ササキスポーツクラブは、三重県鈴鹿市の BMW 正規ディーラー『モトラッド鈴鹿』の母体である。BMW ジャパン設立以前より BMW を扱い、佐々木正嗣 代表自身のレースやツーリング経験による “日本人のための BMW フィッティング” を提案し、そのためのオリジナルパーツを多数開発してきた第一人者でもある。
佐々木さんが日本人向けの BMW 用フィッティングパーツの開発に取り組んだのは、R 100 RS 用が最初だったという。
「1992年か 93年ごろだったでしょうか。ハンドルが遠いという声をよく聞くようになりまして、それならばと作りはじめたのがきっかけです。その後、K 100 でも足つきを良くしたいという要望がありまして、前後ともにサスペンションをショート化してローダウン仕様を製作していました」
世界的に見ても大柄なドイツ人を基準として開発されるだけに、BMW の車格は多くの日本人にとって大きめだ。現在ではグローバル化が進み、当時よりもさまざまな体格のライダーに合わせられるよう、シート高の調整機能やオプションシート、ローダウン仕様も販売されるようになったが、それでもやはり日本人に最適なライディングポジションを得るためには独自設計のパーツが必要になる、と佐々木さんは話す。
「とくに S 1000 RR はスーパースポーツモデルだからと、ライダーがバイクに合わせるという風潮があります。でも多くのオーナーの用途はサーキット専用ではなく、ツーリングも含めた一般公道での走行がメインです。そうするとやはり長時間乗ることにもなりますし、疲労が少ないライディングポジションが大切になってきます」
スポーツ走行を主眼とするバックステップキットは他メーカーからも多くリリースされている。そこで佐々木さんが目をつけたのが、快適さを主眼とするフィッティングパーツだった。
「ステップというのは、腰を浮かせたときに体が前にも後ろにもいかない位置がベストだと考えています。すると腕や肩にも力が入らず、リラックスした状態でハンドルを握れるのです」
豊富なノウハウによって生まれるフィッティングパーツは、日本における BMW ライフをより充実したものに変えてくれるはずだ。
ササキスポーツクラブが開発した S 1000 RR 用フィッティングパーツは、2種類がリリースされている。『ハンドルアップセット』(5万5000円=税別)は、純正ハンドルを換装するセパレートハンドルで、グリップ位置が 28mm 上方へ、15mm 手前となる。2015年にリリースされた SSCJ-202 なら、年式を問わずすべての S 1000 RR と HP4 に装着可能だ。
装着後のライディングポジションの変化は左の写真をご覧いただきたい。薄い影になっているのが純正ハンドルで、実像が装着後だ。グリップ位置が上方かつ手前にくることで上半身が起きてゆとりが生まれ、長時間走行においても疲労しにくい体勢を維持できるのがわかるだろう。スポーツ走行にも対応できる移動幅となっており、サーキットで走らせる場合でも無理のないライディングポジションをキープできる。
「上半身が起きてくることも大きな変化ですが、手首もリラックスした角度を維持できるので、長時間走行時のスロットルやクラッチ操作も楽になります」
モデルを務めていただいた同店スタッフ 川合稔さんは、ハンドルアップセットの効果についてそう付け加える。前傾姿勢がきついと長時間乗るほどに上半身の重さを手首で支えるようになってしまうため、この効果は絶大だ。
S 1000 RR 用にはハンドルアップセット以外に『アジャストステップキット』(7万円=税別。2015年式には非対応)もあり、こちらは前方と上方へそれぞれ 12.5mm/25mm の移動を可能とした4ポジションから選べる。
S 1000 RR 用フィッティングパーツの好評を受け、ササキスポーツクラブでは R nineT 用パーツにも着手。第1弾として『ステップキット』(6万3000円=税別)を発売した。
「バンクさせたときにステップを擦ってしまうという声に応えるものとして開発しました。そのため、ステップ位置は後ろへ 10mm、上へ7mm 移動させました。R nineT はカスタムベース車としても人気ですので、純正のムードを残しながらもカスタム感と品質を高めることが大きなテーマでした」
高品質なアルミを削り出したステップのほかに、シフト/ブレーキともにペダル位置を3段階に調節可能。日本人の体型に合わせたフィッティングも同時に行えるのだ。
「以前は、純正らしさを残したパーツが好評でしたが、近ごろはカスタム感がほしいという要望が高まってきています。今後はそうした声にも応えつつオートバイの原点をしっかりと見つめ、みなさんのバイクライフがもっと楽しくなるパーツを開発していきたいですね」
30 年以上の長きに渡って BMW を日本に馴染ませ、より深く楽しめるように願いながら製品を開発し続けてきたササキスポーツクラブには、多くのノウハウがあるだけでなく、BMW へのリスペクトとシンパシーがある。だからこそ多くの BMW オーナーから厚い信頼を寄せられ、今日に至っているのだ。
手がけるプロダクトはすべて国産。しかも世界に誇るバイク用アフターパーツの本殿ともいえる鈴鹿で開発・生産していることも、ササキスポーツクラブ製品の大きな特徴であり、高品質・高性能の証でもある。BMW を体の一部のように扱えるようになるフィッティングパーツのほか、無線用アンテナマウントやラジエタープロテクターといった金属製品をはじめ、カーボンを用いた各種ガード類も充実している。もちろんどれも BMW 専用に設計されたものばかりだ。ぜひ一度試してほしい。
住所/三重県鈴鹿市稲生西3-9-35
定休/月曜(祝日の場合は翌日)
営業/10:00-19:00
Tel/059-386-5600
鈴鹿サーキットにほど近い場所にあり、BMW 正規ディーラー『モトラッド鈴鹿』も運営。同店所属のマイスターメカニックはマン島 TT や鈴鹿8耐でのレース経験も豊富で、カスタマイズの相談からメンテナンスまで安心してまかせられる。