吸気量のバランスを見る 左右スロットルの同調調整
- 掲載日/2011年04月15日【R1100/1150GS基礎メンテ】
- このコンテンツは BMW BIKES Vol.50 掲載の記事を再編集したものです。
文・写真/ BMW BIKES 構成 / VIRGIN BMW.com
R1100/1150GS 基礎メンテ【同調調整】編
ケーブルプーリーの清掃
左右の同調作業の前に、スロットルボディ裏のケーブルプーリーの掃除。エンジン停止中にアクセルグリップの全開全閉を繰り返しながら、高圧エアでプーリーの溝を掃除する。プーリー溝とスロットルケーブル間に砂や小石がはさまっていることがあり、同調不良の原因のひとつ。
ゴム系パーツの点検と交換
スロットルボディ下、バキュームゲージのホースをつなぐための既設エルボ。ゴムのキャップがかぶさっているのだが、古くなるとヒビ割れて不要なエアを吸ったり、緩くなって抜けやすくなる。これもエンジン不調の原因で、定期的に交換すべき部品。
電気コネクターの点検
洗車直後や雨天走行時に不調になるようなら、大抵はインジェクションノズルのコネクターに水が溜まっている。コネクターを外して乾かしてやれば直る。
インテークマニホールドの点検
スロットルボディとシリンダーヘッドをつなぐ、ゴム製のインテークマニホールド。経年変化や高熱によって硬化して、見た目は異常なくとも不要なエアを吸っていることがある。アイドリング中にパーツクリーナー等の揮発性のスプレーを吹きかけると、一瞬不調になるのですぐわかる。
経年変化したマニホールド
不調なので外してみると、ゴム質が硬化して歪み、空気の通り道ができていた。
アイドルスクリューの点検
キャブレターなら混合気の量を調整するのだが、インジェクションの場合は空気の量だけを調整する。一旦奥まで締めこんで、どれだけ回せばスクリューが止まったかメモしておく。
アイドルスクリューの清掃
スクリューを緩めて外し、先端部分の汚れを掃除する。同時にスロットルボディ側の穴にパーツクリーナーを注入し、通路を洗浄する。この作業はエンジンをかけながらでもいい。スクリューを取り付け奥まで締めこみ、メモしておいた元の位置に戻す。
同調調整の前に暖機走行する
バルブクリアランスやスパークプラグが正常であり、以上の前点検が終了していることを前提に同調調整を行う。実際に走行して充分に暖機し、停車直後にゲージをつなぐ。アイドリング回転の高さと同調はこのスクリューのみで調整する。
負圧計を使って確認・調整する
インジェクション(燃料噴射)なので、燃料の量は左右ともに同じ。混合される空気の量を調整する。バキュームゲージ(負圧計)で左右の吸入負圧を点検、ズレていれば合わせる。緩めれば空気量が増えて負圧が下がり、回転は高まる。1,100~1,200回転ぐらいで左右の負圧を合わせるのだが、調整しきれない、あるいは合わせても不安定であるなら他に原因がある。ボクサーエンジンは、その燃焼室がいかなる形態のエンジンよりも離れた位置にあるので、他のエンジンタイプでは気にならない程度のズレであっても、不調を体感しやすい。
作業中の注意点
スロットルボディの裏にプーリーの位置決めスクリューがあるが、調整不可。触ってはいけない。
スロットルケーブルの引き調整
ケーブルの遊びが左右とも0.5mm以上あることを確認のうえ、アイドリングから1,500回転までゆっくりと回転を上げ、バキュームゲージの上がり量の差異を見る。ズレがあれば、どちらかのケーブルアジャスターの長さを調整して合わせる。
同調調整作業は迅速に
10mmのロックナットを緩め、ケーブルのアウターが回転しないよう指で押さえつつ、アジャスターのみを回す。負圧の低い方を高い方に合わせる(ねじ込む)のが正しい。最初のアイドリング同調から最後のケーブル引き調整まで、5分以内で終わらせる。もたもたしていると、エンジン温度が上がりすぎて正確な調整ができにくくなるからだ。
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