久しく途絶えていたBMWバイクの称号『RS』がブランニューモデルとして復活を果たした。そのR1200RSに向けてのパーツを積極的に展開しているのがR-styleだ。チタンをはじめとする金属加工技術を生かした製品は、ノーマルとは異なった魅力を引き出している。今回は、それらが装着された車両を和歌山 利宏氏のインプレッションとともに紹介しよう。
BMWバイク用パーツの世界に新たな旋風を起こしたモリヤス・アイアンワークス。その製品は『R-style』のブランド名で展開されている。機能的な面を持っているだけではなく、得意とする溶接を含めた金属加工の巧みさから、装着によるルックスの変化も楽しむことができ、ユーザーを満足させてきた。
フォグランプまでをガードする特色を持ったK1600GTL用のエンジンガードを皮切りに、代表を務める森下 徹さん(写真中央)の愛車でもあったR1200GS用、R1200RT用などのパーツを次々にリリースし、2015年にラインナップへと加わったのがR1200RS用の製品だ。
中でも注目すべきなのは、走りの質や乗り味に関わるマフラーとトルクロッドだろう。マフラーは、チタン素材を用いたスリップオンタイプで、軽量化に貢献。サイレンサー内部は『尾管』を使った独自の『RTPシステム』とされている。これはストレート構造と比べると複雑になるため、開発時間や製造コストはかかるが、音量を下げながらもパワーダウンを招かないというメリットがある。さらには、静電気を除去して排気を促進するナノテクノロジー素材『オービトロン』も内蔵されている。写真左は、このマフラーに組み込まれるオービトロンの供給元であるランドマスター・ジャパン代表の金光 利久さん。
また、トルクロッドはチタンを用いたモノコック構造とこれまでの形式を踏襲しているが、R1200RS用ではリアの車高を上げる方向としたことがR1200GS用、R1200RT用と異なる点だ。となれば、気になるのはそれらの装着による変化だろう。
R1200R/R1200RSにも造詣が深いモーターサイクルジャーナリストの和歌山 利宏氏のインプレッションはいかに?
向かって右から、今回のインプレッションを行った和歌山 利宏さん、R-style代表の森下 徹さん、ランドマスター・ジャパン代表の金光 利久さん。
「最初に、ノーマルのR1200RSで走ってみる。兄弟車であるR1200Rと同様、ゆったりとした親しみやすさの中に、フラットツインエンジンらしさを満喫できる。ハンドリングは、R1200Rよりもメリハリが抑えられ、スポーティさよりも快適性重視のようだ。
そして、R-style仕様のR1200RSを始動。歯切れの良いサウンドが響くが、音量は抑えられていて、マニアックながらも上品なのだ。装着されたトルクロッドは全長がやや長く、後部の車高が若干高くなるが、足つき性がスポイルされるほどではない。
レアルパイソンスリップオンマフラーを装着したエンジンは、ノーマル以上にスムーズで、粘りも増している。それでいてレスポンスが良く、パルス感も明瞭に届く。扱いやすいだけでなく、街中のトコトコ走りもテイスティだ。そればかりか、高回転域に向かっての吹き上がりがなんとも爽快である。しかしながら、優しさに欠けるシャープさではなく、気持ちに忠実で遅延のない吹き上がり方だ。
これは、R-style独自のRTPテールパイプ構造だけでなく、サイレンサーに内蔵されたオービトロン素材による静電気除去の効果なのだろう。燃焼状態が改善されることに加え、フリクションが低減され、違いを実感できるというわけだ。
しかも、ノーマルだったらスロットルのオンオフによるリアリフトや沈み込みがシャフトドライブらしく唐突なのに、これはそうした挙動もマイルドでコントローラブルだ。スロットルレスポンスの忠実さもあるが、トルクロッドのチタン素材は柔軟性にも富み、かかる荷重に対してリニアに変形。それがフィードバックの豊かさになっているみたいだ。
ハンドリングは、車両姿勢が“ケツ高”となり、進入時に“切れ”が加わっている。ただ、国内仕様はローシートが標準で、進入時にダルになりがちだが、これをノーマルシートとするだけでも軽快感が出てくるだろう。R1200RSの大らかさを残すには、トルクロッド長はノーマルのまま、シートを高くする手もあるかもしれない。
さらに気に入ったのは、ブレーキがコントロール性に富むことだ。装着されたフレントゥーボカーボンブレーキホースは、剛性感に加えて適度の柔軟性があり、そのことがコントロール性を高めている。おかげでABSを作動させてしまうことがほとんどなかったほどである。
これらの相乗効果もあってR-styleのR1200RSは、乗り手のストレスが軽減され、乗って楽しく、マシンへの愛着が沸きやすいものとなっていた」
R-styleのパーツが装着されたR1200RSを見てみよう。車両の右サイドでは、やはりスリップオンマフラーの存在感が強く、ルックスの向上に大きな役割を果たしている。左サイドでは、チタン製のトルクロッドがアピアランスにも自然に溶け込んだ。カウルの奥にはラジエターコアガードがあり、フロントからの見た目のワンポイントになっている。そして、ハンドルまわりに装着されるステンレス製のナビステーも、その実用性の高さからヒット商品となっているのだ。
住所/大阪府大阪市生野区小路東2-1-21
定休/日曜、祝日
営業/10:00~20:00
Tel/06-6756-7025
本来『アイアン』は鉄のことだが、手がけているのは鉄からアルミ、ステンレス、チタンと、適材適所。いうなれば、金属の象徴的な意味としての『アイアンワークス』を名乗る。その発想力には定評があり、フォルムの中に高い機能性を有した製品を得意とする。小回りが効くことも特色で、ワンオフ製作にも対応している。