VIRGIN BMW | BMW Motorrad F900R(2020)/ ワインディングがめちゃ楽しい新世代ロードスター試乗インプレ 試乗インプレ

BMW Motorrad F900R(2020)/ ワインディングがめちゃ楽しい新世代ロードスター試乗インプレ

  • 掲載日/2020年03月03日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad  取材・文/佐川 健太郎 写真/BMW Motorrad

BMW Motorrad F900R(2020)/ ワインディングがめちゃ楽しい新世代ロードスター、新型「F900R」海外試乗インプレの画像

BMW F900R(2020)

F850GSベースのエンジンと車体をさらに強化

BMWのFシリーズ最新モデルの海外試乗会が開催された。スペインのワインディングでその実力を検証してきたのでレポートしよう。今回新たに投入されたのはロードスターのF900R、アドベンチャースポーツのF900XRの2モデル。ここでは「R」について解説したい。

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新型のトピックは大きく3つ。まずエンジンが新設計になったこと。水冷並列2気筒のレイアウトは従来どおりだが、新型では不等間隔爆発の270度クランクの採用により鼓動感が強調されたF850GS用をベースに、エンジンのボアを2mm広げて従来の853ccから895ccへと排気量をアップ。鍛造ピストンの採用などにより最高出力も95psから105psへと向上させた。ちなみに先代F800Rは360度クランクで排気量798ccから最高出力90psだったことを考えると、エンジン単体で見ても大きな進化を遂げている。

フレームも新設計となり、F850GSで初採用されたスチール製ブリッジフレームがF900シリーズにも移植された。これは成型された鋼板を中空構造に溶接したもので、エンジンブロックを剛性メンバーの一部として利用することで強靭で軽量なシャーシに仕上げている。参考までに先代F800Rのフレームはアルミ製でスイングアームピボットをエンジン後端部に設けるなど、フレームの材質も構造もまったく異なっていた。

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電子制御もさらに進化した。ABSとASC(トラクションコントロール)に「レイン」「ロード」の2つのライディング・モードを標準装備。さらにスタンダード以上のグレードにはライディング・モード・プロとして、「ダイナミック」「ダイナミック・プロ」の2つのモードを追加装備するとともに、ABSプロ&DTC(コーナリング対応のABSとトラクションコントロール)の他、車両の安定性を高めるアンチ・ホッピング・クラッチ(スリッパ―クラッチ)や急激なシフトダウンによる後輪スリップを低減するMSR(エンジンブレーキコントロール)、バンク角に応じてコーナーの先を照らすアダプティブ・ヘッドライトなどの安全装備も充実。

また、キーレス・ライドや6.5インチTFTディスプレイ、2輪初となる軽量プラスチック溶接式フューエルタンクなどの最新技術がふんだんに盛り込まれている。

BMW F900R(2020) 特徴

性能だけでなく味わいを語れるFシリーズになった

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前述のとおり新型のベースはF850GSに移行しているため、先代F800Rとはまったく別モノのマシンに仕上がっている。たとえばエンジンのフィーリングにしても、先代の360度クランクによる規則正しい鼓動とは打って変わり、新型の270度クランクは弾ける排気音とともに骨太な鼓動感が楽しめるようになった。

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F800R比で15ps上乗せされたパワーによる加速力の違いは歴然だが、何よりもメリハリのあるトラクションが路面をしっかり掴んでくれる手応えがあり、コーナー立ち上りでスロットルを開けたときにググッと接地感が増す感じが気持ちいい。それでいて、2つのカウンターバランサーを内蔵しているため振動はほぼ気にならないレベルだ。

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荒れたアスファルト路面でもABSやASC、MSRなどの電子制御が総動員してライダーをサポートしてくれる安心感は絶大で、もちろんムチャはできないが知らず知らずペースは上がってしまう。BMWフリークの間ではフラットツインこそがBMWという先入観を持たれがちだが、新世代のパラレルツインもなかなかのもの。性能だけでなく“味わい”を語れるまでにFシリーズも成長したと思う。

BMW F900R(2020) 試乗インプレッション

走りは別モノ、乗り味そのものがアグレッシブだ

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試乗コースになったスペインのワインディングは起伏に富んだ大小様々なコーナーが連なっている。こうしたトリッキーな道がF900Rは得意だ。F850GS由来のブリッジフレームは乗り味がしなやかで、軽量コンパクトな車体を生かしてフットワークも軽く、思い通りのラインを描いていける。ディメンション的にも従来モデルに比べてスイングアーム長が伸びて路面追従性が向上するとともに、フロント荷重が増したことでターンインでの旋回力も明らかに向上している。

