BMWバイク プロに聞く購入ガイド R1200RT(2005-)
- 掲載日/2006年02月10日【トピックス】
- 講師/京都モータークラブ 武田 明也氏
BMW Motorradのフラッグシップ的な位置づけのマシン。2004年にフルモデルチェンジしてのデビューとなった。1200cc、最高出力はなんと110psの新型ボクサーを搭載する。快適な装備を誇りながらも、ショートホイールベース化されたことでシャープなコーナリングが可能。高速もワインディングもお手の物である。
快適なロングだけでなく
走りも楽しみたい欲張りさんへ
ツアラーカテゴリでは世界シェア40%以上というBMW Motorrad。中でもボクサーエンジン搭載のRTは、BMWのフラッグシップ的な1台であり、前代の「R110RT/R1150RT」から多くのRTファンを生み出してきています。2004年の暮れ、イタリアで発表されたこの「R1200RT」は、フルモデルチェンジの名に相応しい性能アップとスタイリング変革で私たちを驚かせたものです。豪華絢爛と言っていいラグジュアリーな装備とRTの存在価値ともいえる快適性はそのままに、新型ボクサーエンジンの溢れるパワーと、軽快になったコーナリング、そして卓越したブレーキ性能は、新しい時代の到来さえも予感させてくれました。
快適なロングツーリングは当然ながら、その車体に似合わないシャープなコーナリング。高速道路はもちろん、ワインディングでもモーターサイクルの醍醐味を存分に味わえる二度美味しいマシンといえるでしょう。快適さだけで言えばK1200LTが控えていますが、走りも楽しみたい…そんな欲張りなライダーには最適のモデルといえます。進化した最新RTをじっくりご紹介いたしましょう。
正常進化した旗艦
パワーと扱いやすさの両立
がらりと変わったボディ・ビジュアル。先鋭的なそのデザインでさえも、RTの変革を改めて感じさせてくれます。充分な積載量を誇るパニアケース、バツグンの風防効果を持つフェアリング&ウインド・スクリーン、110psの新型ボクサーエンジンとその改善には枚挙に暇がありません。
中でも前代R1150RTからの変更点として、コーナリングでの扱いやすさが大幅アップしたことは特筆すべきでしょう。これがツーリングモデルか? というほどのコーナーリングを見せてくれます。爽やかに吹けあがるボクサーエンジンと相まってワインディングを存分に楽しめます。
これは、前代のR1150RTから10kgのシェイプアップがされたこと、ホイールベース(前後ホイールの距離)がスポーツ・ツアラーであるR1200ST以上に短いことが理由です。普通なら、ツアラーは”どっしり感”を盛り込むために、ホイールベースは長くとられがちですね。しかし、BMWは敢えて短くすることで、ロングランだけではなく、ワインディングでの楽しみをも提案してきたのです。
新型ボクサーのパワーを
充分に活かすスペック群
R1200RTは新型ボクサーを搭載し、110psのパワーを手に入れました。R1150RTが、95psだったことを考えると大変な進化です。しかし、単純にパワーだけがアップしたわけではありません。エンジンスペックを充分に、安全に活かすことのできる装備がある…それが、BMWの他と違うところなのです。高速をのんびり走る、コーナーを軽快に曲がる、きっちり停まる。この3点を高いレベルで実現することで、新しいエンジンを、一般のライダーでも心行くまで楽しめるよう工夫されているのです。ここでは、エンジンパワーをサポートするシステムについてご紹介しましょう。
まずは、ブレーキ、サスペンション(テレレバー、パラレバー)についてご説明します。BMWのお家芸とも言えるこのサスペンションは、急ブレーキでも不安が募ることがありません。BMWのテレレバーは、激しい制動時でも、前のめりにならず安定しているからです。一般によく採用されるフロント・サスペンション(テレスコピック)だと、急激な加重移動で前のめりになってしまいますよね。それがないのです。
サスペンションとともに、ライダーに安心を提供してくれるのがブレーキシステム。ABSとインテグラルブレーキ、電子サーボです。ABSはご存知「アンチロック・ブレーキ・システム」で、急ブレーキ時でもタイヤをロックさせないシステムです。インテグラルブレーキは、フロントブレーキをかけるだけで自動的にリアブレーキも適正に効いてくれるありがたい機能です。ただし、リアブレーキだけを踏むとリアのみがブレーキングされます。これは、リアブレーキでマシンをコントロールできるようにというBMWの配慮といえます。最後に電子サーボ。力の弱い方や、ふとした拍子にブレーキの入力が弱くなってしまった時、入力をサポートしてくれます。このブレーキとサスペンションで、100ps超のパワーを制御できるのです。ライダーは余計な心配をせずにライディングに集中してください、そんなBMWの声が聞こえてきそうですね。
最後にこれはオプションですが、ESA(Electronic Suspension Adjustment/電子制御サスペンション)をご紹介いたしましょう。その名前のとおりボタン一つでサスペンションの性能を変化させることができます。1人乗り、1人乗り+荷物、タンデムなどといった加重調整はもちろん、減衰力(振動を押さえ込む力。サスの堅さ)を、乗り心地重視、普通、スポーツ仕様などとコントロールできます。R1200RTを最大限に楽しむことができる有望なオプションです。
一流の快適装備
極上ソファのような乗り心地
ここまではR1200RTの機能面について話を進めてきました。ここでは、快適さに貢献する装備を見て行きましょう。まずは、シート。ロングツーリングでの快適性はBMWの十八番です。人間工学に基づいたこのシートは、当然ながら快適ですし、コーナーでの重心移動もスムーズに行えます。日本の標準仕様ではシート高は780mm~800mm(調整式)となっています。身長にあわせてご利用いただけますね。
次に、RTの特徴とも言えるフェアリング。高速走行での風防効果は大変なもので、大型のウインド・スクリーンとフェアリングカウルのおかげで、突然の風雨もなんのその。スクリーンは電動で高さを変更可能。高さは無段階で調整可能で、ライダーの体格に合わせて自由に高さを調節できます。もちろん、走行中に変更することもできます。これは、オプションのオーディオシステムを搭載してのミュージックを楽しみながらの走行にも貢献します。音楽を聴きながら走れるのは、ツアラー(RT、LT)のメリットですね。
ちなみに、オプションでシートヒーター、CDプレイヤー付オーディオシステム、クルーズコントロールなどもあります。
標準でパニアケース装備
オプションで万全の積載量
軽量化されたR1200RT。しかし、積載量は標準装備のパニアケースで充分な容量を確保しています。左右両側のパニアケースは容量64リッターと大柄。雨水の侵入対策もバッチリ施されていますから、安心してご利用いただけます。これだけでも、ロングツーリングには不足することはあまりないと思いますが、さらに荷物を積みたいという方やタンデムで旅行などの場合には、トップケースが用意されています。トップケースは、28リッターと49リッターの2種類がラインアップされています。特に49リッターのトップケースは、バックレストが装備されているので、タンデムされる方もウレシイ逸品です。もちろん双方ともに、標準装備のラゲッジラックにワンタッチでマウント可能ですから、必要に応じて簡単に付け外しもできます。
最後にタンクバッグ。容量は小さいながら、車両を降りずに取り出せる手軽さがウリ。地図や小物をいれるのに重宝しますね。タンクバッグはスタイルを左右するアイテムですが、純正バッグはそのあたりを考慮されており、スタイルにあまり影響を与えないのが魅力ではないでしょうか。
関連する記事
-
BMWバイクテクノロジーガイド
サスペンションシステム編
-
トピックス
試乗レビュー写真速報 R1200GS(2010)
-
試乗インプレッション
R1200GS(2010-)