「キャンプンライド」? 「 Camp and Ride 」…「キャンプとライド」…。最初にこの名称を聞いたときは何のことだかよくわかりませんでしたが、BMWライダートレーニング公認インストラクターの資格を持ち、プライベートでは山を駆けたりプールで泳いだりと、アスリートの一面も持つMSP代表の齋藤栄治さんを思い浮かべてピンときました。モーターサイクルを全身で繰り、風を感じて走ることはアウトドアスポーツのひとつであり、またアウトドアライフの一部なのだということを、きっと何らかのカタチで表現し、多くのライダーと共有したいのだろう、と。自分もその感覚に共感するいちバイク乗りとして、昨年5月の初開催から2回目を迎えた『 Camp’n Ride 2010 』に参加しました。その内容をご紹介しましょう。
|
| |||||
|
|
2日間におよぶキャンプンライドは、基本的にオンロードもしくはオフロードのライダートレーニングをメインに構成されています。両日とも一方のトレーニングだけを受けてもいいし、1日目と2日目でコースを変えてもいい。また2日目にはトレーニングだけではなくアウトドアアクティビティも用意されているので、家に帰るときだけバイクに乗る、という選択もアリです。さらに、キャンプだけを目的としてトレーニングは受けず、ベースキャンプまでの往復はツーリングを愉しみ、ナイトパーティにだけ参加する、ということも可能なのです。
今回、自分はオフロードコースを選択し、会場の 『浅間火山レース跡地』 に向かいました。広大な敷地を一部利用して設定されたコースは、GS のような大型バイクを走らせるにはうってつけの場所です。トレーニングとは言ってもカリキュラムやタイムスケジュールなどはありません。外周ルートとスラロームエリアに分けられ、参加者は各々好きな場所を走ります。そして各所に立つ5名のインストラクター陣にいつでも疑問を投げかけ、ライディングノウハウを教わり、納得出来るまで走り込むことが出来る環境となっているのです。また希望者のみですが、木々の間を縫うように走る林間ルートの体験もありました。
一方オンロードコースは、嬬恋村を集合・出発地点として草津~志賀高原へと向かう快走ルート上で、出発前の座学と走行中の無線機を使ったツーリングトレーニングとなっています。ただ漫然と走るのではなく、注意すべきポイントに意識を置きながら走ることで、安全性と快適性がグンと増すということを体感します。
|
|
|
|
|
|
|
|
2日目は追加コンテンツとして「フォトスクール」と「ロッククライミング」が用意されています。「フォトスクール」は文字通り写真撮影のスクールで、自前のデジタルカメラを使って、カメラ任せではなく雰囲気と奥行きのある写真を撮るためのノウハウを教わります。
インストラクターは国内外で活躍するモータースポーツフォトグラファー、自称「写真屋」の大谷耕一さん。『BMW BIKES』誌でもお馴染み、2輪雑誌業界では巨匠であり、4輪も含めモータースポーツレースの世界でもその名を知られたお方です。そんな大谷さんが直々に写真の撮り方を教えてくれるなんて…。旅先で見つけた風景や自分のバイクの写真を撮りたいと思ったとき、ここで教わったことを活かせば予想以上の絵を切り撮ることが出来て、きっと撮影そのものが面白いと感じることでしょう。
そしてもうひとつの追加コンテンツは、ここアウトサイドベースのアウトドアアクティビティになっている「ロッククライミング」です。以前、田中ケンさんがキャンプ場の隣にある山の上に巨大な岩を見つけ、自ら切り拓いた山の中へと足を踏み入れます。 |
|
ほぼ垂直の壁にあるわずかな凹凸に自分の指先と足先を食いつかせ、全身を使って登ることの難しさはチャレンジ精神を煽り、登り切った時の達成感はじつに爽快。そして次はもっと上手く登りたいと思う向上心は、そのままモータースポーツに置き換えることが出来ます。自然に対して身を向けるという意味では、モーターサイクルもアウトドアライフのひとつとして感じることが出来るんですね。
|
|
|
今年で2回目の開催となったキャンプンライドですが、そもそもこのイベントが一体どんな内容なのか、はっきりとは分からないまま参加された方も多かったようです。それもそのはず、モーターサイクルを軸としたアウトドアライフをトータルで愉しんでもらおうと企画された内容は前例に乏しく、これまでのようなモーターサイクルイベントという感覚では理解しにくい部分もあります。
しかしアウトサイドベースに集まった参加者たちを見ていると、とてもリラックスし、充足感に満ちた表情が伺えます。参加費用に見合った、もしくはそれ以上の贅沢な内容であることを実感していたのではないでしょうか。実際に参加された方々に、キャンプンライドの感想を聞いてみましょう。
●走るだけじゃない楽しさ
翌朝、森の中の夜明けは気持ちいい!っでも体が痛い…。慣れないオフロード走行で全身の筋肉が悲鳴をあげています。そんな私の2日目のコンテンツは「フォトスクール」です。講師は大谷耕一さん。2輪4輪のカタログ撮影から様々な雑誌出版社が依頼する、この世界ではとても名の通ったプロカメラマンです。 まずは座学から。絞り、シャッタースピード、感度(明るさ)の3要素で露出が決まるということを、カメラに関する知識はゼロの私にも懇切丁寧に、細かく教えてくれます。
座学の後は「さ、せっかくこのような良い所に来ているんですから、今日は草花でも撮影してみましょう。では、この花を撮ってみてください。」自分なりに撮影したものを大谷さんに見せると「どれどれ? 新田さんのデジカメは、ここが絞りでこれが距離、明るさはこのボタンで操作して、シャッタースピードは自動で決まるから絞りは4.5で距離30cm、明るさは自分の好みで撮ってみて。」アドバイスを受けた後の写真はその差歴然! もうビックリです。
●MSPのキャンプンライドとは…
バイクもカメラも、バランスとゆとりの大切さを教えていただきました。率直な感想は「盛り沢山な内容に心も体もリフレッシュ」これに尽きます。新たな参加者にとっては今のスタイルが最適だと感じました。一部の参加者の方も同意見でしたが、自身のスキルをMSP独自の階級制で表してもらうのも良いのではないかと思いました。試験をするのではなく、参加者のライディングを講師がそれぞれ評価し、修了証や修了カードなどを受け取れば、次のステップに向けた自身の目標が設定できるので、リピートの必要性を感じられるかもしれません。基本はライディングスクールですが、バイクに乗ることだけを主体とせず、ロッククライミングやフォトスクールを取り入れるところなど、アウトドアライフを「限られた時間内でゆとりを感じて有意義に使う」ための、とても贅沢なイベントでした。
●参加のきっかけ この GS は2010年7月末に納車したばかりです。こんなに楽しいバイクを買ったからには、早速何かのイベントに参加したかったので、モトラッド京葉の小川さんからこのイベントをご紹介頂いたとき、即申し込みを決めました! それにインストラクターの顔ぶれがものすごく豪華で、キャンプ場も素敵だったので!
