
最新のテクノロジーを駆使してライダーの身体を守る。創業から今までダイネーゼが追いかけ続けているテーマだ。昨今のダイネーゼはレースの世界で研究開発を続けてきた孤高のエアバッグシステム「Dエア」をコンシューマー向けにも販売をスタート、現在もそのラインナップの幅を広げている。これまではレーシングスーツやスポーツジャケットなど、どちらかというとスポーツ志向のアイテムが中心ではあったが、今年ついに待望のツーリングジャケットが日本市場に登場した。それがここで紹介するサイクロン・Dエアジャケットだ。
価格/25万円(税別)、サイズ/44~60、カラー/ブラック×ホワイト
快適性の高い襟周り
大型ベンチレーション
フラップ付き防水ポケット
見やすいLEDインジケーター
ジャケットには専用のバッテリー充電器とUSBケーブル、説明書が同梱される。USBを介してシステムのアップデートはもちろん、GPSのログを取り出すことも可能なのだ。
Dエアシステムの概要はまさに現状では世界最先端と呼べる仕様だ。万が一の際にエアバッグが必要だとシステムが判断すればわずか0.03秒でエアバッグが膨張し、鎖骨から肩、胸部、脊椎に至る広範囲を均等に保護してくれる。もしもダメージを負ってしまったら回復に時間がかかる部位を効果的に保護するのがDエアシステムの真髄なのだ。
サイクロンに組み込まれているDエアはレーシングスーツに搭載されるシステムとは異なり、ストリート走行に特化したアルゴリズムを持っている。ハイサイドやスリップダウンなどの転倒時に作動するだけでなく、四輪車など障害物との衝突でもエアバッグは展開するのも大きなポイントだ。このストリート用エアバッグの研究・開発にもダイネーゼは多くの歳月をかけてきており、イタリア警察への制式採用などすでに実績も充分だ。
「いかなる状況でもライダーの安全が第一」これはダイネーゼ製品に脈々と受け継がれる伝統だ。その姿勢は世界に先駆けてABSやASCなどの先進装備を市販車に採用してきたBMWに通じるものがある。バイクとウエア、その双方で世界最高レベルの安全性を構築できるのはBMWオーナーの特権だ。そして、そのチャンスはいま目の前にある。
エアバッグ本体はベスト状となる。全体写真で白く透けているのがエアバッグのインフレーター(膨張部)だ。作動時には均等に厚さ5cmにまで膨らみ、身体の各部を保護する。
ジャケット本体とベスト状のエアバッグの接続は、スナップボタンで行なう極めてシンプルな設計。前身頃と首周りの数カ所をスナップで留めるだけでしっかり装着できる。よく考えられた設計だ。
前身頃にある金属製ボタンを合わせるとシステムがスタンバイ。動作確認は左袖に設けられたLEDインジケーターで行なう。赤・青・緑の点灯によりシステムの状態を確認できる。バッテリーは6時間の充電で最大24時間の使用が可能だ。
プロテクター上部にはバッテリーや各種センサーが内蔵される。6つあるセンサーはライダーの動きを1秒間に1,000回モニタリングしている。エアバッグ本体となるべストとはコードで接続する仕組みで、このコードを介して電力と電気信号をやりとりする。上部のカバーにはマイクロUSBコードがあり、このUSBを介して充電・システムのアップデートが行なえる。
下部にはGPSを内蔵。Dエアシステムはハイサイド・スリップダウン・他車への衝突と、すべて時速10km以上で作動する。センサーによる加速度&角度の検出に加えてGPSによる速度解析もシステムの精度を高めている。