我がハチマルの
トラブルショートインプレ
納車から2ヶ月が過ぎ、我がハチマルにもかなり慣れてきました。ロングツーリングにも何度か出かけましたが、ポジションに慣れてきたせいか、変なところに痛みが走ることもありません。だんだんと体がBMWに適応してきたということでしょうか。10,000km、20,000kmと距離を重ねた頃にはどれだけBMWを我が物にできるようになっているのか…今から楽しみです。BMWビギナーの私ですが、周りには経験豊富なBMWエキスパートの方がたくさんいるので、早く我が物にしないとたくさんの師匠から怒られてしまいますね。とりあえずは、次の『バイカーズミーティング』に行くため、久々に長距離(下道ですけど)を走るので、今から楽しみ。
さて、10万キロを越えるハチマルを購入し、はや2ヶ月も経ちましたので、これまでに起こったトラブルについて報告しておきましょう。これから、BMWの中古車を購入する方の参考になれば幸いです。まず、よく巷で聞くエンジンオイルの減りについて。若干減ってはいるものの、気になるほどではありません。これは「モトラッド神戸」の葛原メカに、きっちりと整備をやっていただいたおかげでしょう。ラバーやシール類は、全部変えてもらいましたからね。他はと言うと…「イグニッションパルスセンサー」という点火タイミングを計っている部品のトラブルくらいでしょうか。熱を持つと点火タイミングがおかしくなり、走行中にエンジンが停まってしまう事件がありましたが、部品交換すればアッサリと直りました。トラブルなんてそれくらいです。ただ、少し心配なのは「オルタネーターの発電量」。現行車種とは違い、我がハチマルにはボッシュ製の発電量の小さいオルタネーターがついています。私は街乗りを中心に乗っており、それほど回転を上げないのでバッテリー上がりが心配です。納車時にグリップヒーターを付けてしまったので、冬にバッテリー上がりが起こらないか、今から不安です。今のところは大丈夫ですから、冬までゆっくりとどうするのか考えておきましょう。
圧倒的に違う性能差
ブレーキの仕様比較スタート
さて、今回は新旧モデルの「ブレーキ」を比較いたしましょう。 まずは簡単にそれぞれのブレーキ仕様をご紹介しましょう。
項目 | R1200ST | R80 |
---|---|---|
Fブレーキ | EVOブレーキシステム ダブルディスク(320mm径) | ダブルディスク(285mm径) |
ABS | インテグラルABS (パーシャリィインテグラル) | 無し |
その他 | 電子サーボアシスト機能あり | 無し |
Rブレーキ | シングルディスク(265mm径) | ドラムブレーキ |
ABSに電子サーボアシスト、しかもディスク径が大きいとなれば、ブレーキ性能の比較をするまでもなく、R1200STの方が制動力、安全性において上なのはわかりますね。表だけではわかりにくいでしょうから、簡単に機構の説明からしましょう。現在のインテグラルABSは、長い歴史を誇るBMWのABSの歴史の中では3世代目になります。その役割とは急制動時にブレーキがロックし、車両が制御不能になるのを防ぐ機構です。タイヤがロックしそうになるのをABSが感知すると、ブレーキにかかっている力を自動的緩め危険を回避してくれるシステムですね。
最近は他メーカーもABSを採用しはじめていますが、BMWのABSはまだまだ機能が盛りだくさんです。前後どちらか片方のブレーキ操作を行えば、前後とものブレーキが作動する“フルインテグラルABS”や、今回お借りしたR1200STのように、フロントのブレーキレバーを握れば前後ブレーキが作動し、ブレーキペダルを踏んだ場合はリアブレーキしか作動しない、スポーツ向きの“パーシャリィインテグラルABS”などの機能もあります。また、乗り手のブレーキレバーを握る力を軽減するため、ブレーキレバー・ペダルともに入力された力を油圧ポンプによって増幅し、ブレーキに伝える“電子サーボアシスト”機能も装備しています。
電子サーボからABSまでを体感
至れり尽くせりのブレーキ機能
