第4回 ヘッドライト講座
- 掲載日/2008年06月19日【BMWカスタムパーツガイド】
- 取材協力/Motorrad SHONAN Craft コラムニスト/滝本 幸一
安全にも寄与する
ヘッドライトカスタム
夜間は暗い道を明るく照らし、昼間は自分の存在を周りにアピールして安全を確保してくれる重要な存在、ヘッドライト。このヘッドライトが「もう少し明るかったらなぁ」と思ったことはありませんか? そんな悩みを解決するために、今月はオートバイの目、ヘッドライトを考えてみましょう。
カスタムパーツを知る
BMWの場合は
バルブ交換が主流
さて、BMWのヘッドライトはどんなカスタムが可能なのでしょうか? 現状ではヘッドライトをアッセンブリで(ユニットごと)交換する方法と、バルブのみを交換する2つの方法が考えられます。まず、ヘッドライトをアッセンブリで交換するには車種に適合したライトユニットが必要です。また、純正ヘッドライトのケースをだけを利用してマルチリフレクタータイプのユニットに入れ替えるグレードアップ方法もあります。しかし、残念なことにBMWの場合は国内で簡単に入手できるアッセンブリ交換用のヘッドライトがありません。また、最新のBMWは標準でマルチリフレクタータイプのヘッドライトが採用されているので、基本的にカスタムする必要がありません。このような理由から、BMWのヘッドライトカスタムは必然的にバルブを交換する方法が主流となります。
では、バルブを交換して明るさと色を変えるカスタムを考えてみましょう。まずは明るさについて。ヘッドライトは冒頭でも書いたように安全確保に重要な役割を担っているので、当然スタンダードよりも明るくなる方向でカスタムを検討します。現在、オートバイ用として照度を上げるのに用いられる一般的なバルブは「高効率ハロゲンバルブ」と「HID」の2種類があります。
「高効率ハロゲンバルブ」とはガラスの球体に封入するハロゲンガスとバランスガスの割合を変化させたり、細めのフィラメントを利用して発熱温度を上げたりして、通常のハロゲンバルブより強く発光させるものです。この種のバルブは確かに明るくはなるのですが、標準装着バルブよりもフィラメントに負担がかかるので、比較的寿命が短いというのが難点です。この点については、一部対策を施したバルブも出始めていますが、高効率ハロゲンバルブが抱えるもうひとつの問題点として、高温になるため樹脂製レンズが変形してしまう場合があることがあげられます。特に最近のBMWが採用しているヘッドライトのレンズは熱に弱いため、使用に関しては十分注意が必要です。
高価だがメリットが多いHID
色や明るさで選びましょう
さて、もうひとつの方法である「HID」ですが、最近良く耳にする言葉だと思いませんか? HIDとはHigh Intensity Discharge Lamp(高輝度放電管)の略で、高圧ナトリウムランプ、メタルハイライドランプ、水銀ランプの総称です。ハロゲンランプがフィラメントに電気を流し発光するのに対して、HIDはバルブのなかにキセノンガスを入れ、放電現象を起すことで発光します。「キセノンランプ」とも言われるのはそのためで、発光の仕組みは蛍光灯によく似ています。
このHIDが最近良く使われるようになったのには訳があるのです。それは
【1】ハロゲンランプよりも明るい
【2】ハロゲンランプの1/2~1/3の消費電力で同等の輝度が得られる
【3】フィラメントが無いので寿命がハロゲンランプの約4倍
【4】放電により発光するので、発熱が低くレンズや反射鏡を傷めない
と言うようにメリットが多いからなのです。ただ、これだけ素晴らしいHIDでもデメリットもあります。それは価格が高いこと。一般的な高効率ハロゲンバルブの価格が2,000円~3,000円なのに対して、HIDは30,000円以上。バルブだけでなくインバーターやイグナイターなど、専用パーツの取り付けスペースも必要となります。また、点灯のために放電を開始す瞬間には大きな電圧を扱います。装着には十分注意して丁寧な作業を心がけてください。
さて、みなさんもご覧になったことがあると思いますが、HIDの明るさの表示で「〇〇ケルビン」「〇〇ルーメン」とか難しい言葉が出てきます。この言葉を簡単に説明すると、ケルビンとは明るさではなく色温度のことです。色温度が低いと赤みがかったオレンジ色で温かみがある光となり、色温度が高くなると太陽光のように白っぽい光となります。さらに高くなると青みががった光となります。すなわち3000ケルビンはオレンジ色に近く6000ケルビンは青白い色にになりますが、3000ケルビンより6000ケルビンが明るいわけではありません。一方、ルーメンは光の量を表す単位で、この数字が大きいほど明るいと言えます。これらの単位の意味を理解していると、自分に合った商品選ぶことができると思います。
カスタムパーツを見つける
2輪専用製品で日本製
これなら品質に問題なし
HIDは各メーカーからいろいろな種類が出ています。その中での私なりの商品選択基準は、1つ目が2輪車専用設計であること。2輪車はご存知の通り振動も激しく、電子部品にとって厳しい条件といえます。トラブルを未然に防ぐためにも、必ず2輪車用を選んでください。2つ目は日本製であること。数多くのHIDを取り付けた経験がありますが、やはり日本製品の信頼性は高いと言えます。この2点に合致すれば品質にまず問題はありません。重要なのは決して値段だけで選ばない、ということです。
HIDは太陽光に近い白い光を発します。これにより夜間の視認性が大幅にアップし、はっきりと路面状況が確認できますので、安心して夜間走行ができるようになります。また、ハロゲンでは見え難い雨で濡れた路面も、HIDの豊富な光量で正確に状況を把握することが可能です。さらに、消費電力が少ないので、常時点灯式の車両ではバッテリーの負担が軽減されます。メリットもデメリットもありますが、オートバイの安全を考えるなら、やはりHIDがオススメです。昼間の視認性も良く、夜間走行の不安を軽減するHIDはヘッドライトカスタムの定番となりつつありますが、将来的には全ての車両に標準装備となるのではないでしょうか。
SOLAM HID
アブソリュートHID
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