VIRGIN BMW | K1300GT(2009-) 試乗インプレ

K1300GTの画像
BMW Motorrad K1300GT

K1300GT(2009-)

  • 掲載日/2009年07月02日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  取材・写真・文/VIRGIN BMW編集部

スポーツ・ツアラーの最上級モデル
BMWの真髄をマルチエンジンで実現

2009年春、K 1300 S / Rと同時にリリースされたK 1300 GT。その名のとおり『グラン・ツーリズモ』を地で行くモデルだ。そのボディはカウルによってほぼフルカバーされ、パニアケースはもちろんインテグラルABSやグリップヒーター、電動スクリーンなどが当たり前のように装備される。さらにクルーズコントロール、シートヒーター、ESAⅡ、ASCなど、ロングツーリングに最適な装備がふんだんに盛り込めるよう、さまざまなオプション設定が用意されている。

K1300シリーズは排気量が1,293ccへとスケールアップされたことにより、とくに極低速域でのトルク向上が図られ、その恩恵はシリーズ中もっとも大柄なGTでこそ感じることが出来る。高速移動では安定した上質な乗り心地、また市街地やワインディングでは、驚くほど俊敏な運動性能を発揮する。そもそもBMWのモデルはいずれも、快適な長距離移動と意外なほど軽快なスポーツ性能でライダーを愉しませてくれるもの。その伝統をボクサーエンジンではなく、並列4気筒エンジンで実現しているのが、K 1300 GTなのだ。

K1300GTの特徴

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ロングツーリングに最適なスタイリングと
次世代Kシリーズの最新技術

K1300シリーズ3モデルを並べてみると、もっとも変わり映えしない1台、というのがGTに対する率直な印象だろう。SもRも大きくスタイルを変更したわけではないが、一見似たようなデザインの外装も、じつはまったく互換性のないものだ。GTはと言うと、サイドカウルのエンブレム部分のデザインが変わった程度で、サイレンサーも内部構造の変更のみ。SやRのようなショートタイプではない。最も大きな違いがカラーバリエーションだと言われても、実際に乗ってみなければつい信じてしまいそうだ。

しかしその内部はと言うと、SやR同様、先代K1200シリーズよりも大きく進化を遂げている。前斜角55°のギアボックス一体湿式クラッチ4気筒エンジンは、排気量のスケールアップとともに、シフト機構の最適化を目指した高精度なギアボックスとなり、そのフィーリングはまるで緻密に組み合わされた歯車を回す精密機械並み。また、出力とトルクの向上に合わせてクラッチとファイナルドライブを変更し、新型2ステージドライブシャフトの採用ではトラクションショックの軽減も図られている。

2006年に登場したK 1200 GTから、わずか3年という短期間でこれほど内容の濃い変更がなされるとは正直驚きだ。実際、旧K1200シリーズから新型K1200シリーズへの移行が2004年のSからだとしても、この5年間、BMWは前傾4気筒エンジンの熟成を続けてきたことになる。その中にあってGTのルックスにさほど変更が見られないのは、すでにそのスタイリングはロングツーリングに最も適したものであり、現状で手を加える必要性が無かったからに他ならないのだろう。

K1300GTの試乗インプレッション

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K 1300 GTから垣間見える
Kシリーズの完結とは

あいかわらずデカイ…。K 1200 GTと言えば、縦置きクランクエンジンを搭載する初代モデル(2003年)から、2006年に登場した先代モデルと、いずれもその極上な快適性能で、長距離走行を苦と思わせないBMW独特のクルーズ性能を体感したときの記憶が蘇ってくる。ボクサーエンジンとはまた違ったフィーリングで、まるでアスファルトの上を滑空するかのように、いとも簡単に鋭く走行ラインをトレースし、かと言ってライダーを疲れさせることなく、頬を緩ませる余裕すら与えてくれる魔法の絨毯…。自分にとってGTとはそういうマシンだ。

そんなことを回想しながらいざK 1300 GTを目の前にすると、やはりデカイなぁと思ってしまう。が、このガタイと重量がもたらす超高速走行安定性能も知っている身としては、それはそれでアリなのだ。

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スペック数値では車輌重量や車格は先代と変わらず、初代GTとでは軽量化すらされている。早速またがって車体を起こしてみると、低い位置に重心があることがわかる。さっさと市街地を抜け、高速道路で快適な時間を過ごそうと発進すると、狭い路地の出口や、流れの速い混み合った交通状況でも、大きな車体は切れ込むことなくスムーズにバンクし、右手のひとひねりで軽く起き上がる。アクセル操作に対してとても敏感に反応し、低速での発進や車線変更がスムーズに行える。久々のGTはじつに軽やかだ。

1,157ccから1,293ccへ、排気量をわずか136cc程度スケールアップしたことで得られる恩恵と余裕は絶大なものだ。この巨艦は低回転域から何のストレスも無く車体を前へ押し出し、驚くほど軽快なフットワークを踏んでくれる。さらに高速道路ではトップギアのままレーンチェンジも力強くこなし、高速域での加速性能も十分。じつはこの車輌重量と出力特性がベストバランスなのかもしれない。その意味では、これまでのGTは、K 1300 GTへ至るまでの熟成期間だったのでは? と思うほど、完成度の高さを感じてしまう。

