BMWの作るモーターサイクルは、極めて完成度が高い。メーカーから出荷された時点で完成形といって差し支えないものだ。だが、ライディングスタイルには一人一人違った個性がある。いくらBMWの完成度が高くても、全てのライダーに完全にマッチングするものでもないわけだ。アエラのパーツは、マスプロダクションであるマシンと、唯一無二の存在であるライダーをより近付けて、走りの楽しさを高めてくれる。
アエラのパーツ作りは確固たるポリシーのもとに行われている。それは、「安全・快適・より楽しく」という3つの、キーワードが象徴している。このポリシーを体現しているのが、ポジションパーツだ。BMWのライディングポジションは大柄な欧米人をメインのターゲットとして設定されている。ノーマルのままでは、体格や体型の異なる日本人に合わせ切れていないのは事実だろう。
そこでアエラが着目したのがハンドルだ。アエラのアルミ可変ハンドルバーは、ノーマルに比べハンドル幅を狭め、グリップ位置も変更。日本人の体に合わせて最適化を行っている。さらに、絞り角度を可変とすることで、ライダー個々のライディングスタイルに合わせたアジャスト機能まで持たせているのだ。
バイクで走る上で、ライディングポジションは重要なファクター。自分に合ったポジションを構築できれば、操作性は大きく向上する。操作性が上がれば走りに余裕が生まれ、安全性が上がる。また、同時に快適性が向上し身体への負担も減る。「安全」で「快適」なのだから、当然走りが「楽しく」なるというわけだ。
アエラのパーツが装着されたR1200RSでテストライドを行ったところ、アエラのポリシーをより深く感じることができたので、そのインプレッションをお届けしよう。装着されていたパーツは、アルミ可変ハンドルバーとショートチェンジペダルの二つだけ。だが、これだけの変更が驚くほどの走りの変化を生み出していたのだ。
マシンに跨ると、上半身の自由度の高さを感じる。ノーマルハンドルでも不都合を感じていたわけではないのだが、アエラのハンドルと比べてしまうと思ったより前方にあったことに気付かされた。ブレーキホースやケーブル類はノーマルのまま。R1200RS用のアルミ可変ハンドルバーは、バーエンド部分での計測で幅が最大30mm狭く、高さは最大で11mm低く、手前に18mm近くなるという。(バーハンドルのため、クランプ部での取り付け角度により、数値は異なる)このわずかな位置の変更が、想像以上の効果を生み出すことに驚かされる。ショートチェンジペダルも同様だ。チェンジペダルがわずかに短いだけなのに、ギアチェンジの確実性が格段に上がっている。アルミ削り出し製による高い剛性感も効いている。操作性は明確に向上している。今まで以上にR1200RSが好きになった。
アエラではBMWのモーターサイクルを高く評価している。乗り手をカバーしてくれるような懐の深さは、他にない良さだとも聞いた。だからこそ、その美点をさらに引き上げたい、もっともっとBMWを楽しんでもらいたいというのが、アエラの考え方なのだ。その想いが見事にパーツに表現されている。BMWには「安全に、快適に、より速く」という理念があるが、これはアエラの「安全・快適・より楽しく」というポリシーとオーバーラップする。なるほど、両者が絶妙にマッチングするのも当然なのだろう。
アエラをブランド展開するカスノモーターサイクル、その代表を務める糟野雅治氏は、日本のバイクレース黎明期に活躍したレーシングライダー。だが、アエラのパーツはレースを想定としていない。あくまで、一般ユーザーがストリートでバイク楽しむことを目的に作られている。その基本ポリシーが明確に表れているのが、ファッション性も重視されているところ。例えば、アルマイト仕上げの製品は基本色以外に全15色の特色仕上げにも対応。また、分割されているパーツを、それぞれ異なる色で仕上げるオーダーも可能だ。高性能、高品質、高い質感、全てを備えるハイエンドカスタムパーツ、それがアエラなのだ。
アルミ可変ハンドルバーは写真のR1200GS LC用 ’13年モデル~(7万4,520円)の他、R1200RS用(7万8,840円)、R1200R用(7万4,520円)、R nine T用(7万4,520円)がラインナップ。車種別専用設計が採用され、ハンドル位置や調整幅は車種により異なる。また、ブレーキホースやケーブル類の交換が不要なボルトオン設計となっている。
理想のポジション構築に欠かせないライディングステップキットは写真のR nine T用(11万7,720円)の他、S1000RR各年式、各グレード対応品がラインナップ。R nine T用は8ポジション可変。S1000RR用は日本人の体型に合わせたフォワードステップで、マシンコントロール性を大きく向上させる。
ステップ位置に問題がないモデルでも、日本人の足のサイズを考えるとノーマルのペダル位置は遠目。繊細かつ確実なシフトワークを実現するショートチェンジペダルは写真のR1200R/RS用の(1万8,000円)の他、R1200GS LC用(1万9,800円)もラインナップ。
今やバイクでも必需品となったナビゲーションシステムを、スタイリッシュにマウントするナビゲーションステー、R nine T専用品(2万7,000円)。ボールジョイント式を採用し、取り付け角度の自由度をアップ。精緻なアルミ削り出し製で、アピアランスも向上。アタッチメント使用でスマートフォン固定にも対応。
ツインエンジンの構造上の問題ともいえる過大なバックトルクや、低速走行時のトルク変動によるギクシャク感を軽減してくれるクランクケース内圧コントロールバルブ。写真のR nine T用(3万240円)以外にも、BMW各モデル対応品をラインナップする。
オイルクーラーを飛び石などによる破損から守るオイルクーラープロテクター。写真はR nine T用(1万6,200円)で、同モデル用ブラックタイプ(2万1,600円)もあり。水冷エンジンモデル用のラジエタープロテクターはR1200R/RS用(2万1,168円)、R1200GS/RT LC用(2万1,168円)、S1000RR/R/XR用のラジエター&オイルクーラープロテクターセット(3万7,800円)がラインナップ。ステンレス製で強度と耐久性に優れ、ファッション性も高い。
motoGPマシンをイメージさせる大胆な肉抜きが、スポーツする気分を盛り上げるS1000RR用(’15~モデル対応)トップブリッジ(6万4,584円)。裏面にいたるまで徹底的な肉抜きが施され、ノーマルと比較してより軽量に仕上がっている。アルミ削り出し製で、高い剛性としなやかな柔軟性を両立。カラーはホワイトとブラックの2色から選択可能。
遠く低い位置にハンドルがあるため、前傾姿勢がきついS1000RR。アップハンドル(6万9,120円)を装着すれば、上半身の自由度を高め、前方視界を広く確保できて安全性も向上。ハンドル位置はバーエンド部分で手前に5mm、上方に32mm移動。ハンドルのたれ角はノーマルの12度から5度に変更されている。S1000RR全年式に対応。
BMWをはじめ、輸入車を中心に様々なパーツをラインナップするパーツブランド。機能や品質の高さはもちろん、ハイエンドモーターサイクルに相応しい高い質感を持つパーツであることが特徴。アエラを展開するカスノモーターサイクルは、グループ店にBMW正規ディーラーのモトラッドカスノを持ち、BMW用ユーザーに広く対応する。