第4回 アウトバーンの走り方
- 掲載日/2013年01月18日【はじめてのヨーロッパツーリング】
- 取材協力/オズ・インターナショナル、オーストリア航空 写真・文/佐川 健太郎
※ 2012年12月15日発行『BMW BIKES』Vol.61 P.74 「ヨーロッパ=ロングラン 使ってみてわかった R1200GS ホントの実力」にて、佐川健太郎さんによるヨーロッパツーリングの模様がレポートされています。
ぶっ飛ばすだけが能ではない
周囲のペースに合わせよう
今回はヨーロッパの高速道路の話です。代表的なものとしては、ドイツのアウトバーンが有名ですよね。アウトバーン=自動車専用道路という意味ですが、機能としては日本の高速道路に当たります。というよりも、世界中の高速道路はアウトバーンをモデルにして設計されていると言われるほど、古くから先進的な発想と技術で作られたようです。
ちなみにアウトバーンの発案者は、あのナチスドイツの党首 ヒトラーだったというのは有名な話。大戦中は滑走路としても利用できるよう、舗装は厚く頑強な作りになっていて、それゆえ現在まで欧州の交通を支える大動脈として使われ続けているとは因果なものです。今やアウトバーンは国境を超えてオーストリアやポーランド、イタリアなどの隣国までつながっていて、ノンストップでヨーロッパ大陸を横断できる大変便利な移動手段となっています。
アウトバーンも最近では速度制限を設けた区間が増えている。都市近郊ではだいたい 80km/h 程度に規制され、交通量も比較的多い。都市部では渋滞も発生する。
前置きが長くなりましたが、アウトバーンといえば気になるのはやはり「速度」でしょう。最高速度無制限を誇るだけあり、流れは日本の高速道路と比べると圧倒的に速いです。右側通行ですから、左のレーンほど流れは速くなります。片側3車線とすると、一番右は 120km/h、真ん中は 140km/h、追い越し車線は 160km/h オーバーといったイメージ。路面がフラットで道幅も広く見通しも良いので、安心してペースを上げられる設計になっていて、日本で言えば「新東名」のような感じかも。
「なんだ、そんなもんか」と思われるかもしれませんが、気をつけなくてはならないのが速度差。空いているからといって、追い越し車線を (160km/h 程度で) 気を抜いて走っているといきなりパッシングされて、ふとバックミラーを見るとベンツのSクラスやポルシェが真後ろにいることがあります。豆粒のような車影が数秒で迫ってくる感覚は、ちょっと未体験ゾーンです。我々日本人からすると危なくて仕方ないようですが、実は彼らのほうが正しい法規走行をしています。そこを認識せずに、なんとなくフラっとレーンチェンジしたりすると本当にキケン。基本は「流れに乗ること」。自分のペースではなく、周囲のペースに合わせることが大事ですね。
イタリアでは高速は有料
支払はカードがおすすめ
「便利なのはいいけど高速料金は?」という心配は御無用。アウトバーンはなんと全線無料! これは本当に素晴らしいことです。日本の道路行政も見習ってほしいものですね、いろいろあると思いますが……。ただ、同じヨーロッパでもイタリアのアウトストラーダ (こらちも「自動車専用道路」の意味) では有料になります。日本と同じようにゲートが分かれていて、テレパス (ETCみたいなもの) かクレジットカード、現金のいずれかで支払うシステムになっていたと思います。料金はモデナからミラノまでの約 150km で 20 ユーロ程度だったかと。当時のレートで日本の高速道路より少し安い印象でした。バイクの場合、支払はクレジットカードが便利と思います。イタリアでは運転がラフなドライバーが多く、アウトストラーダも含めてけっこう車間距離を詰めてくるのでヒヤヒヤします。制限速度はだいたい 130km/h に設定されているようですが、皆けっこう飛ばしています。国民性でしょうか、運転も熱いですね(笑)。
モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌やWEB等で活躍中。本サイトではニューモデル試乗やライディングテクニック講座【スマテクで乗りこなそう!】で講師を担当。公道で役立つ実践的な安全運転スキルからサーキット走行まで造詣が深く、ライテク関連の記事や映像も数多く手掛ける。『MOTOCOM』編集長。『ライディングアカデミー東京』校長。MFJ公認インストラクター。
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