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進化した電子制御式サスペンション、ESAⅡも最たるものだが、ロングツーリングに適した充実装備をまとったGTに乗っていると、若干の修正でラグジュアリー指向のマシンも出来るのではないだろうか、とも考えてしまう。そう、Kシリーズを完結させるには、あとはLTを残すのみなのだ。

その反面、これはさらに個人的な想像、というか希望なのだが、もうこれ以上のボリュームアップはカンベンして欲しい。これだけのマシンを作り出す技術力を持っているなら、次の一手はスケールを落とし、パワーや出力もそこそこに抑えつつ、かつての国産ナナハン並みの扱い易さを備えた3気筒エンジンのKがあればいいのに…とも思うのであった。

こんな方にオススメ

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じつは使い勝手の良い便利屋さん
1台ですべてをこなしたいライダーへ

熟成の域へ達した1300フォアの懐は相当深い。最初から十分過ぎるほどのロングツーリング装備を備えているので、そこに不満を覚えることはまず無いだろうし、先代に見られた低速域でのギクシャク感や、過敏に反応して逆に神経質にならざるを得なかったスロットルワークなど、ネガティブだったポイントは排気量アップにともなう各部の最適化によってすべて解消されている。さらにクラッチレリーズピストンの大径化によって左手への負担はかなり軽減され、GTが活躍するシチュエーションはロングツーリングのみならず、あらゆるオンロードへと拡がっている。ストック状態で長距離走行快適性能、豪快なスポーツ性能、そしてその巨体からは想像できないほどの俊敏性能を持つGTは、1台に要求するものが多く、貧相な乗り物には目もくれない贅沢なライダーにこそ、相応しいマシンかもしれない。

K1300GT プロフェッショナル・コメント

メリハリの効いた最新GTは
その熟成度合いに注目です

どうしても前モデルとの比較になってしてしまいますが、最新モデルとなったGTは、先代K 1200 GT(2006-2008)との違いがとても良く現れています。低速域からシャキッとしたフィーリングで、良い意味でシェイプアップされており、エンジンの力強さと精度の高い各部パーツによって、非常にメリハリが効いたものになっています。大柄な車体のGTにとって、この違いはとても大きいものです。

それは安定したアイドリングや、軽く、握り込み易くなったクラッチなど、低速走行時でも強く感じることが出来ますし、また高速走行時では、レーンチェンジなど狙ったところにスッと移動が出来る、キビキビとした動きをしてくれます。

また、ESAⅡの進化も見逃せません。スイッチひとつでスプリングレートの調整が可能となり、より理想的な調整が出来るようになりました。これのおかげで2人分の荷物を積んでタンデム走行をするときでも、今まで以上にスポーティなクルージングを愉しめることでしょう。

ツウなお客様ですと、「BMWは最後期型が狙い目」とおっしゃいますが、このGTに関して言えばまったくの逆。最新モデルとなってさらなる熟成が重ねられていて、こう言ってはなんですが、K 1300 GTは「GTの完成版」ではないでしょうか。すでに先代のGTにお乗りで、その愉しさを分かっていらっしゃるユーザーさんには、是非一度試乗をしていただき、その熟成の度合いを体感して欲しいと思います。(BMW Motorrad Tokyo 青木 正志さん)

取材協力
住所/東京都港区赤坂2-10-10
電話/03-3582-3231
営業時間/9:30-19:00(日曜日は18:00まで)
定休日/月曜日、第一・第二火曜日

K1300GT の詳細写真

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左手のスイッチボックスから
あらゆる便利機能を簡単操作

電動スクリーンはもちろん、クルーズコントロールやASC、ESAのモード切替など、ロングツーリングに最適な機能をフル装備した状態だと、左手にはこれだけのスイッチが並ぶ。BMW伝統のウィンカースイッチは一般的なものに。
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一度使ったらもう病み付き
いまや必須の電動スクリーン

左手の指先で走行中でも簡単に上下可動する、標準装備の電動ウィンドスクリーン。パッセンジャーまでエアポケットに包み込む防風効果は絶大。R1200RTほど大きくもなく、スポーティなクルージングに最適なサイズと形状。
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ハンドル高まで調整可能な
先代譲りの便利機構

ライディングポジションに合わせて高さが4段階に調節可能なハンドルブリッジ。セッティングは車載工具で簡単に出来る。互いが波板状のプレート面を好みの高さで合わせて締め付けるだけ。アナログながらスゴイ機構だ。
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シート高は2段階に調節可能
ハンドルと合わせて好みの位置に

ライダーのシート下には手動のポジションバーを装備。シート高800/820mmに切り替え可能。市街地なら低く、長距離移動なら高くセットするなど、シチュエーションに応じて使い分けたい。ハンドル位置とのマッチングも選べる。
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