【海外試乗速報】R1200R(2015)メディア向け発表会
- 掲載日/2015年01月09日【トピックス】
- 取材協力/BMW Motorrad Japan 文/鈴木 大五郎 写真/BMW Motorrad、鈴木 大五郎
スペイン南東部の地中海に面した都市、アリカンテ周辺が今回の発表試乗会の会場。この周辺はスペインの中でも特に暖かく、冬場に開催される試乗会は、このあたりからジブラルタル海峡に向けての海沿いで行なわれることが多く、サーキットも多い。
これぞロードスターの走り!
水冷エンジンを搭載し、R 1200 R が復活
BMW Motorrad 伝統のボクサーツインエンジンを搭載したロードスター、R 1200 R がフルモデルチェンジ。スペインはアリカンテにて発表試乗会が行なわれました。ニューモデルのトピックは、まず水冷エンジンの搭載。これは2年前(2013年)に R 1200 GS に搭載されたものが初出でしたが、昨年(2014年)フルモデルチェンジを行なった R 1200 GS アドベンチャーにはその改良型が搭載され、現在では R 1200 GS にもこのエンジンが搭載されています。水冷のボクサーエンジンは、これ一本に統一。今回のロードスターにも搭載されました。
また、もうひとつの大きなトピックが、こちらも長年 BMW の多くのモデルが採用してきたテレレバーを廃止し、一般的なテレスコピックフォークを採用してきたことです。これによってスポーティーでスタイリッシュなスタイリングを得ることに成功しただけでなく、走りもよりコントロールする楽しさにあふれるものとなりました。さらに BMW のお家芸でもあるさまざまな電子制御も一段と進化を遂げ、スムーズでナチュラルなフィーリングとなっています。
フォトTOPICS(写真点数/23枚)
01走り出せば、その走行性能の違いも大きいことがわかるが、とにかくスタイリッシュになったというのが第一印象。これはテレレバーが廃止されたことが大きいようで、デザインの制約が少なくなったこともデザイナーを喜ばせたようだ。
02試乗日の朝には、ホテルの玄関前にずらりとマシンが勢ぞろい。真っ暗なので、まるで夜に見えるが、実は朝の7時過ぎ。この時期(試乗会は12月)のスペインは、8時を過ぎないと明るくなってこない。
03今回の発表試乗会の会場には歴代のロードスターモデルが展示。BMW Motorrad のフラットツインエンジンとマシンの歴史を垣間見ることができた。
04技術説明会はお酒を片手に、終始リラックスしたムードで行なわれるのが常。日本で行なわれる長い技術説明会に比べると、驚くほどシンプルな説明。通常では、解説は英語で行なわれるが、今回はドイツ語で行なわれたため、各国用に同時通訳者がついた。
05水冷エンジンの搭載、テレスコピックフォークの採用が大きなトピックであるが、セミアクティブサスペンションやトラクションコントロールをはじめとしたさまざまな電子制御の装備も充実。また、シフト・アシスタント Pro により、ギアの変速がクラッチなしで可能となった。
06コンセプトロードスターが発表された時点(2014年4月)で、すでに量産モデルも完成していたとのこと。あのままで出してほしいという要望も多かったようだが、さまざまな使用状況を考えた場合のメーカーからの回答が市販モデルでもある。しかし、主要部品は同じなのだから、このようなカスタムは不可能ではない。
07技術説明の後には和やかなディナータイム。ここから数時間かけてフルコースの料理を楽しむのがヨーロッパ流。しかし、長時間のフライトやら時差やらで、アジアチームはフラフラで厳しい時間帯でもあります……。
0830人ほどのジャーナリストが5人程度でグループを作って走行。それぞれに先導ライダーがついての道案内。さすが BMW、他のメーカーに比べてライディングもジェントルであった。日本はオーストラリア、韓国、南アフリカチームと同グループだった。
09シートは4種類をラインナップ。スタンダードが 790mm で、760mm のローシート、820mm のハイシート。ヨーロッパでは、購入時にこれら3種類から好みのシートを選択できるほか、オプションで 840mm のスポーツシートもラインナップ。
