取材協力/プロト 撮影協力/Motorrad Mitsuoka 取材・撮影・文/木村圭吾 構成/VIRGIN BMW.com 編集部
掲載日2011年12月1日
ヘプコ&ベッカーは、ドイツのツアーケースを主力に展開するパーツメーカーだ。彼の地では国境を越えたツーリングも決して特殊なことではない。その走るステージも速度無制限区間のあるアウトバーンから、ヨーロッパアルプスの山岳地帯、そして速度をぐっと落としての市街地と多岐に渡っている。そのような環境の中で鍛えられ、ユーザーから絶大な信頼と支持を得ているのがヘプコ&ベッカーの製品であり、また国内外2輪メーカーの純正オプションとしても採用されている。ツアーケースはライディングに必要となるアイテムを、いかに機能的かつ効率よくバイクにパッキングするか? を考えて生み出された物だ。基本的には車体後方左右のサイドケースとリアフェンダー上のトップケースの3点から構成されており、サイドケースはパニアケースと称されることもある。外側のシェルの素材に樹脂や金属を用いたハード系と、革や布を用いたソフト系がある。こちらではハード系に的を絞ってみてみよう。
まず挙げられるのは、荷物の積載時に対する効率が極めて高いことだろう。少々乱暴な言い方だが、ツアーケースに「放り込んで」しまえば積載完了、キャリングコードやネットのようにテンションを気にしなくても良い。また荷物そのものをツアーケースのシェルで覆っているから、落下の心配もゼロに等しい。そして荷物を取り出すことも極めてスピーディーであり、ロックを外して蓋を開ければ、簡単に必要な物へアクセスできるのだ。天候の急変に対してもシェルが雨から荷物をガードしてくれるし、ロックが掛かるからセキュリティ面でも有利だ。またツアーケース自体の車体への取り付け、取り外しもワンタッチで工具などは不要、旅先の宿やテントなどでは、必要とあれば取っ手のあるヘプコ&ベッカーならばツアーケースごと持ち込むことも可能である。
デザインと容量の種類の多さもヘプコ&ベッカーのツアーケースの特色と言えるだろう。樹脂系シェルでは 『ジャーニー』 や 『ジュニア』、『ゴビ』 があり、シェルを樹脂とアルミのハイブリッドとした 『エクスプローラー』、スーツケースのグローバルブランド 『RIMOWA』 によるアルミシェルの 『アルエクスクルーシブ』 があり、それぞれに容量違いが設定されている。それらはキャリアを換えれば他の車種にも装着が可能で、バイクを乗り替えたり、あるいは複数台所有していても使えるのだ。
国内総輸入発売元 プロト
住所/愛知県刈谷市井ヶ谷町桜島5
電話/0566-36-0456
営業時間/9:00-18:00(月曜~土曜)
国内最大級の二輪用パーツメーカー&ディストリビューター。世界各国からさまざまな特色あるアイテムを輸入すると共に、同社の手によって開発されたオリジナルパーツも多数展開している。
ツアーケースの中でも、特に利便性の高いのがトップケースだ。買い物などのデイリーユース的な場面から、ロングツーリングまで守備範囲は幅広い。オプションのバックレストを装着すれば、タンデム走行時のピリオンライダーの快適性も高められるのである。ただし、前後の重量バランスが崩れぬようトップケース内には極端に重い荷物は入れないようにしたい。またサイドケース装着の際も、重さがどちらかに極端に偏らないよう、左右のバランスにも注意が必要だ。
ツアーケースを導入する際に、ネックとなるのが初期コストの高さだろう。それを少しでも緩和するために、ヘプコ&ベッカーの輸入元であるプロトでは、車種別のセットを設定している。専用取り付けキャリアとトップケース、専用取り付けキャリアとサイドケース、そして専用取り付けキャリアとサイドケース+トップケースの3タイプが設定されており、それぞれを単品で揃えるよりもぐっとお買い得感のある価格設定(車種と内容によっては4万6200円引き!)となっているのだ。
またサイドケース+トップケースのセットは、ケースのキーが1種類で済む。つまりサイドとトップそれぞれ1本ずつキーを持つ必要がなく、使い勝手が大幅に向上! これも特筆すべき点と言えるだろう。
右の画像は、42リットルの容量を持つジャーニートップケースTC42にパッキングされた、とあるユーザーの日帰り温泉ツーリング仕様と、その中身を取り出したところだ。ツーリングの必需品であるカッパはもちろんのこと、タオルや着替えなどの温泉セットにサンダル、気温の低下時に対応するためのジャケットやパンツのインナー、などなどから構成されており、それらを詰め込んでもケース内には購入したお土産+α程度ならばまだ十分に収まる余裕がり、中身が無い状態であればフルフェイスのヘルメットも収納可能だ。
① サイドケースの蓋には2ヶ所、トップケースには1ヶ所のロックがあり、車体側へのマウント部分にもロックが掛けられるようになっていて防犯性を高めている。サイドとトップケースの3点セットではキーも共通。
② サイドケース、トップケース共にメインコンパートメント、蓋の裏側部分にはストラップが取り付けられており、ケース内で収納物が動くのを防止。サイドケースの蓋は写真の位置で止まり、路面には当たらない。
③ BWMのF800GSの専用取り付けキャリアは、車体側からケースへ延びる部分が逆V字形状となっており、これによって掛かる荷重が分散される。ヘプコ&ベッカーの持つノウハウの豊富さがうかがい知れる。
④ サイドとトップケースにはオプションとしてインナーバッグが設定されていおり、その収まりの良さは専用品ならでは。また、トップケースには蓋の上部に取り付けるキャリアやバックレスもオプションに設定されている。
下記のヘプコ&ベッカー特約店では、実際にツアーケースを確認することも可能だ。大きさや専用ステーのつくりなど、自分の目で確かめてみたい場合は気軽に足を運んでみよう。
撮影協力/
Motorrad Mitsuoka
大阪府茨木市宿川原町 6-17
TEL/072-641-4600