横置きKはセカンドステージへ
K1200からの進化とは?
Kシリーズの系譜を辿ると、1983年のK100シリーズまでさかのぼることになる。当時のK(いわゆるオールドKと呼ばれるもの)はエンジンレイアウトも非常にユニークかつ独特のもので、車体にまたがったとき、左足にシリンダヘッド、右足にクランクケースカバーが見られ、地面とほぼ水平に寝かせられたシリンダーは前後に4本並ぶ。通称『クランクシャフト縦置き4気筒』だ。同時に3気筒(750cc)のK75も開発された。
さて、最新K1300シリーズはというと、2004年に登場したクランクシャフト横置き直列4気筒エンジンのK1200シリーズのモデルチェンジとなる。つまり国産マルチと同じエンジンレイアウトだ。この時点でBMWのKシリーズは『縦K』から『横K』となった。そこにはBMW独自の最新技術が投入され、4輪(F1も)の開発で培ってきた技術を適所に応用し、メーカーとしての技術力を見ることができる。
K1200の登場から5年目にしてモデルチェンジとなったK1300シリーズ。やはり気になるのはその違いだろう。外観からは大きな変更が見つけづらいものの、そこは常に攻め続けるメーカーBMW。単なるフェイスリフトであるはずがない。排気量にともなう特徴的かつ前衛的なモノ造りを見ていこう。
先代のデザインを踏襲しつつ
新機構搭載で中身はベツモノ!?
無骨な印象のライト周りのカウルケース。モデル名ロゴが描かれたシュラウドへ流れるデザインも、K1200Rとくらべてワイルドに。スクリーン形状が似ているものの、K1200Rとの互換性はない。 | ヘッドライト下部からのぞくエアインテークのデザインが見直された。サイドトリムがエラ状に。小さな変更だが見た目の印象は非常に大きく、K1300シリーズの中で一番イメージが変わったのはSだろう。 | GTのプレミアムラインにのみ装備されるキセノンヘッドライト。ほかにもシートヒーターやクルーズコントロールなど、GTのみの装備が。逆にASCが工場オプションなのはGTのみ。価格は263万8500円 |
新採用の振動軽減タイプのハンドルバー。メーターパネルなど、細部にわたって変更が加えられているが、既存ユーザーがもっとも気になるのは、やはりワンボタンウインカーではないだろうか。動作が軽く操作性は良い。 | 基本的な構成はK1200と同様のメーターパネル。しかし文字盤の色がスピードメーターは白、タコメーターが黒と、先代とは逆パターンに。スピードメーターでは針の0地点の位置も変更されている。 | 左手のスイッチボックスにあるボタンひとつで上下に可動する電動スクリーン。空力を効率的に制御し、パッセンジャーまで包み込む効果は絶大。一度ロングツーリングで味わうとクセになる豪華装備。 |
ブレーキおよびクラッチフルードのリザーバタンクは新型を採用。透明度が高く、フルードの状態がわかりやすい。油面が低くなると内部の蓋も下がってくるので、ライディング中の液揺れが防げる。K1300シリーズ共通。 | インタラプトフォークブリッジ(トップブリッジ)のデザインも変更されている。またがってみると思いのほか前傾しなくて済むライディングポジションは、ロングツーリングでの疲労度軽減に貢献する。 | 先代から採用されている、高さが4段階に調節可能なハンドルブリッジ。ライダーに適したライディングポジションを提供するのはBMWモトラッドならでは。アナログながらロングランの疲労軽減に大きく貢献。 |
テールライトは新デザインのLEDタイプを採用(K1300S共通)。赤い部分が常時点灯し、ブレーキング時には上部も点灯。視認性、耐久性ともに向上している。ナンバー灯もLEDで照射。青白く浮かび上がる。 | K1200Sとの違いがわかりやすいのが、大きなパーツであるサイドカウルのデザイン。視覚的にはスマートで引き締まったスタイリングに。走行風の整流効果向上に一役買っていることは言うまでもない。 | シート下にはポジションバーを装備。ライダー側のシート高を800/820mmの2段階に調節可能。普段のタウンユースと高速走行時での使い分けは重宝する。ハンドル位置の調節と合わせて好みのポジションに。 |
K1300シリーズでは、デュオレバーの鍛造アルミニウム製ロアコントロールアームを変更し、より軽いハンドリングとなっている。K1200Rとくらべてトレールは108mmから104.4mmへ短縮された。 | K1300Sの購入を考えているなら、シフトアシストシステム装備のハイライン以上のグレードを強くお奨めしたい。後で装着することも可能だが、正規ディーラーでコンピュータの設定変更が必要となる。 | オプションのトップケースをそのまま装着できるリアキャリアと、シートの間にあるパッセンジャー用のシートヒータースイッチ。見えない部分でエスコートできる、BMWらしいラグジュアリー装備だ。 |
新デザインのホイールを採用(SとR)。ドイツ本国では180サイズのホイールが装着されているが、日本に輸入される車輌には190サイズのスポーツホイールが標準装備となっている。 | 六角形の新型ショートサイレンサー(Rも同様)。電子制御式エキゾースト・フラップ・コントロールを採用し、クローズドループ制御の三次元触媒も併用することで、最適な排気を可能としている。 | アクセルのオン/オフ時の“ツキ”による嫌なギクシャク感を、しっかりといなすことに成功した新型のドライブシャフト(K1300シリーズ共通)。ストレスの軽減に高い効果を見せる。 |