第5回 交通違反の取り締まり
- 掲載日/2013年01月25日【はじめてのヨーロッパツーリング】
- 取材協力/オズ・インターナショナル、オーストリア航空 写真・文/佐川 健太郎
※ 2012年12月15日発行『BMW BIKES』Vol.61 P.74 「ヨーロッパ=ロングラン 使ってみてわかった R1200GS ホントの実力」にて、佐川健太郎さんによるヨーロッパツーリングの模様がレポートされています。
街の入口には必ず
オービスがある
今回は、ヨーロッパでの交通違反の取り締まりの話です。私自身、欧州ではまだ取り締まりを受けたことはありませんが、以前のツアーでの経験者に聞くところでは、やはり日本人は「速度違反」が多いようです。ありがちなのは、オービスで引っかかること。ドイツやオーストリアでは一般道でも制限速度が 100km/h 程度に設定されている場所も多く、実際みんなそれぐらいの速度で走っています。ただ、市街地に近づくと 50km/h に規制されている場合がほとんど。必ず標識が立っているはずですが、素晴らしい景色や美しいご婦人に見とれたりして、思わず看板を見逃してしまうことも。
だいたい速度標識の近くにオービスが設置されているので要注意。私が見たものは赤い色をしたけっこう大きな箱型の装置で、はじめは郵便ポストかと思ったのですがよく見るとカメラらしきものが見えます。「バイクなら正面から写されても大丈夫」と思ったら大間違いで、信号機などの構造物にカメラがセットされていて、前後からバッチリ撮られてしまうそうです。中には標識とスピードガンが一緒になっていて、そこを通り過ぎようとするクルマの速度を表示してくれる“親切”な装置もあったりして、これは抑止効果が期待できるなかなかのアイディアだと感心しました。現地のクルマやバイクはオービスの場所も良く知っていて、標識の前でそれこそ「フルブレーキング」するので、油断していると追突しそうになりますが、それがヨーロッパ流なので、郷に入れば郷に従うしかありません。
どこまでも続くストレート。「ここで出さなきゃどこで出す」と思わずにいられない環境がヨーロッパにはいくらでもある。でも、そんなときほどご注意を。
郊外に行くと警察による「ネズミ捕り」もやっています。日本と同じで、私が見たのは気持ちよくスピードが出せそうな道路脇のバス亭や、ドライブインのように違反車両を誘導できる場所でスピードガンを構えているオフィサーの姿でした。アメリカのフリーウェイのように、そこかしこにパトカーが張り込んでいて、スピード違反したらすぐに追いかけてくるようなことはありませんが、注意するに越したことはありません。速度標識は日本と違って場所によって頻繁に切り替わることが多く、いつの間にか速度超過になっていることがあるので注意しましょう。
右側追い越しは厳禁
都市部では駐禁に注意
ドイツなどでは「追い越し」ルールも厳格なようです。郊外の道路を走っていると赤と黒のクルマが2台並んだ標識をよく見かけますが、これは追い越し禁止の意味。追い越し可能な場所でも必ず左側 (右側通行なので日本と逆) からがルールで、右側からの追い越しは厳禁です。都市部では「駐車違反」もけっこう厳しく取り締まりをしています。バイクも容赦ないようで、ヒトラーの山荘があったことで知られる観光地ベルヒテスガーデンでもバイクを駐車させるのに一苦労でした。結局、駐車場に空きがなく広い路肩に停めたのですが、一緒にいた現地ガイドによると、「油断するとすぐに切符を切られる」そうで、彼はレストランでもずっとバイクのほうを向いたまま食べていました (笑)。
では、違反切符を切られたらどうなるのかというと、これも聞いた話ですが、日本まで書類が追いかけてくるそうです。罰金の支払いを無視すると、次のときに入国できなくなるなどのツケが回ってくるらしいので気を付けましょう!
モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌やWEB等で活躍中。本サイトではニューモデル試乗やライディングテクニック講座【スマテクで乗りこなそう!】で講師を担当。公道で役立つ実践的な安全運転スキルからサーキット走行まで造詣が深く、ライテク関連の記事や映像も数多く手掛ける。『MOTOCOM』編集長。『ライディングアカデミー東京』校長。MFJ公認インストラクター。
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