※この記事はBMWモトラッド専門誌『BMW BIKES Vol.82』(2018年3月日発売)の記載内容を再編集・掲載したものです。
イタリアのヘルメットブランドAGVが昨秋発表したシステムヘルメット「スポーツモデュラー」がついに日本へ上陸した。スポーツモデュラーは、チンガード(あご部)を含めてカーボンとした世界初のフルカーボン・システムヘルメット。驚くのはその軽さで、M&Lサイズの帽体で重量は1.5kgを切る1,456±50gだ。この軽さを実現できたのは、なんといっても帽体をフルカーボンとしたことにある。
システムヘルメットはチンガードを大きく開閉できることで、フルフェイスながらジェットヘルメットのような利便性がある。たとえばちょっとした休憩中の飲食や一服にも便利だ。また、ブーツの靴紐やバックルを手直しするときになどフルフェイスではあごが邪魔して視界が効かないときでもシステムヘルメットならワンタッチでオープンフェイスへと早変わりする。一度使い始めると手放せなくなる利便性の高さが魅力だ。
だが、開閉機構を持つシステムヘルメットは、その機構が災いして重量的には不利。しかし、これまでスポーツヘルメットの最高峰ピスタGPを筆頭にカーボンモデルをリリースしているAGVは、そのノウハウを生かし、カーボン製ヘルメットとして作り上げた。
スポーツモデュラーのシェイプはAGVのフルフェイスの帽体と見違うほどスタイリッシュ。シャープなチンガードから後頭部に向かって独特の流線形を描く帽体はまさにAGV的。昨今のBMWバイクにもよく似合うだろう。
チンガードの開閉は、裏側の赤い樹脂ボタンを指で軽く引っ張るだけ。閉じるときは最後まで降ろすだけで自動でロックされる。インナーバイザーは、帽体左下のトリム部のスライドスイッチを操作して開閉。こちらも指一本で操作できる。インナーバイザー越しの視界はクリアで気持ちがいい。また、製品にはピンロックシールドも付属している。
アジアフィットと呼ばれる型を使用した内装は日本人の頭にもよくフィットする。チークパッドなど肌に触れる部分のファブリックはとても肌触りがよい。敏感肌の人にもオススメできる心地よさだ。チンガード裏のフラップは長さ違いで2種類を用意。また、頭頂部のパッドは表・裏で素材を変えたリバーシブルで、夏でも冬でも快適に使える。
チンガードには開閉式のインテークを備えるほか、シールドをわずかに開けたままにしておく機構も装備。信号待ちなどワンプッシュで外気を取り入れられる。また後頭部には3段階調整式のベントも設けているので夏場には重宝する。
Dリングにはなんとチタンを採用するほか、開閉機構の肝となるピボット部のメカも極力小型化。こうした積み重ねでシステムヘルメットらしからぬ重量を実現した。ぜひ販売店でその軽さを確かめていただきたい。
スポーツモデュラーは4種類のカラーリングを用意するが、そのどれもがカーボンの織目を生かしたカラーとなる。