VIRGIN BMW | 第1回 旅立ちの準備 ユーラシア大陸横断

第1回 旅立ちの準備

  • 掲載日/2006年10月07日【ユーラシア大陸横断】
  • コラムニスト/Erik Andreas Jorn

BMWで走る海外ツーリングの画像

暖め続けてきた夢
BMWでユーラシア大陸横断

みなさんはじめまして、エリックと申します。現在「BMW R1200GS」で、ユーラシア大陸を横断中のトラベラーです。縁あって「VIRGIN BMW.com」に私の旅をレポートさせていただくことになりました。

今回の「BMWユーラシア大陸横断の旅」は20代の頃から暖めてきた私の夢です。バックパッカーとしての旅の経験はありますが、バイクで海外を走る旅は初めてで、どんな出会い、トラブルが私を待ち受けているのか。出発前の今では、想像もできません。しかし、不安よりもワクワクした気持ちが先立つのはなぜでしょうか? この旅でいったいどんなことが起こるのか、いいことから悪いことまで包み隠さずお伝えしたいと思いますので、今回の私の旅をリアルに感じていただければ嬉しいです。

いつか自分のバイクで世界を巡りたい!
20代の夢が現実に

BMWで走る海外ツーリングの画像

以前、大学卒業後に1年間アジアを放浪したことがありました。幼い頃から、父親の仕事の関係で世界各地に住み、インターナショナルスクールで国籍がバラバラな友達と出会い、現地のカルチャーにも触れた経験が、私を旅に駆り立てたのかもしれません。見るものすべてが珍しく、バックパッカーとしての旅を満喫していましたが、インドで面白い旅をする旅行者に出会いました。インドには「ロイヤルエンフィールド」というバイクがあります。もともとはイギリス生まれのバイクなのですが、今はインドで生産・販売されています。そのバイクを現地で購入し、ヨーロッパまでバイクで走って行く旅行者に出会ったのです。それまで私は電車やバス、飛行機で街から街へと旅をしていました。しかし、自分でバイクを運転し旅ができるなら、もっと自由に旅をすることができる。「ナイスアイデアだ!」と驚かされました。早速、私もそれを見習うことにして「ロイヤルエンフィールド」をレンタルし、インド中をあちこち旅をしました。都市から都市への移動を自分の意思で行う、移動すら旅として楽しむ、バイクが1台あるだけで、旅はもっと魅力的なものになることをこのときに知りました。20代半ばのこのアジア放浪を機に「いつか自分のバイクで世界を巡ろう」と思うようになったのです。

その後、アメリカに戻り大学院で医学を学びはじめました。慌しい日々の中でしばらくはバイクに乗る機会はありませんでしたが、ふと観光で訪れた日本で私のバイク熱はまた目覚めることになります。「短い観光滞在」のつもりでしたが、日本を知れば知るほどその魅力に夢中になり、気が付くと8年も日本に滞在することになりました。初めは新潟で英語教師をしていたのですが、ここで私は久しぶりにバイクに乗ることになります(残念ながらBMWではありません)。新潟は少し足を延ばせば、能登や長野など美しい自然を見ることができ、日本の美を楽しむのにバイクが大活躍してくれました。その後、東京に出てきてからもいつも手元にはバイクがあり、機会があればバイクに乗って日本中を旅して回りました。もし、私がバイクに乗っていなければ、日本の各地をこれほど知ることはできなかったでしょう。「バイクに乗ればさまざまなチャンスが広がる」。それを思い出し、かつて思い描いた夢を行動に移そうと思えたのは、ここ日本のおかげです。

