危険な状況を察知すると0.08秒以内にエアバッグが作動完了するD-AIRに本格的なストリートモデルが登場する。安全は、すべてのライダーのために。
20余年に渡る研究開発で生み出された正確無比なアルゴリズムによって、いまやエアバッグシステムを代表する存在となったダイネーゼのD-AIRシステム。ライダーが危険なクラッシュをしたと判断すると、0.025秒でエアバッグが膨張、0.08秒以内に完全な防護性能が備わるという先進的なシステムだ。MotoGP™のV・ロッシ選手をはじめ、モータースポーツの世界で多くの信奉者がいるのも、長年に渡って実戦開発に拘りシステムを進化させ続けているダイネーゼ社への信頼の賜物だ。
2000年/エアバッグ元年。上半身に装着するベスト型エアバッグを開発。現在までに続くD-AIRシステムの始祖である。
2007年/この年、初めて実際のレースでエアバッグが作動。この頃はエアバッグが首周りを包む外部露出タイプだった。
2012年/それまでMotoGP™などの契約ライダーのみに供給されていたD-AIRシステムを、この年初めて一般供給開始。
2016年/サーキットユースだったシステムにストリート用のアルゴリズムを盛り込み、一般市場で販売を開始。
2017年/レーシングスーツの最高峰ムジェロRのシステムがさらに進化。インフレーターが両脇腹までをカバーする形状に。
これまで同社エアバッグ製品は、レーシングスーツの「ムジェロ」やレザージャケットの「ミサノ1000」など、どちらかというとスポーツ&レースイメージを強く持つ人も多かったはずだ。だが、今年新たにストリート向けの製品が登場する。
オーソドックスな全天候型ツーリングジャケットとも言える「サイクロン」は、ツーリングユースメインのBMWオーナーにはぴったりな一着。そして、スクーターなどのアーバンモビリティでの使用を想定したロング丈の「コンチネンタルジャケット」は、通勤などのデイリーユースにベストマッチするアイテムだ。
サーキット用のシステムがハイサイドとローサイド(=比較的低速度でのスリップダウンなど)に対応するのに対し、「ミサノ」「サイクロン」「コンチネンタル」のストリートエアバッグシステムは単独での転倒はもちろん、自動車との衝突も加味したアルゴリズムを持つのが特徴だ。
対車両/対車両衝突の際に相手に対してバイクの入射角が左右各45度以内でエアバッグが作動。相手が停まっていても動いていても有効。
ハイサイド/スライドしたリアタイヤが急激にグリップを回復、ライダーが投げ出された動きを感知すると、0.08秒以内にエアバッグが作動完了。
ローサイド&スリップダウン/フロントまたはリアタイヤがスリップして、ライダーが路面に投げ出されるとセンサーが身体の動きを感知。エアバッグが作動する。
BMWオーナーの中には、1日に500km以上を走破するような使い方をする人も多い。長い時間、長い距離を走れば、ヒヤリとする場面に遭遇することも確率的に高くなるから、いつ来るか分からない「万が一」への備えは万全であるに越したことはない。きっと、最新のBMWに乗る人こそ、BMWが日々進化させる旅性能と先進の安全性に対する安心感を人一倍感じ取っているはずだ。そこにもうひとつの安全性=D-AIRシステムが加われば、きっとBMWでの旅はもっと楽しめる。
ジャケット単体でエアバッグが動作するD-AIRシステムは、バックプロテクターにGPSと6つのセンサーを搭載している。システム全体では1秒間に1,000回もセンサリングを行って常にライダーの身体の動きをモニター、万が一の事態が起きれば0.08秒以内にエアバッグが作動完了する。
「サイクロン」と「コンチネンタル」はストリート用のシステムを搭載した新作ジャケットだ。一見するとエアバッグを搭載しているとは思えないデザインも、ダイネーゼならではである。
CYCLONE D-AIR JACKET 価格25万円(税抜)
ストリート用ジャケットのシステムは「プロアーマー」と呼ばれる独自のフラクタル構造を持つプロテクター内に同梱している。
CONTINENTAL D-AIR JACKET 価格24万円(税抜)
MISANO 1000 D-AIR JACKET 価格25万円(税抜)
自動車との衝突で致命傷となる胸部への衝撃を効果的に軽減しつつ、肩・鎖骨周りもしっかりガードするエアバッグ。ミサノ、サイクロン、コンチネンタルすべて同じ仕様だ。
インフレーター内部にはマイクロ・フィラメントがびっしり詰まっている。作動時には厚さ4~5cm程度にまで膨らみ、衝撃を吸収してくれる。
D-AIR RACING
フラッグシップのレーシングスーツ「ムジェロR」と同じエアバッグシステムを持つミサノ。サーキット走行会などで愛用するライダーも増えてきている。