【S1000RR 徹底解剖】シャーシ 詳細解説 その2
- 掲載日/2017年02月16日【BMWバイク モデル別ディテール紹介】
- Text & Photo / Keisuke ASAKURA
小柄なライダーには
若干遠いハンドル
ハンドル位置は先代モデルから変更はないが、バーエンド部で左右各5mm幅が拡げられている。ハンドルの高さは、スーパースポーツとしては平均的だが、やや遠め。フルロック状態での、手とタンクのクリアランスは十分に確保される。
純正ステップのまま
正/逆チェンジが可能
左ステップの、シフトリンケージの取り回しが横配置から縦配置に変更され、ペダルも同軸式からシーソー式に変わった。また、ロッドとシフトペダルの取り付け位置を入れ替えることで、正/逆チェンジの切り替えが可能になった。
DDC : Dynamic Dumping Control
最先端の足周り:アクティブサスペンション
S1000RRの現行モデルで、最も大きなトピックと言えるのが、電子制御式アクティブサスペンションDDCの採用だ。DDCはDynamic Damping Controlの頭文字をとったもの。名前が示す通り、サスペンションのダンパーの効き具合を、走行状態に合わせて動的に変化させるメカニズムだ。スプリングのプリロードは固定で、サスペンションの伸縮も能動的ではなく外的要因により受動的に作動するので、自動車工学的にはセミアクティブサスペンションに分類される。
DDCは車体各部のセンサーから得られる、車速、スロットル開度、スロットル開閉スピード、前後輪の回転速度の差異、車体姿勢、サスペンションのストローク量などの情報を元に、ECUが最適なダンパー特性を決定。ダンピング調整は1000分の1秒単位で行われている。DDCが目的とするのは”車体姿勢を一定に保つ”こと。電子制御式アクティブサスペンションでも、安全性を最優先するBMWのポリシーは変わらないのだ。
DDCの頭脳ECUも 最新スペックを搭載
DDCのプログラムはECUに内蔵されている。DDCが初採用されたHP4からECUをバージョンアップし、CANバスのプロトコルを最適化。センサーで得た膨大な情報の高速処理が可能になり、より緻密な制御を実現しているのだ。
電子制御ダンパーの
処理速度は超高速
ダンパーオイル経路に設けられた電磁バルブで流量を規制、ダンピング特性を調整する。リアショックのシリンダー脇の金属製シャフトがストロークセンサー。プリロード調整は手動で行う。ダンピングの設定は電子制御なので、すべてハンドルスイッチで行う。
左右で役割が異なる
フロントフォーク
左側のフロントフォークにのみ、電子制御式ダンパーを装備する。右側はダンパー機構を持たず、スプリングだけを内蔵。電子制御式ダンパーは、リアショックと同様にオイルの流量を規制することで減衰力の調整を行っている。
フォークトップは
多機能なのにシンプル
フロントフォークで、手動で調整可能な部分はプリロードだけ。それも右側のフォークにしかない。ダンピングの設定は、完全に電子式なので、ダンパーを内蔵する左側フォークのトップキャップにはハーネスが繋がっているだけだ。
パーツを追加すれば
システムアップも可能
出荷状態では、フロントのダンパー調整は、伸側/圧側を一括で調整する。2D社のフロントフォーク用ストロークセンサーキットを使用することで、伸側/圧側の減衰力を個別調整が可能になる。
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