Racing Misano Estiva
価格:39万9600円
Misano 1000
価格:24万7320円
バイク用のプロテクションギアとしても、その有効性が浸透してきたエアバッグ。その最高峰と目されるのがダイネーゼの『D-Air®』だ。D-Air®最大の特徴は、ワイヤーなどの起動アイテムが不要、完全独立運用が可能なセンサー式を採用していることにある。D-Air®は加速度センサーとジャイロスコープ、GPSの3種類のセンサーから得たデータを複合的に検証し、ライダーとバイクの挙動を判断。危険な転倒と判断した場合にエアバッグを作動させる。
一般的に、バイクでの事故の場合、アクシデント発生から80㎜秒ほどで最大の衝撃を受けるとされている。D-Air®はその半分ほどの時間で、エアバッグを作動させる判断とエア充填を完了する。この反応の早さこそ、D-Air®の高い安全性の証だ。当初はレーシングスーツから市販がスタートしたD-Air®だが、いよいよストリート用ライディングギアにも搭載モデルが登場。D-Air®のシステムを公道走行の条件に最適化した。世界最高レベルのプロテクション性能を持つジャケット、それがMisano(ミサノ) 1000なのだ。
Misano 1000に搭載されるD-Air®のシステムは、基本的にレーシングスーツ用と同一のものだが、ストリート走行に合わせたチューニングが施されている。最も大きな違いは、Misano 1000では他車との衝突に対して配慮されているところ。サーキット走行では単独転倒の可能性は高いが、他車との衝突の危険性は小さい。その点、混合交通であるストリートでは、他車との接触によるアクシデント発生率が飛躍的に高まってしまうためだ。
Misano 1000のD-Air®では、エアバッグの起動判断を行うために専用のアルゴリズムが用意され、設定速度も下げられるなど、ストリートでの安全性向上に特化した性能が持たされているのだ。
Misano 1000のエアバッグはレーシングスーツ用とは形状が異なる専用品。レーシングスーツ用はハイサイド転倒時の首回りの保護を主目的としているが、Misano 1000ではそれに加えて胸部の保護が重視されている。バイクでの死亡事故の主な原因のひとつである、衝突時の胸部への衝撃を緩和するためだ。エアバッグの容積が大きくなっているが、エア充填用の高圧縮ヘリウムのボンベをレーシングスーツの1本から2本に増加させることで、充填時間は逆に高速化している。
エアバッグを膨らませるのは、火薬と高圧縮ヘリウムのボンベを併用した四輪用エアバッグと同等のシステム。D-Air®の心臓部であるユニット部分は、バックプロテクターに内蔵される。バックプロテクターにつながっている四角い部品はGPSの受信ユニット。Misano 1000のD-Air®は、10km/h未満ではエアバッグが作動しない設定。
D-Air®の起動は、首元のオン/オフボタンを留めるだけ。難しいことは何もない。誤って起動させてバッテリーを消耗させることがないように、ダミーのフラップも付属する。作動状態は右腕のインジケーターで確認できる。スイッチがオンになったらグリーンで点滅し、点滅する回数でバッテリーの残量を表示。GPS信号を受信してシステムが正常に作動可能になるとブルーに変わる。システム終了時と異常が発生した場合は赤で点滅する。走行中はライダーの集中力を逸らさないように、インジケーターは消えている。
Misano 1000はチェストとバックにハードプロテクターを装備する。このプロテクターはD-Air®装備を前提としない製品と、同等のプロテクション性能が持たされている。D-Air®のエアバッグと組み合わせることで、今までにない高い防御性能を実現しているのだ。