンジンのノウハウが投入されたようです。その結果、耐久性、パワー、信頼性を兼ね備え、ブンまわせる単気筒としてトップクラスの実力を持っています。特に耐久性に関しては、極端な言い方をすればオイル交換さえしていれば10万kmは問題ないと言えます。一方、車体に関しては、テレスコピックフロントフォークやチェーンドライブ+リアスイングアームの駆動系、チューブタイプの前後ホイールなど、一般的な構成でまとめられています。また、車体全体の組み立てはイタリアのアプリリア社で行われていたため、スイッチ類や電装系には当時のモトグッツィやドカティなどのイタリア車が使用していたパーツと似たものが採用されています。それゆえ、F650ファンデューロでも稀に壊れる電装部品は、それらの車種と同様であることが多いようです。

さて、F650ファンデューロの走りですが、郊外をマイペースで流す時の気持ち良さは絶品です。その一方で、市街地走行では多少の我慢を強いられる場合があります。ギア比の関係で、50km/h前後のスピードで走る時に2速と3速を往復することが多く、ちょっとイライラさせられるのです。これさえ我慢できれば、このモデルは誰でも楽しく乗りこなせます。なお、ローダウンキット装着車は多少クセのあるハンドリングです。このキットはサイドバッグやグリップヒーター等といっしょに純正オプションとして販売されていましたが、少々注意が必要かもしれません。

F650ファンデューロの画像

丈夫さに定評のあるエンジン

よく回る丈夫なエンジン。塗装が施され腐食し難いようになっています。
F650ファンデューロの画像

スポーティーなツインキャブ

吸気系には低中速用と高回転時用のミクニ製ツインキャブレターを装備。
F650ファンデューロの画像

錆び難いステンレススポーク

アルマイト処理されたリムとステンレススポークの組み合わせ。

F650ファンデューロ オーナーの声

F650ファンデューロの画像

最強の通勤スペシャルとして
ファンデューロは4台目!

BMWはKシリーズやRシリーズも含めて一通り経験してきましたが、現在手元にあるBMWはこのF650ファンデューロだけです。とはいっても、よほど白いファンデューロに縁があるのか、このモデルはこれで4台目。用途は片道45キロの通勤です。一般道だけではなく高速道路も使いますが、ファンデューロは通勤スペシャルとしては100点満点バイクだと思います。パワーもあるし加速力も十分。耐久性も高いです。4台乗り継いだうちの1台は、7万キロから8万キロ走った段階でちょっと心配になり、念のためディーラーでエンジンを開けて点検してもらったのですが、全く問題なし。ほとんど何も調整せずにカバーを閉じたぐらいです。

燃費は通勤だとリッター20kmぐらいですから特別良いわけではありませんが、タイヤもリーズナブルな銘柄を履けますし、メンテナンスも含めて維持コストが低いのも魅力です。小ぶりなウインドスクリーンも必要にして十分という感じで、毎日乗っても疲れを感じません。高速道路を使ったツーリングなどではややパワー不足ですが、いつかファンデューロで北海道をのんびりとツーリングしてみたいですね。きっとそういう使い方も似合うと思います。ガタが出ると厄介なスイングアームのピボットだけは適宜点検が必要ですが、それを除けばとても丈夫な良いバイクだと思います。(1994年式 F650ファンデューロ 高橋 等さん)

F650ファンデューロ 中古車選びの注意点

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イグニッションコントロールと
消耗品の状態が重要

交換すれば何事も無かったように復活するのですが、目視では確認できない電装部品の不具合がトラブルになることがあります。その部品とは「イグニッションコントロールユニット」。リアキャリアの下に設置されている比較的小さなボックスです。煙が出るなどの目視できる症状が無く、しかもエンジンが始動しずらい、高回転で回らない、アイドリングが不安定など、症状が個体ごとに異なるので困ったものです。エンジンが始動できない車輌を売ることは無いでしょうが、交換パーツは約7万円ぐらいの価格ですから注意するに越したことはありません。

F650ファンデューロの画像

F650ファンデューロはとても丈夫な車輌です。ただし、比較的安価なモデルであり、大切に扱いたくなる重厚感やオーラがやや乏しく、ほぼノーメンテナンスで乗り続けられることが多いようです。それでも普通に走ってしまうので、外車の中でも丈夫なモデルと言われるようになりました。裏を返せば、消耗品の状態をチェックすればその車輌の素性を見抜くことができます。特に、前後ブレーキディスクやブレーキパッド、ドライブチェーンとスプロケットの摩耗状態が重要です。そして、前後ブレーキのマスターシリンダー、フロントフォークシールににじみがなければほぼ合格という感じです。

購入の際の注意点
  • ● エンジンの始動性が良好な車輌を選ぶことが一番大切です。
  • ● ハンドルバーはブリッジが付いているものの歪みやすいのでよく要確認。
  • ● 比較的安価に販売されている車輌なので消耗品の状態に注意。
  • ● 転倒時あたりどころが悪いとラジエターが歪むことがあります。覗き込んで四隅を要確認。
  • ● ハンドルスイッチの位置決め部分が折れやすいので要確認。
  • ● シートの表皮は経年変化で変色・硬化してしまいます。そうなってしまったら早めに張り替えましょう。
  • ● F650CS/GSと同じようにエンジン左側の冷却水用ポンプ周辺からの水や油の漏れに注意。
  • ● ガソリンコックのレバーが固すぎて指で回せない場合もあるので要確認。
  • ● 純正ローダウン仕様車はややクセのある走行感覚なので、足つきに心配が無ければ標準車が◎。
プロフィール
山本 栄治

1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。

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