大陸横断に最適なバイク
BMWこそ最良のパートナー

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ずるずると滞在期間が延び、いつの間にか第2の故郷と言えるほど日本を愛するようになりました。しかし、そもそも私は日本には観光で来たはず、まだ医学を学んでいる途中なのです。このまま日本に住み続けたい、その思いは強かったのですが、日本での快適な生活に区切りをつけ、重い腰を上げるときが来たのです。思い立ったらすぐに行動を移さないと、出発する気持ちが萎えてきそう…。長らく家族にも会っておらず「帰ってこい」という両親の願いも無視するわけには行きません。そこで、再びアメリカに戻り医学を学ぶのではなく、母国スウェーデンにほど近いデンマークの医大に入学し、ドクターの道を目指すことを決めました。今の時代、飛行機に乗れば、デンマークなんてすぐに着いてしまいます。しかし…。

「日本の日々を振り返り、新しい環境に体を慣らす時間が欲しい、ゆっくりと時間をかけてデンマークへと向かいたい」。そんな思いがありました。幸い学校が始まるまで、時間の余裕がたっぷりとありましたから、私の中の悪いムシがまた騒ぎはじめてきます(笑)。「あのプランを、日本からスタートさせようじゃないか!」。こうして日本からデンマークまで、バイクでの大陸横断をすることにしたのです。

この長い旅は「BMW R1200GS」を相棒として走るのですが、実はBMWはこのR1200GSが初めてです。世界を旅するライダーだと、もっと小排気量なオフロードバイクを選ぶ人が多いようですが、私はこのプランを始めると決めたときからR1200GSしか頭にありませんでした。大量に荷物を積み、余裕のあるパワーで走ることができる、信頼性の高いエンジンでトラブルが少ない、この2つの条件を考えるとR1200GSがベストだったのです。デンマークまでの道のりは何万キロもあります。どんなトラブルが待ち受けているのかわかりませんが、この相棒と一緒になら、笑顔でゴールを迎えられそうな気がしてしまうんですよ。

多くの出会いとカルチャーを求めて
18カ国を回るルートに決定

旅の決意をした途端、「どんなルートで走ることにしようか?」なんて、ワクワクしながら考えてしまいます(笑)。周りに相談したり、海外ツーリングの経験者が集まるWebサイトを見にいったり、早速調べはじめました。日本をスタート地点として海外を走るのなら、フェリーでロシアのウラジオストックに渡るルートが一般的なようです。かつてはインドからヨーロッパに入るルートを思い描いていたので、インドをスタート地点にするプランも考えました。しかし、せっかく日本にいるのなら、ロシアに入り西へと走る方が走行距離は長く面白そうです。ウラジオストックから走るルートだと、延々とロシアを走りヨーロッパに入るルート、ロシアからモンゴルに入り中央アジア・トルコを抜けヨーロッパに入るルートの2種類があります。ロシアだけを通るルートでは、旅の行程のほとんどがロシアに費やされてしまう。「できるだけ多くの国を巡り、多くの人に出会い、いろいろなカルチャーに触れたい」そう思っていたのでモンゴルを経由の内陸部を通るルートを選択することに。細かなルートは状況を見て、変更していくかもしれませんが、最大で18ヵ国を巡ることになります。一体どんな出会いがあるのか、今からうれしくなっちゃいます。

ただ、心配なのは走行中のトラブルです。日本にはBMWのディーラーがたくさんあり、どこでトラブルになったとしてもそれほど心配はありません。しかし、この旅で通るルートではトラブル時に近くにBMWディーラーがあることは望めないでしょう。街のバイクショップに診てもらえたら運がいい、そう考えた方が良さそうです。今まで自分でメンテナンスなどあまりやったことがない私ですけれど、工具やパンク修理キットを積載し、多少のメンテナンスはできるように準備します。未舗装の道、舗装が悪い道を走るのは覚悟の上、多少の不安はその場で何とか対処しなければ。この旅が終わったら、今よりもっとたくましい自分になっている気がします。

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プロフィール
Erik Andreas Jorn

35歳。スウェーデン国籍。15歳のときに渡米し、アメリカで医学を学ぶ。大学卒業後に1年間海外を放浪し、その後来日。8年間を日本で過ごした後にR1200GSでのユーラシア大陸横断を企画し、現在は旅の途中。

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