先ほど開催されたEICMA(ミラノショー)2017の会場でAGVがシステムヘルメットの“Sport Modular”とヘリテイジシリーズ“AGV Legends”シリーズを発表、新たなセグメントへの参入を明らかにした。
ブランド黎明期からスポーツヘルメットの代名詞として知られるイタリアのAGV。古くはジャコモ・アゴスティーニやケニー・ロバーツ、そして現代ではバレンティーノ・ロッシと、世界GPのトップ選手らがこぞって使用するイタリアを代表するブランドのひとつだ。
そんなAGVが、ミラノショーの会場でまったく新しいモデルを発表。それがシステムヘルメット「スポーツモデュラー」だ。システムヘルメットは開閉機構に付随するパーツ点数が増えるため、通常のヘルメットよりも重量的に難があるが、スポーツモデュラーではメインの帽体とアゴの部分をフルカーボンとすることで重量増を解消。本体重量は1295g(±50g)と、驚きの軽さを実現している。もちろんツーリングユースを見越したベンチレーションやインナーバイザー、静粛性に優れた構造、季節で選べる内装など各種装備の充実ぶりも光る。実際に展示品を手にとって観察したが、初めてシステムヘルメットを手がけたとは思えない作りには正直驚いた。
EICMAでは広大なブースを構えていたAGV。新作のスポーツモデュラーをフィーチャーした展示では、すべての構成パーツをディスプレイする演出も。その部品点数の多さと実際の帽体の軽さとのギャップには驚くばかり。もちろん、ピスタGPなど同社フラッグシッップのスポーツモデルもズラリと並んでいた。
このスポーツモデュラーシリーズは、日本では2018年5月からリリースが開始されるという。AGVの最新テクノロジーがふんだんに盛り込まれたシステムヘルメット。快適な旅を愛するビーマーなら決してスルーできないはずだ。
なんとDリングはチタニウム製で従来のスチール比で43%の軽量化。どんな小さな部品でも軽量化に妥協はしない。
チンガード部の開閉は、赤いボタンを引っ張るだけのワンタッチ。
シールド開閉のピボット部は非常にコンパクトな設計。4段階の開閉のほか、僅かにシールドを開くことも可能。
内装の質感は素晴らしい。試着してみたが、欧州仕様の内装ながらかぶり心地は快適そのもの。圧迫感が少ないながらもしっかりとしたフィット感もある。頭頂部は季節で内装を交換できる仕様となる。また、チンガード底部には巻き込み風を防ぐ大型のフラップも装備している。
ベンチレーションは帽体前後に装備。チンガードには小型スリット、後頭部には3段階に調整可能なベントを備える。また、同社のスポーツヘルメット同様、帽体下部は万が一の際に鎖骨へのダメージを軽減するエグリが設けられている。
ワンタッチで開閉可能なインナーバイザーも装備。また、メガネ使用にも対応した作りであることも嬉しい。
ミラノショーの会場で発表されたもうひとつのニューライン。それがAGV Legendsだ。フルフェイスのX3000、オープンフェイスのX70と、70年代を思わせるフォルムながら、完全新規でデザインされた帽体はR nineTなどのヘリテイジシリーズはもちろん、ちょっと古いBMWにもよく似合いそう。
ミラノショーでは、ジャコモ・アゴスティーニの特大パネルのほか、歴代の名レーサーに愛されたヘルメットの実物をディスプレイ。ケニー・ロバーツやランディ・マモラの愛用品はもちろん、F1のネルソン・ピケやロニー・ピーターソンのヘルメットも展示されていた。
X3000 LIMITED EDITION “AGO 1” 8万4,000円(税抜)
ジャコモ・アゴスティーニが愛したモデルを忠実に再現した一品。イタリア国旗のトリコロールとゴールドの組み合わせは彼のトレードマークだった。