R80GSベーシック(1996)
- 掲載日/2008年02月27日【BMWバイク中古車ガイド】
R80GSベーシックの歴史など
輸入台数200台強の希少車
今でも人気のR80GSベーシック
R80GSベーシックは1996年11月に発売となりました。メーカー生産は1996年の一度だけですが、1996年に日本向けの100台と1997年にヨーロッパで在庫されていた(残っていた)100台強を輸入しています。販売価格は118万円(3%消費税別)で、輸入年による価格の違いはありません。発売当時はR1100シリーズがすでに販売中でしたがOHV系GSの人気は依然として強く、1996年輸入モデルは比較的早くに完売しました。
1997年輸入モデルについては完売まで時間がかかっていましたが、いざ新車が無くなるとお客さんと販売店が在庫を探すようになり、静かなる争奪戦が始まったような感じでした。現在では新車以上の価格で販売されている中古車も見受けられ、OHV系GSシリーズの人気には大変驚かされます。それでも中古で販売されている場合はとても少なく、欲しい時に探してもすぐには見つからないという状況です。国内に200台強しかありませんので無理もない話です。オフロードをメインに使っている方からオンロードだけの方まで使い方は色々で、おのずと車両の程度も千差万別です。
R80GSベーシックの特徴
シンプルなスタイルが魅力
部品の供給も問題なし
ベーシックが多くの方に受け入れられている理由の一つにシンプルなスタイルが挙げられます。R100GSとは異なるスリムなガソリンタンク(18L)とシート、シートの後ろにはリアフェンダーと尾灯があるだけ。ヘッドライトとスピードメーターはコンパクトにまとめられて、あたかも前後のタイヤ、エンジン、ハンドル、タンクとシートだけでできているような感覚のモデルです。エンジンも特にパワフルということはありません。OHVエンジンらしくのんびり走行するにはちょうど良いフィーリングと言ってよいでしょう。前後ホイールは少し重いものの、クロススポークというチューブレス仕様になっていて便利なのも好印象ですね。オフロード志向のチューブレスタイヤは、日本製を含めて数種類が販売されており、まだまだ心配の必要はありません。
シンプルな電装もOHVシリーズの特徴です。簡単に外せるガソリンタンクの下にほとんどの電装品が集約されていて一目瞭然。たまに壊れる部品もほぼ決まっているので、万一の場合も簡単に修理できるのが特徴ですね。部品も即納状態なのでご安心ください。バッテリーは最大25Aのものが搭載可能で、MFタイプを使用することも可能です。オプション類はBMWらしくサイドバッグ、グリップヒーター、スポーツサスペンション等が用意され、35Lタンク、カウル、ハンドプロテクター、時計・電圧計を装備して自分仕様を作ることができます。また、日本には輸入されませんでしたが、標準で35Lタンクを装備したR80GSカラハリという仕様も存在します。
ホワイトパワーが標準装備
簡素なメーターユニット
後期型GSと同様の仕様
R80GSベーシック オーナーの声
最後の2バルブボクサー
取り回しの軽さも魅力
ちょうど大型二輪免許が教習所で取得できるようになった頃で、大型に乗ろうと考えて近所のディーラー(福田さん)へ見に行ったら限定のベーシックが展示されていて、衝動的にハンコを押してました。元々、70年代~80年代のバイクが好きだったので、最後のBMW2バルブっていうのが最大の購入動機だと思います。
それまでポジション的には正反対のバイクにばかり乗ってきたので、とにかく楽で転ぶ気がまったくしないバイクだというのが第一印象。パワーは初めての大型だったので不満はありませんでした。現行の4バルブ等に比べたら軽く、取り回しなんかは400㏄を扱っているような気軽さです。後は、スタイルも気に入ってます。ほぼ100%オンロードツーリングに使用しています。オフは年に1~2回ほど、近場をそろ~っと走ってます(笑)。現行のBMWに乗る友人たちとよくツーリングへ行きますが、高速以外は問題なくついていけます。(1996年式 R80GSベーシック 阿部 裕志さん)
R80GSベーシック 中古車選びの注意点
ホイールは要チェック
オイルにじみは問題なし
R80GSベーシックに限った内容ではありませんが、リアブレーキのホイール側ドラムは外見上磨耗しているかどうかは判断できません。そして、仮に磨耗していてもコスト的に安易に交換できるものでもありません。リアホイールASSYの価格は10万円以上するからです。パーツリスト上ではリムやスポーク等単品で注文でき、ドラム部分も単品販売可能です。ただし、特殊なスポークの張り方なので振れが出ないように組み直すのはほぼ不可能です。たとえ一本ずつ全てのスポークを入れ替えても振れが出てしまいます。リアブレーキの使い方にもよりますが、5万キロ以上使用されたドラムはすでに使用限界を超えていると思って下さい。筆者の場合は22万キロも使いました。すでに使用限界は超えていますが、まだ使えそうです!
使用されている年数を考えるとエンジン自体の多少の歪みも有るかもしれませんが、色々な場所からエンジンオイルがにじみ出てくることもあります。場合によってはミッションからのオイルかも知れません。よく発生する箇所としてはプッシュロッドパイプとクランクケースとのシール、エンジン上部の黒色セルモーターカバーとクランクケースとの継ぎ目、進行方向前側カバー下側、ヘッドカバーガスケットから等です。どれも深刻なものは無く、シールやパイプの交換などで簡単に修理可能です。少しにじんでいるからと言って慌てて修理しなくても大丈夫です。汚らしく見えても「錆びることが無い」程度に考えれば十分で、酷くなってから何かと一緒に修理すればOKです。稀にヘッドやヘッドカバー自体が熱や経年変化で微妙に歪んで、ガスケット交換だけでなく研磨が必要なときもあります。
- ● 第一回目掲載の R100GSPD の項目と同じなのでご覧下さい。
- ● トリップメーターリセットボタンのカバーが無いとメーターに水が入ります。部品設定無。
- ● 冷間時、エンジンからの打音はカムシャフト周辺の磨耗の可能性があります。
- ● シート裏の「角」のように出ているフックのひび割れに注意。折れるとシート交換です。
- ● スパークプラグキャップ近くのコードはひび割れしてリークしやすいので要注意。
- ● リアサスペンションはベーシック専用品を使用のこと。R100GS用を使うと大変なことになります(笑)
- ● 10年以上経過していていますが、ほぼ全ての部品がすぐに入手可能なので安心して所有できます。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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