VIRGIN BMW | R1100RS(1993-) BMWバイク中古車ガイド

R1100RS(1993-)

  • 掲載日/2007年12月13日【BMWバイク中古車ガイド】

R1100RSの歴史など

R1100RSの画像

ロングセラーを続けた
人気モデル R1100RS

まだR100RSが販売されていた1993年に、今回紹介するR1100RSは発売となりました。エンジンがOHVからOHCへ、キャブレターからインジェクションへ、テレスコピックからテレレバーフロントフォークへ代わり、従来モデルより飛躍的に運動性能と操縦安定性が向上したモデルです。発売当初はハーフカウルとフルカウル、キャタライザー(排気ガス触媒・CAT)の有無、ABSの有無によって価格が細分されていました。当時、消費税は導入以前で、ハーフカウルでABSとCAT無しの一番基本的な仕様が162万円、フルカウルでABSとCATが装備された仕様で196万円でした。その中で一番売れていたR1100RSはハーフカウル・ABS付+CAT無の仕様です。やはり特徴的なエンジンがよく見える方が好まれていたようですね。1997年モデルからはヘッドライトが常時点灯式になり、同時にCATも標準装備となりました。

モデル後期にはハーフカウルの生産が終わり、フルカウルのみとなって次世代のR1150RSへと移っていきます。注目を浴びたモデルでしたから販売台数は多く、BMWディーラーに限らず、いろいろな販売店で中古車を見つけることができるようです。ただし、所有することよりも走る楽しみを強く打ち出したモデルだったため、消耗が少なく状態の良い車輌は多くありません。販売価格は60万円台と70万円台前半がもっとも多く、2000年代の最終モデルになると100万円近い値段になることもあります。OHVシリーズでは物足りなく、R1150やR1200シリーズでは「グッ」とくるものが足りないという方は調子の良いR1100シリーズに乗られてみてください。おそらく満足できると思います。

R1100RSの特徴

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必要十分な出力と好燃費
個性的なデザインも人気の秘密

いかがでしょうかこのデザイン。15年前に発売されたモデルに見えるでしょうか。10年間通して使われた秀逸なデザインは、このモデルを語る上で外すことのできない特徴のひとつで、R1150RSでも同じスタイルが採用されていました。そして、そのスタイルをいっそう力強いものにするエンジンの存在があります。BMW史上初となる1100cc空冷OHCフラットツインエンジンは、4気筒に迫るスムーズさを持ち合わせているので、気負い無く2気筒の楽しさを体感することができます。7250回転で90馬力を発生させるエンジンは、街乗りから高速ツーリングまで必要にして十分な扱いやすい性能を得て、インジェクション化することによって高燃費をも実現していました。

そしてR1100シリーズからの最大の特徴としてテレレバーフロントサスペンションが挙げられます。細かいことは別ページに任せるとして、実際に操作した印象はサスペンションが良く動き、制動時の沈み込みが無いというものです。ただし、サスペンションが動くとトップブリッジもシンクロして動くので、そこに付くハンドルもほんのわずかですが動くのがわかります。これはRSだけが持つ特徴です。リアサスペンションはパラレバーという構造を持ち、シャフトドライブ特有のパワーON/OFF時のスイングアーム上下を抑制しています。今では珍しくない片持ち式も見逃せません。ガソリンタンクは樹脂製で造られていて、中が錆びることが無く,傷は付いても凹むことがありません。他に驚かされる点といえば、なんと700Wの発電機です。インジェクションやABS、グリップヒーターやヒートベストに対応するため過剰装備とも思えるものを装備しています。これでバッテリーが上がったら素直に反省しましょう。便利な機能としては、ウインドスクリーンの角度調整、前シートの3段階高さ調整、バッテリー直結の電源コネクター、油温・燃料残量・時計・ギア位置を示すRIDメーターなどが装備されていました。

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可倒式スクリーン

専用のハンドルを回してウインドスクリーンの角度を自由に調整できます。
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高さ調整可能なシート

シートを替えず高さを2cm刻みで3段階に調整できる簡単で優れた機能。
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ノーズダイブしないテレレバー

ブレーキ性能を十二分に発揮させるテレレバーフロントフォーク。

R1100RS オーナーの声

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ポジションの良さがお気に入り
古いモデルという感覚はありませんね