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また、軽量プラスチックタンクや低い位置にコンパクト化された新型エキゾーストシステムによるマス集中の恩恵も大きいはず。シート形状もフラットかつ前後の自由度が増したことで、より積極的に乗りこなせるようになった。従来のF800Rは燃料タンクがシート下にある独特の作りでサイレンサーの位置も高く、着座位置もやや後方寄りに座ってリアステア的に曲がっていく印象があるが、今度の新型は倒し込むと同時にフロントから曲がっていく現代風のハンドリングになった。運動性能を狙ってか、シート高こそ815mmとやや高くなったが並列2気筒ならではの車体のスリムさも手伝って、足着きも良好だ。重量バランスが良くなったことで取り回しも軽くなったと思う。

進化した電制が走りを最適化してくれる

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プレミアムラインに装備される「ダイナミックESA」も極めて実用的だ。モードを切り替えるだけで自動的にセッティングを最適化してくれる優れモノで、たとえばツーリング向きに乗り心地を柔らかくしたり、スポーツ走行向きにダンパーを強めたり、二人乗り用にプリロードをかけたりといった複雑な設定をボタンひとつで解決してくれる。今までは手を真っ黒にして工具と格闘していたことがウソのよう。節度のある作動感でクラッチ操作無しにシフトアップ&ダウンをこなしてくれるシフトアシスト・プロも含め本当に便利だと思った。今までそれが普通のこととして何の疑いもなくやってきたことが、新たなテクノロジーによって過去のものになっていくことを実感する。

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これ以外にもライディング・モードと連動してABSプロやDTC、MSRなどの設定を最適化してくれたり、その他の細かい設定も6.5インチ大画面フルカラーティスプレイを見ながら手元のスイッチとジョグダイヤルで直感的に操作できてしまうなど、もはや電制レベルもRシリーズやSシリーズ並みと言っていいかもしれない。

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国内投入されるF900Rには「ベース」、「スタンダード」、「プレミアムライン」の3グレードが用意され、それぞれで装備される機能が異なっているが、驚いたのは105万円台(ベース)からという破格のプライス。ただ、フル装備の魅力を一度でも知ってしまうと、それ以外に考えられなくなるのが悩ましい。

FシリーズはBMWの中では入門モデル的な位置付けだったが、新型は扱いやすさはそのままに走りの性能と装備を上級クラスに匹敵するレベルまで引き上げた。加えてこのコストパフォーマンスとくれば、触手が動く人も多いはずだ。

BMW F900R(2020) 詳細写真

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2018年登場のF850GSに搭載された水冷並列2気筒853ccエンジンをベースにボアを2mm拡大して895ccとし、最高出力も10psアップの105psに。ピストンも鋳造から鍛造に強化され、90度オフセットクランク(通称270度クランク)を組み合わせることで鼓動感を強調。2軸バランサーにより振動も低減。

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コンパクトなアンダーボディ排気システムを採用。ステンレス製で軽量化とともにマス集中化を図ることでスポーツ性能を向上。Vツイン的な迫力あるサウンドも魅力だ。

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フロントはアジャスト機能無しの倒立フォークに4Pラジアルブレーキキャリパー&φ320mmダブルディスクの組み合わせ。「スタンダードライン」以上にはコーナリング対応のABSプロが標準装備される。

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「プレミアムライン」にはリア側に電子制御サスペンション「ダイナミックESA」を搭載。ライディング・モードと連動して減衰力とプリロードを最適化するだけでなく任意設定でパーソナライズも可能。

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フルLEDヘッドライトはコンパクトだがとても明るい。イグニッションオンで写真のポジションライト&DRLが点灯。その上がロービームで下のハイビームの両側にコーナーの先を照射するアダプティブ・コーナリングライトを装備する。

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シート座面が前後に広くなりライディングポジションの自由度がアップ。標準は815mmだが、オプションで770 mmから865 mmまで6段階のシート高を選ぶことができる。日本仕様はローシート&ローダウンサスが標準設定になるかも。

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スチール製ブリッジフレームを両サイドから挟み込む形のアルミプレートにスイングアームピボットを設置した強靭な構造。シフトリンケージの間に装備されたシフトアシスト・プロ(いわゆるクイックシフター)のユニットが見える。

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S1000RRイメージの6.5インチ大画面のTFTフルカラーディスプレイを搭載。写真の標準画面の他、スポーツ走行向け画面への切り換えも可能。スマホとの連動により通話や音楽も楽しめる他、専用アプリによるナビシステムも搭載。

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左グリップに装備されたダイヤル式のマルチコントローラーにより、TFT画面を簡単に素早く操作することが可能。他にもクルーズコントロールやダイナミックESAなどのスイッチ類が並ぶ。

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キーレス・システムを標準装備。スマートキーを身に付けていればボタンを押すだけでイグニッションスイッチのON・OFFやハンドルロック、フューエルキャップの開閉が可能。作動範囲は約1m以内だ。

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