掲載日/2014年9月11日 文/T-Chopper
R nineTプロジェクトのビルダーとして選出された中で、唯一BMWカスタムの豊富な経験を持つビルダー中嶋志朗。13年前にBMWなどヨーロッパ車を中心に取り扱うリトモセレーノを立ち上げて以来、センスあるヨーロピアンカスタムショップのビルダーとして活躍してきた。そして今年、新ブランド46 Worksを立ち上げ、新たなる世界を築こうとしていた中嶋の前に、ブランニューモデルが現れた。
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R nineTを前に、「これまでのBMWと比べて、軽快でよく走りそう。ノーマルでも十分かっこいい」という第一印象を持った中嶋だが、カスタムプロジェクトに着手する前に、まずは走ってイメージを固めたいと、ストリート、ワインディング、そしてサーキットと、あらゆるシーンで走り込んだ。そして、見えて来たコンセプトは、どこを走っても楽しく、気持ちのいいコンパクトなカフェレーサー。
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まず手を付けたのが、サスペンションなど足周りの改良である。オーリンズ製のフロントフォークは、バネレート、オイル量の調整により、初期作動のスムースな動きと高速域での粘り強い特性を確保。また、バンク角確保のためフットコントロールを変更。ホイールも軽量なマグタンに。エキゾーストは中高速域での滑らかな吹け上がりとパンチ力を求め、チタン製の2 in 1とされる。
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レーシーなエクステリアもバランスがいい。6枚のアルミ板からなるフューエルタンクは、ABSユニットやフューエルポンプを内蔵しながらもコンパクトでホールド感は抜群。さらに、シートカウルやシートレールもワンオフによるものだが、あらゆるライダーのポジショニングに合わせ調整、変更ができるようボルトオンとされている。この辺りは豊富なレース経験値とそのノウハウをよく知る中嶋らしい、きめ細かな造りといえよう。
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当初のコンセプト通りコンパクトなカフェレーサーに仕上がった中嶋のマシン。そこには一切の無駄がなく、そのすべてが理由ありき機能美に満ち溢れている。
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バイクという乗り物を楽しんでいるからこそ見えてくるこの世界観は、ビルダー中嶋志朗の真骨頂とも言えるだろう。
クリップオンハンドルのシンプルなコクピット、ワンオフのフューエルタンクから緩やかな曲線を描きながらシートカウルへと続くエクステリアは、基本骨格にマッチすると共に、コンパクトなマシンを造り上げる。しかし、その本質は跨ってこそ実感できるものである。