10アリカンテは海沿いのリゾート地ではあるが、晴天に恵まれた試乗会では、海沿いの道は走らず、タイトでテクニカルなワインディングロードをメインに走行。雨天だったグループもあったらしく、その場合は海沿いをメインに走ったのだそう。
11ランチタイムにいきなり登場したコンセプトロードスター。フレーム、エンジンなどの主要部分のみならず、多くのパーツが市販モデルの R 1200 R と共通。実現不可能なショーモデルではなく、R nineT のようなカスタムシーンも期待できる。
12どこからでもついてくるエンジンのパワフルさも特徴だが、それが唐突ではなく、優しくオブラートに包まれているようにコントロール性が良い。もちろんラフな操作ではスライドを誘発するのだが、トラクションコントロール等、電子制御の介入具合とスムーズさも素晴しい。
13ハンドリングの自由度、軽快さが従来モデルとの大きな違いで、スポーティーさが増した。また、テレスコピックフォークの採用により、バンクさせるタイミングが取りやすくなり、フロントまわりの接地感や状況を把握しやすくなった。
14見た目はエンジンの存在感のためか大柄に見えるが、跨ってみればシートからタンクにかけてはうまくシェイプされ、フィット具合は良好。長時間の走行でも疲れにくい、無理のないライディングポジションをつくることが可能。
15スタンダードの 790mm のシート高でも足つき性は良好な部類。エンジンが低重心で、ぐらつきにくく、安心感は高い。760mm のローシートを選べばより安心だが、走り出しての快適性や操作性はハイシートに軍配が上がる。
16あらゆる走行状況において、快適で安全という BMW らしいポリシーはぶれることなく、運動性や操っての楽しさなど、バイク本来の魅力が高まった。BMW オーナーやベテランライダーはもちろん、若いライダーにも訴えかける意欲作だ。
17ガソリンタンク後端からシートにかけてぎゅっと絞り込まれ、抜群のフィット具合を誇る。フロントにボリュームを持たせ、リアを短く見せるというストリートファイタースタイルを上手に取り入れながら、過激になり過ぎない BMW らしさが印象的。
18スタンダードのシート高は 790mm。その他オプションで3種類のシートが選べるが、比較的足つき良好のスタンダードであっても座り心地は悪くなく、長時間の走行でも快適性は確保されていた。また、パッセンジャー用のコンフォートシートもラインナップされるのはさすが。
19一般的には水冷エンジンと称されているが、熱的に厳しい部分のみを水冷とする、半水冷方式を採用。125PS を 7,750rpm で発揮し、レイン、ロード、ダイナミックに加え、好みの設定を組み合わせることが可能となるユーザーモードも選択可能となった。
202in1とされたエギゾーストからは重厚かつ鼓動感のあるフラットツインらしいサウンドが楽しめる。スタイリッシュにややアップ目にデザインされたサイレンサーは、従来モデルが左出しだったのに対し、右出しに取り回しが変更された。
21BMW 独自のテレレバーから一般的なテレスコピックフォークに変更となったが、この方式ももともとは BMW が考案したもの。ダイナミック ESA によるセミアクティブサスペンションが状況に応じた的確な減衰力調整をしてくれる。アウターチューブがシルバーの機械式サスペンション仕様もラインナップされる(日本導入は未定)。
22リアまわりは BMW 独自のパラレバーシステムを継続採用。しかしエンジン変更により、片持ちスイングアームは反対側に位置する。ホイールは S 1000 RR とイメージを共通とする軽量 10 本スポークタイプ。OEM タイヤはメッツラー、またはコンチネンタルとなる。
23メーターはコンパクトながら、非常に多機能。スピードメーターはアナログだが、デジタル表示も可能。タコメーターは液晶のバーグラフで表示されるが、こちらもデジタル表示できる。さまざまな表示は左スイッチボックスのボタンで変更&選択する。
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