シリンダーヘッドの点検と腰上オーバーホール
- 掲載日/2011年03月24日【R1100/1150GS基礎メンテ】
- このコンテンツは BMW BIKES Vol.50 掲載の記事を再編集したものです。
文・写真/ BMW BIKES 構成 / VIRGIN BMW.com
R1100/1150GS 基礎メンテ【エンジン本体の点検】編
多少のオイルにじみは問題なし
大排気量空冷エンジンの泣き所は、エンジンの温度変化の幅が大きいため、膨張と収縮を繰り返すことだ。シリンダーヘッドとシリンダー間からのオイル漏れは、1100ではたまに発生したが、メタルガスケット採用の1150からかなり改善されている。いずれにせよ、にじみ程度ならあまり気にする必要は無い。
燃焼室の点検
オーバーホールのために外したシリンダーヘッド。
燃焼室の様子
けっこうな量のカーボンが堆積している。
吸気バルブの点検
外した吸気バルブ。吸気側は常にガソリンで洗われ、通過する混合気で冷却されるので比較的きれいだ。バルブの当たり面も出ている。
排気バルブの点検
排気バルブは高温かつカーボン混じりの燃焼済ガスが通過するので、条件が厳しい。これはどんなエンジンも同じ。
バルブをじっくりと点検
排ガス中や燃焼室から剥離した大きなカーボンを噛みこんでしまうので、密着不良になりやすい。画像の黒い部分は排気ガスが吹き抜けている跡で、バルブシートに密着していない証拠だ。つまり、圧縮が抜けている。
カーボン堆積はトラブルの元
バルブの熱は、バルブシートとの当たり面を通じてヘッド側に逃がす仕組みなのだが、これでは排気バルブの冷却不足。異常燃焼(ノッキング)の原因となる。限界に達するとバルブが溶ける。
カーボンを除去する
掃除だけでなく、シートカットやバルブ当たり面の摺り合わせ、ピストンリングの交換など。ボクサーエンジンの場合、エンジンを下ろして分解することは非常に稀。オーバーホールといっても、エンジンを車体に載せたままの、いわゆる腰上オーバーホールだけで充分事足りる。
O2センサーの役割
排気管の後方にO2(ラムダ)センサーがある。燃焼ガス中の残留酸素濃度を測定することで、混合気の濃い、または薄いという信号をインジェクションのコントロールユニットに送る。その信号によって、リアルタイムで噴射量を補正(ラムダコントロール)し、理論空燃比に近づける仕組み。このセンサーがおかしくなると、アイドリングから低回転域で不調となる。
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