GS を買うまでロングツーリングには行ったことがなかったのですが、今は楽しくて仕方ない感じです。
●ためになったこと トレーニングでは、せっかく山田先生・齋藤先生が無線でためになるアドバイスを話してくれているのに、後ろに乗っている人(ダンナ)が私のライディングにケチを付けてくるので、かなりイッパイイッパイでした。でも1日目終了後、ちっとも向上しない私のために、松下先生がマンツーマンでレッスンをしてくださり、途中、恐れ多くもオマケ指定席(タンデムシート)に座って頂いた上、ブレーキの使い方を楽しく・解りやすく・優しく教えてくださったのが一番ためになりました。
もっとも、次の日に同じことをしようと思ったら、後ろの人が違うせいか全く出来なくなっちゃいましたが…。でも、バイクに乗るだけでなく、操る楽しさが初めてわかった気がします!
●愉しかったこと 夜のパーティも最高でした! もともとアウトドア好きですが、『outside BASE』最高ですね! ケンさんの料理もお酒も最高! 今までほとんど無かった他のライダーとの交流が出来たのも嬉しい! ちなみに次の日の朝、キャンプ場の慣れない土や砂利の上でバイクを操り切れず、絶叫する私を親切なライダーの皆様が多数補助してくださり、これにも大感謝!! ビーマー最高!!
●今後に期待したいこと |
|
自分のような「超」低スキルの女性ライダーが増えてくれると安心感が…でも、他の人にとっては迷惑千万ですね…。来年も絶対参加させて頂きたいです。キャンプ場はまた『outside BASE』がいいなぁ。
●タンデムシートからのコメント(出口誠司さん)
もともと家内のスキルアップが目的で参加しましたが、純粋にツーリングキャンプとしても、上質で愉しめました。国内トップインストラクターの方からご教示頂くライディングテクニックはわかり易く、即効性があり、その日から役立つことばかりでした。毎年の吉例として頂きまして、是非継続参加していきたいです! すでにとても完成された良いイベントと思います。あとは参加者の方々やインストラクターの皆さんとの積極的な懇親が出来れば、より楽しいかと思います。
目に見えて家内の運転が安定してきました! 是非来年も参加したいですね。そのときはもちろん2台で!
●ためになったこと ライディングスクールは、一言で言うと目からうろこが落ちる思いでした。山田純さんや齋藤さんからのライディングテクニックのアドバイスは「模範~解説~実践」をライブで体験し、その効果を体感しました。自分で言うのもなんですが…かなりスキルアップしました。安定して安全に曲がれるようになりました! バイク暦30年になりますが、間違った乗り方をし続けていた事を痛感しました…。そしてもっともっと走りたくなりました。
●愉しかったこと 何しろライディングスクールが勉強になりました。他にもフォトスクールやロッククライミングもすご~く!やりたかったけれど、イベントの時間帯が重なっていたので「泣く泣く」諦めました。次回は是非参加したいと思います。
会場にはモータースポーツ関係の方が沢山参加されていて、ナイトパーティの和気藹々な雰囲気や、宴もたけなわのグタグタ状態(笑)も含め、すごく良い雰囲気で、MSPプロデュースの素晴らしさを垣間見ました。また色々なイベントを絡めたツーリングを企画してください。おいしい料理と酒は必須です!
●タンデムシートからのコメント(高橋久美子さん) とにかく充実の2日間でした。スキルアップツーリング! タンデムシートからも、スムーズで安定した走行になったことを感じましたし、私にも無線を貸してもらえたので、私自身もかなり勉強になりました。実はつい最近、大型二輪免許を取得し、バイク(もちろんBMWです)も決め、これからしばらくは特訓の週末ですが、イメージだけはしっかりで出来ていますので、イメージどおりに出来るよう頑張りたいです。
キャンプ場の環境も良く、ケンさんのおもてなし料理も最高! ナイトパーティは楽しかったです。来年も絶対に参加します! |
|
F800GS
【CONTENTS】
DAY-1■オフロードコース⇒ナイトパーティ&キャンプ
DAY-2■フォトスクール