今回のR80 vs R1200STのブレーキ比較は、他メーカーの車両から現行のBMWに乗り換える方にも参考になるでしょう。ハチマルのリアブレーキはドラムで、現代では一般的とまでは言えませんが、フロントのダブルディスクは一般のバイクに採用されている仕様ですから。BMWの車両購入の際の参考にはなるでしょう。さて、いよいよ実走でのインプレを行いますが、まずに一言。今回のインプレで現行車のブレーキ性能に驚いたのは確かですけれど、それは「ハチマルのブレーキが貧弱」ということではありません。通常走行で制動力に不満を感じたことはなく、ヒヤっとするようなトラブルに遭ったこともありませんので。
モトラッド神戸でR1200STをお借りし、下道を流してみます。STOP&GOが多い道でブレーキを多用してみましょう。信号で捕まり、ブレーキレバーをギュッと握ると、想像以上にブレーキが利きます。“利きすぎて”怖いと思うくらいです。ハチマルのブレーキはレバーを握り、力を強めていくと“じわりじわり”とブレーキがかかり始めますが、R1200STは弱い力でレバーを握ると、強い力でブレーキが利き、すぐに車両が停まってくれます。今回の話題とはずれてしまいますが、これだけ力のあるブレーキだからテレレバーがあるんだな、と感じさせてくれる車両の動きにもビックリ。強いブレーキがかかると思わず体が力んでしまいそうになりますが、そんな力みは必要もなくアッサリと停車してくれました。ハチマルのブレーキは“雑巾を絞るような”感じですけれど、R1200STの方は“ボタンを押しているかのような”素早い反応を見せてくれます。少し走って慣れれば、この強力な制動力は確かに有り難いでしょうね。いざというときに身を守ってくれそうです。
ただ、少し気になるのが「電子サーボアシスト」の電子音。ブレーキをかけると少し電子音が気になります。電子サーボアシストのユニットは前後別々に取り付けられていて、フロントレバーを握った方が音は大きく聞こえます。ブレーキペダルを踏んだときの音は気になるほどではありませんね。この電子音が力強い制動力を生み出してくれているんだ、と思うと文句は言えませんけれど。う~ん、ハチマルが勝利できるところは無さそうです。ただ、いろんなディーラーさんの人と話したところ、電子サーボ機能付きの車両はコントロール側のブレーキフルードが汚れやすいとか…少しだけ溜飲を下げることができました(笑)。
最後に「ABSの効果」ですが、今までわざとタイヤをロックさせたことなど一度もない私。「思いっきり握れ」と言われても、体が拒否反応を示します(笑)。お借りしているのは試乗車ですしね。そこで少しずつ、ブレーキを握る力を強めながら、コケない程度に「走行→停止」を繰り返してみます。握る強さを強めて行くと…確かにタイヤが滑ったり、車体が振られたりすることはありません。…が「作動するまでやってみろ」は無理! 突然のトラブル時のパニックブレーキや、土砂降りの雨の日など道路状況が悪いときの急制動では役立つでしょうけれど、こればっかりはトラブルに遭ってみないと真価はわかりません。ただ、ABSがあれば“いざというときの保険”として安心感は間違いなく得られるでしょうね。
高速道路で尋常じゃないスピードが出せるBMW。空(油)冷のR1200STで110psものパワーを持っています。ハチマルの2倍以上のパワーを持つ車両を制動させるんですから、このくらいのブレーキ性能は必要なのでしょう。どんな速度域で走っていても安心して停められる、これは他のどのバイクをも凌駕するBMWならではの特徴と言えましょう。我がハチマルのブレーキとは…比べモノになりません。ただ、少しだけ嬉しかったのは、ブレーキパッドはハチマルの方が少し安いみたいです(笑)。
28歳。体重約0.1トン。「ミドルクラスのバイクが好き」と公言してはばからないが本人はヘビー級の体重なのが不思議。今回購入した「R80」以外にもハーレー「XL1200C」とヤマハ「TT250R」を所有し、バイク馬鹿なのは確か。
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