今のR1100RSは実は2台目です。これまで「K75S→R1100RS→K75S→R1100RS」というBMW遍歴をしてきました。最初のR1100RSは新車で購入したのですが1年ほどで乗り換えてしまっていて、もう一度ちゃんと乗ってみたいな、という思いがあったんです。たまたま2006年にいい出物を見つけて、R1100RSに戻ってきました。3気筒のK75Sよりも低速のねばりはありませんが、出力はR1100RSの方が力強く、フラットツインのフィーリングを楽しませてもらっています。2006年にはもうR1200シリーズも販売されてはいて、F800やR1200STとで悩みましたが、R1100RSのポジションが一番しっくりきたんです。出力は90馬力くらいあれば僕には十分だったので、ポジションの良さでこのモデルを選びました。

R1100シリーズが古いバイクだという認識はないんですよね。今のバイクと同じ感覚で乗っています。購入後のトラブルもほとんどなく、手はかかりません。高速でも余裕を持って車の流れに乗れますし、テレレバーが採用されているモデルですから、今のBMWにも通じる高機能なサスペンションを味わうこともできます。状態のいいモデルに出会えれば、何の不安もなく楽しめるモデルだと思いますよ。(2001年式 R1100RS 高橋 純一さん)

R1100RS 中古車選びの注意点

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機械的なトラブルは少ない
外装部品の状態をチェック

R1100シリーズを選ぶ時はできるだけ多くの車輌のクラッチレバーを握り、その引きの重さを確かめてください。新車の場合は初期の2年間ぐらいまでは引きが重く、97年くらいからはとても軽くなりました。ただし、クラッチプレートはよほど慎重にクラッチ操作をしないと意外な早さで摩耗が進んでしまいます。クラッチレバーの引きが極端に重くなっている車輌はクラッチプレートがある程度摩耗していると思って下さい。では、どのぐらいで交換かというと、使い方一つで異なります。私の知る限り3500kmで交換した方と、15万kmでも交換していない方といろいろです。ちなみにクラッチAssyを全て交換すると作業費込みで9万円ほどになりますが、交換後は驚きの軽さになります。

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K100RS 4バルブから使われている前ブレーキのマスターシリンダーはよく漏れます。場所が場所だけにフリュードのにじみは漏れと同じに扱います。マスターシリンダー本体を下から覗き込み、少しでもにじんでいれば要交換。過去に交換したことがある場合には、インナーキットと呼ばれる内部部品を交換することになってしまいます。替えたことがあるか疑わしい車輌の場合、思いきってAssyで交換することをお勧めしますね。また、フリュードの管理が悪く、マスターシリンダーの内側が腐食している場合は、磨いて使うことなく交換してください。漏れや・にじみは危険なだけでなく、風圧で飛んだフリュードがカウルやタンクの塗装を痛めることにもなりますから。後ブレーキのマスターシリンダーがにじんでいる場合はAssy交換しか方法はありません。

購入の際の注意点
  • ● フロントサスペンションのAアーム取り付け部の腐食と変形、社外サスは要注意。
  • ● 前後ディスクローターは意外と早く摩耗します。特に後ろ側は要注意。
  • ● ABSの作動は実際に走らせないと確認できないので、必ず効いて確かめること。
  • ● シリンダーヘッド内のバルブガイドとシートの磨耗。いつの日にかOHが必要になります。
  • ● BMWホイールは割れないように柔らかく作られているので歪みや振れに要注意。
  • ● エキゾーストパイプとチャンバー部分の汚れと腐食は落としにくいので後が大変です。
  • ● ホイールに付くABSセンサーリングが錆びていたら磨いてきれいにすること。
  • ● リアステップホルダーステーの曲がりに注意。最悪リアフレーム交換になります。
  • ● 排気ガスに異常な臭いがある時はインジェクションの簡単な調整が必要。
  • ● 過去の履歴がわからない時は安全のため最低限燃料ホースとフィルターの交換が必要。
  • ● インジェクションとABSの調整と確認は専用テスターが必要になります。
  • ● バッテリーはABSエラーを防ぐため、できるだけ生きの良いものを付けてもらうこと。
  • ● 激しい転倒時はフレームヘッドのハンドルストッパーの周辺が折れます。よく見て下さい。
プロフィール
山本 栄治

1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。

取材協力
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