経年劣化で不調になる前に消耗部品は要交換
- 掲載日/2010年12月02日【R259系ボクサー基礎メンテ】
- このコンテンツは BMW BIKES Vol.43 掲載の記事を再編集したものです。
文・写真/ BMW BIKES 構成 / VIRGIN BMW.com
R259系ボクサーの基礎メンテ【燃料系】編
スロットルボディはキャブレターのような複雑な通路やジェット類が無いので、ほぼメインテナンスフリー。
インテークマニホールドは常に高温のシリンダーヘッドに接しているため、硬化してひび割れてくる。2次トラブル防止のため、早めに交換したい。
余分な空気を吸い込むため、アイドル不調やバックファイア、ノッキングの原因。これはどんなバイクも同じ。中期的な定期交換部品のひとつ。
バキュームホース接続口のゴムキャップ。割れて脱落することがあり、エンジン不調の原因に。安価な部品なので2年毎には交換したい。
アイドルエアスクリュー。アイドル時の空気量のみを調整する部品だが、テーパー状の先端部分にカーボンがたまり、アイドル回転が低くなったり、同調がずれることがある。外して掃除するが、同時にボディ側の通路もスプレー状のクリーナー等で洗浄する。
スロットルケーブル。初期はグリップから左のプーリーを経由して右のプーリーを駆動していたが、途中からケーブルディストリビューターを介した左右独立型になった。定期的な同期調整は言うまでもないが、磨耗や金属疲労による寿命があり、曲がりグセもつくので中期的な消耗部品のひとつ。
スロットルケーブルプーリーには、砂や小石がケーブルとプーリー溝に挟まり、ケーブルが張って同調がずれる事がある。高圧エアで掃除してもいいが、ケーブルの点検も兼ねて外して掃除する。潤滑剤やグリスを塗ると、かえって異物が張りつきやすくなるので、あえてなにもしない。
スロットル操作に違和感があったので、ケーブルディストリビューターを外してみた。
ケーブルがタイコ部分からほつれて、切れる寸前であった。
R1200C と R1100S を除いて、脱着が簡単なエアクリーナーエレメント。乾式なので高圧エアで汚れを吹き飛ばす。走行距離10,000キロに一回は交換したい。同時にエアボックス内に砂などが浸入していることがあるので、掃除機で吸い出す。
フューエルホースの断面や表面に割れやヒビなどがあれば即交換。替えるならフューエルタンク内のホースを含めて全て新調したい。インジェクションの場合、フューエルホースには3ber 以上(タイヤの空気圧より高い)の圧力がかかっているため、わずかのヒビからでもリークしやすい。ホースは金属製バンドの締め付けによって各部に接続されている。ホースが硬化して弾力が無くなり、締結力が下がって、最悪の場合圧力に負けて抜ける可能性もある。ホースを替える時はバンドも新調するのが基本だ。カシメ式からねじ込み式バンドに替えることもある。
タンク内のフューエルポンプユニット。ポンプ、フィルター、フューエルゲージ等が一体となっている。
タンク最下部の吸い込み口には細かい網目の1次フィルターが付く。これが破れると異物がポンプに噛んでトラブルの原因となる。
ポンプ本体は滅多に壊れないが、長期間動かさないとガソリンがヤニ化して固着することがある。
ポンプで圧送されたガソリンは2次フィルターを通過する。製造年月が印刷されているので交換の目安とする。交換しなくても一旦外して矢印と逆方向にエアを吹いて掃除する。汚れもあるが、タンク内の塗装が剥離して詰まることがある。また、結露した水がたまっていることが多々ある。オイルフィルターのように詰まったときのバイパス回路を持たないので、エンジン不調の原因に。
この短いホースも交換する。ホースバンドもカシメ式なので再使用しない。古くなるとカシメ部分からリークして燃圧が下がり、高速域でパワーダウンを起こすことがある。
U字型のホースも交換。ユニット~タンク間のOリングも含め、ゴム部品は再使用しない。定期交換部品のひとつだが、見逃されやすい部品。
インジェクター。通電によって開閉するシンプルな電磁弁で、寿命は長い。ただし、長期放置によるガソリンのヤニ化によって、詰まり気味で吐出量が少なく薄くなったり、閉まりが悪くて濃くなることがある。
コントロールユニットが壊れて交換した記憶は無い。R1200GS 以降はシステムが一新され、アップデートやプログラミングなどの書き換えやドライバーのインストールができるようになった。
排気系。外見は手入れ次第だが、内部は非常に耐久性が高く、触媒を含めて構造体の腐食はまず無い。排ガス中の酸素濃度を測定するラムダセンサーが不調をきたし、アイドル不調になることがある。
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