R1150GSアドベンチャー(2002-)
- 掲載日/2008年05月30日【BMWバイク中古車ガイド】
R1150GSアドベンチャーの歴史など
久々のGSスペシャルバージョン
R1150GSアドベンチャー
R1150GSアドベンチャーが発売されたのは2002年6月のこと。その当時の価格は186万円で、BMWモーターサイクルの中でも高価格帯に位置するモデルでした。その後、2004年モデルでマイナーチェンジが施され、装備品追加とエンジンの仕様変更に伴い価格は190万円になりました。また、新型のR1200GSが発売された後もラインナップの中に残され、1年ほどR1150GSアドベンチャーとR1200GSが併売されていた時期もありましたが、2005年の前半には店頭からも在庫がなくなり販売終了となりました。
発売当初はGSの本格装備モデルということもあって大変注目されていましたが、車体の大きさと重量から購入を諦めてしまった方も多かったようです。そのようなことからR1150GSと比較すると販売台数は少なく、コアな方々に好まれるモデルであったため中古車として店頭に並ぶ数はわずか。購入にあたっては、複数の個体を比較検討しながら選ぶのが難しい状況です。また、中古車の販売価格は70万円台から130万円台と幅が広く、特に外装品の程度によって大きく異なります。
R1150GSアドベンチャーの特徴
ヘビーデューティーな仕様と
ロングツーリング性能が特徴
R1150GSアドベンチャーの最大の特徴は、なんと言ってもあの巨大なガソリンタンクでしょう。30リットルの大容量を誇り、樹脂製ではなく一般的なスチール製です。側面から見ても十分大きいのですが、真上から眺めるとタンクローリー車を想像させるほどの迫力です。人によっては魚の「アンコウ」を想像するというのも頷けます。おとなしく走れば燃費は20~25km/1リットルなので、一度給油すれば600kmは間違いなく走れます。ただし、満タン状態にすると車重が280kgにも達するので、センタースタンドは気合で掛けることになります。
前後サスペンションはR1150GSアドベンチャーのキャラクターとオフロード走行を考慮した造りとなっており、標準のR1150GSと比較するとストロークは長く設定されています。それでいて舗装路上でもオンロード車と全く同じように走れてしまうのがアドベンチャーの凄いところ。前後足回りは、BMW独自のテレレバーとパラレバー機構を使って剛性・耐久性・整備性・使いやすさを上手にまとめています。一方、搭載されているエンジンは、シングルスパーク仕様とツインスパークスパーク仕様の二種類があり、年式によって異なります。しかし、数値上の特性に違いはなく、標準のR1150GSとも共通。6750回転で85馬力を発生します。さらに、R1150GSアドベンチャーは重量が増えている分を考慮して二次減速比を変更。ローギアード化により280kgの車両を時速190km/hまで引っ張る性能を確保しています。ABSに関しても、サーボ機能付きとサーボ機能無しの仕様がありますが、いずれもABSを一時的にキャンセルすることが可能です。また、純正で用意されているオプションが豊富なことも特徴のひとつ。サイドバッグはジュラルミン製と樹脂性の2種類が設定されています。日本では輸入されていないようですが、特別に減速比を下げたファイナルギアや、オクタン価の低いガソリンでも走ることができるエンジン仕様など、数多くの工場オプションも存在していました。
航続距離を伸ばす大容量タンク
疲労を軽減する大型スクリーン
日本仕様はローシートが標準
R1150GSアドベンチャー オーナーの声
R100GS-PDをほうふつとさせる
存在感のあるデザインが最高
BMWはR1100RSからR1150GSアドベンチャーへと乗り継ぎました。1999年にR1150GSが発売されて、ずいぶんスタイリッシュになったと思っていたら、2002年にはこのアドベンチャーが発表されて真剣に乗り換えを考えるようになったんです。以前からR100GSパリダカに憧れていた私にとって、大型タンクを持つ存在感のあるデザインは魅力的でした。跨ってみるとギリギリで足もついたので、乗り換えを決心したんです。
乗り始めて意外に感じたのは、スタンダードのR1150GSとかなりフィーリングが違っていたこと。アドベンチャーは足回りがよりしなやかで、倒しこみもゆったりしている。長距離向きのキャラクターが上手く作られていると思います。さすがにロングツーリングに出ても疲労が少ないし、目的地についても余裕で遊びまわれる。それでいて峠道でも必要十分な速さを発揮するのですから、何も言うことはありません。外装関係は少しいじりましたが、それ以外はとても良く出来ているのでカスタマイズの必要性を感じないほど。いつか海外ツーリングに行ったり、モンゴルの草原なんかを走ったりしてみたいですね。(2002年式 R1150GSアドベンチャー 土田 昭郎さん)
R1150GSアドベンチャー 中古車選びの注意点
通常モデルよりも負担がかかる
サイドスタンドは要注意
R1150GSアドベンチャーならではの注意点としては、サイドスタンド使用時の車体の傾きが大きいことが挙げられます。サスペンションストローク量の多さと、想定される積載量、最低地上高を見越して、新車時から敢えて傾きの大きい設計となっており、サイドスタンド自体も長く作られています。また、乗車するときはシート面の高さや車体の重量から、どうしてもサイドスタンドに頼ることになります。それゆえ、サイドスタンドやその取り付け部分には相当な負担がかかり、長年の使用で徐々に車体の傾きが大きくなる傾向にあります。場合によっては、サイドスタンドで止めた車体を一人で起こせないという事態に陥ることがあったと聞いています。こうなってしまったら潔くサイドスタンドを新品に交換するしかありません。接地面に厚みのある「下駄」のようなパーツを装着するのもひとつの対策ではありますが、最後には取り付け部分が破損して交換ということになるようです。
- ● 立ちゴケ程度の衝撃でもハンドルバーがゆがむことがあるのでよく確認。
- ● フレーム側ハンドルストッパーは強い衝撃でかけることがあります。
- ● 前後ホイールは特殊な組み方なので歪んでも修正不可能です。
- ● ブレーキディスクはパッド同様に消耗品です。磨耗の少ないものを選びましょう。
- ● 転倒時リアステップのフレームが押されてリアフレーム自体が歪むことがあります。
- ● インテグラルABS装備車の場合は、ABSとサーボ機能が正しく機能しているか確認する。
- ● インテグラルABSを点検する時は専用テスターが必ず必要になのでご注意ください。
- ● GSの中で最も重いモデルです。満タンでサイドスタンド状態から起こせることを確認してください。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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